俺って平凡なんですがいいんですか?
四話目です
仕事が無い、家が無い、誰にも探されない人間なら他にもいるだろうが、何故俺だったんだろうか。
俺には身内が居ない。
正確には両親も弟も居るのだが、優秀過ぎる弟に両親の関心が向いた。
一つ下の弟は兎に角何でも直ぐに出来た。
勉強もスポーツも、そして体格も顔も良かった。
俺も努力はしたが、顔は平凡で両親に似ず、勉強も満点を取れず、運動神経は平均だった。
当然両親は差別化し、服は弟のお下がりを自分で調整して着、食事は部屋の隅で食べていた。そんな両親を見て育った弟は当然横柄になり、身体の見えない場所を何度も殴られることも増えた。両親は笑ってた。
唯一の救いは父方の祖父母がそれを見かねて俺を引き取ってくれたことだ。
中学に上がる前には田舎の祖父母の家で過ごせるようになった。
祖父母は厳しくも優しくもあって、俺は祖父母の畑仕事も頑張って手伝った。
村では親無し子と言われることもあったが、穏やかな中学生活が送れたと思う。
高校までは祖父母が行かせてくれた。
高校を卒業する頃、祖父母が相次いで亡くなり、俺は村を出て、両親と弟が居ない県外へと出たのだ。
もしかしたら祖父母が両親に俺の事を報告してるのかもしれなかったが、俺はもうあの3人とは会いたくなかった。
人口が多い都市へ行けば、何らかの仕事はあるだろうと居着いた場所ではあったが、結局俺は今こんな状態で、所謂負け組には変わりない。
それでも俺を助けてくれた祖父母に顔向け出来ないことはしたくない。
この状況がどうなるのか分からないが、与えられた仕事をちゃんとやってみようと思う。
ちゃんとやれば飽きられて殺されることも無いだろう。
とは言え、この家には生活で必要な物が足りない。
一から取り揃えなければならないし、そろそろお腹も空いてきた。
そっと窓から庭を見てみると、あのデカい犬達が日向ぼっこをしている。
うわっ、見てるの気付かれた!怖っ。
ん?注文するにしても誰が配達に来るんだ?
あのデカい犬達が居るのに。
そ、組織の人間か!?配達するのをこっそり見ればいいのか?いや、見たら駄目なのか!?
今は腹具合と相談しながらメニュー表を見るのが先だな。
メニュー表には掃除用具も色々載っていた。メニュー表というよりカタログっぽい。
えーっと食事は……あ、店舗別に載ってる。
ラーメンもあるな。
メニュー表から中華屋の醤油豚骨ラーメンと半炒飯を選び、テレビから注文する。
どのくらいかかるだろうかと、鳴く腹を擦りながら待っていると、台所からピンポーンと音が鳴った。
台所を見るとさっきは気付かなかったが、壁に上にスライドする扉が付いていて、その扉の上には5cmぐらいの丸い電球がピカピカと点滅していた。
こんな目立つもの、見落とすか?
疑問が浮かんだが扉を上にスライドさせると、先程注文したラーメンと炒飯が湯気を出したままトレーに乗っているのが見えた。