庭には二羽鶏が……じゃなくて二人の幽霊?
本日一話目です
ネットで掃除に関して調べると、よく見かける『重曹』。
試しに注文。
ネットで使用上の注意を確認しながら箱庭に使ってみる。重曹を溶かしこんだぬるま湯を、空のスプレーボトルに入れて箱庭全体に噴射。
1分程待って拭いてみる。
ほらね、水拭きだけでは取れなかった汚れあったよ。
海の部分は特に色濃い青になった。
まぁ、重曹に至るまでには3日ぐらいかかったけど。
今まで掃除っていったら台所は台所専用の洗剤、風呂やトイレはそれ専用の洗剤みたいな感じで深く考えたことなかったんだよな。
やっぱり拉致った犯人も人選を間違ったんじゃないだろうか?
清掃関係の人ならきっと俺よりも箱庭をピカピカにしてくれると思うんだけど。
あ、もしかして、俺以外に拉致られてる人が清掃専門の人で、素人の俺と比較してウォッチングしてるとか??
それとも清掃のプロが俺の姿を見て「やっと重曹の良さに気付いた様ですね」みたいな解説をしてるのだろうか?
四日目、箱庭部屋に変化があった。
あの白い球に青いものが張り付いていた。良く見れば今まで俺が掃除していた箱庭に似た物が、球にデカ目のステッカーみたいに貼り付いている。
箱庭の方を見てみれば、最初の状態の様に黒いもので覆われていた。
この球に貼り付いてるのは俺が掃除した箱庭の縮小版か?
直径約2mの白い球に張り付いている青いステッカーは盾15cm程、横30程で、島と崖の部分が立体的に盛り上がっている。
そうなると今黒いもので覆われている箱庭は別の部分てことになり、掃除完了と共に縮小版が白い球に貼られると言った具合だろうか。
つまり、この白い球を埋め尽くせば仕事が完了、ってことだ。
そう勝手に理解した俺は最初の箱庭と同じくハンドクリーナーで黒いものを吸い取っていく。
又あの島にあったような黒いものの発生源があるかもしれない。
吸い取って暫く箱庭を眺めていたが、再び黒いものが出てくることはなかった。
今度の箱庭はあの崖側の続きなのか、陸地と海岸線があった。陸地には街らしき物もあり、欧州にありそうな砦を持った小さな城も見えた。
「へぇ~良く出来てるな」
細かい所を掃除するのは面倒そうだが、ジオラマを見るのは割と楽しい。
じっくりと街中を見てみれば、何やら黒い点々が有る。どうやら小さくて黒くて丸い頭を持った待ち針の様な物に見えた。
黒いものを出すことはないが、何か気になる。
綺麗にする上で邪魔に感じた俺は、テレビの部屋に戻りピンセットを注文する。
即座に来たピンセットを持って箱庭の部屋に行き、その待ち針をプチプチと抜いていった。
目を凝らし過ぎたのか、それだけで俺は精神的に疲労した。
前の箱庭の黒い棒を抜いた時はこんなことなかったが、この待ち針にはモヤモヤした嫌なものを感じたのだった。
抜いた待ち針は又空のペットボトルに入れて、重曹を溶かした水も入れて台所に置いておく。
因みに前回黒い棒を入れたペットボトルはいつの間にか無くなっていた。スタッフ(小さいオッサン)が回収したんだろう。
非常に疲れた俺は冷蔵庫からミネラルウォーターを取って
蓋を開け、モヤモヤしたのを祓うようにゴクゴクと1本飲み干した。
このミネラルウォーターは、注文しなくても常に冷蔵庫にいつの間にか入れてある。
人間、水だけは切らせないからな。スタッフさんもそこは注意してるんだろうか?
少し日用品が増えた家だが、恐怖で買った物がある。
カーテンとカーテンレールだ。
二日目、ふと庭を見てみると、ボォォっと光る人間が二人、庭の向こうにある竹林に見えたのだ。全体的に透けてて、しかもその二人の周りに丸い光が幾つもフワフワと浮いていた。
俺はアレを知っている。心霊特集にも出てくるオーブだ。
なんてことだ。昼間から幽霊を見るなんて!
俺は即座にカーテンレールとカーテンを注文。
早く来い!と震えながら待っている間に又視線を庭に向けると、今度は白い龍の模型?が庭に置いてあったのだ。
何だ次は長崎とか中華街でやる龍踊りの奴か?ウネウネ動いてるからラジコン?
カーテンレールとカーテンが来たのでホッとしたが、カーテンレールを付けるにはドライバーが必要なことに気付いて、俺は半泣きでドライバーセットを注文し、それから庭が見える窓と言う窓にカーテンを付けたのだった。




