必要な物が多いのですが
六話目です
海の部分は兎も角、島と崖の作りは本物そっくりに作られているのか、海の部分に水があれば空から空撮している様に見えたかもしれない。
次に雑巾で拭いてみようと思い、バケツに水を入れに風呂場に向かう。
手前の脱衣場には白を基調とし、所々金色の筋や花柄模様が入った洗面台がある。鏡も大きい。
風呂場へのガラスのドアを開けてみれば、170cmの俺が横になったまま沈めそうな大きな浴槽、これまた白地に金色の筋が入ったタイルの壁と床が眩しかった。
カビ対応の洗剤も購入しとくか。
シャワー下の蛇口からバケツに水を溜め、再び箱庭の部屋に戻る。雑巾を濡らして絞り、さぁ拭こうとして俺は目を見開いた。
箱庭は又黒いもので覆われていた。
「……」
俺はリアクション芸人では無いので、視聴者が楽しめるコメント等出来ない。
取り敢えずもう一度ハンドクリーナーで吸ってみるか。
ヴォォォォォォオオオオオ
うん、ちゃんと吸い込めてるな。
再び黒いものを吸い尽くし絞った雑巾で端っこの海の部分を拭いてみる。
見る見るうちに黒く汚れていく雑巾。
そしてあの黒いものが何処から出てくるのかが分かった。
島からだ。
マスクとビニール手袋も買っとくべきだったなと考えながら、島を調べてみると、東西南北と言っていいのか、山を取り囲むように四方に1cm程の黒い棒の様な物が刺さっていた。
あの黒いものはこれから出ているようだった。
素手で触るのは嫌なので、雑巾で包みながら1本1本取り去っていく。
よく見ればその黒い棒は全体で2cm程のオニキスの様に光沢のある棒だと分かった。
抜き取るまでは黒いものを放出していた黒い棒は、今は何も出していなかった。
「一体これは何だろうな?」
テレビの部屋へ戻り、半分だけ水が残っているミネラルウォーターを全て飲み干し、その中に黒い棒を入れる。
シンクの蛇口から水を入れ、食器用洗剤を少し入れてシェイクしてみた。
ペットボトル内の水が真っ黒になり、その水を入れ替えて何回か同じ事を繰り返すと、次第に水は透明になり、それに伴って黒い棒は透明な棒になった。
そのまま水に漬けて放置し箱庭の部屋に戻る。
やはりあれが原因だったのか、箱庭は黒いものに覆われていなかった。
雑巾で海を拭いていく。
山も木も崖もドンドン拭いていく。何回もバケツの水を交換する。
掃除を開始して2時間ぐらい経っただろうか?
動き回ってたせいか腹がぐぅっと音を立てた。
テレビの部屋に戻り、メニュー表から幕の内弁当、ペットボトルのお茶を注文し、マスク、ビニール手袋(厚手、薄手)、カビに効く漂白剤や水周り用の洗剤も続けて注文。
洗濯機は見てないが、洗濯用洗剤、柔軟剤、トイレットペーパー、タオル等も注文した。
結構頼んだにも関わらず、搬入用扉の電球はピカピカと光り、全てを出し終えた後は黙々と弁当を平らげた。
自分の中でこの状況に少し慣れたのか、この弁当とお茶は美味しく感じた。