第3話 救い
「なっ……」
俺は驚いた。裏切られても何かを騙し取られるぐらいだと思っていたのに殺されるとは。でも殺して転生スキルを奪えるのならばあり得る話だった。
刀が抜かれた。確実に殺すためにヘンデルは首に刀を当てる。
「悪く思うなよ」
そのときだった。
こちらに足音が向かってきている……?。ヘンデルの部下か?。しかし足音に気づいたヘンデルは刀を構えて戦闘体勢に入った。どうやらヘンデルの味方ではないらしい。
「誰だ!」
その瞬間高校生くらいの少女が部屋に飛び込んできた。すかさずヘンデルが刀を振り風刃を飛ばした。
「パァン!」
銃声が響いた。
決着は一瞬だった。少女は人外な動きで風刃をかわし、ヘンデルに銃を撃ち込んで一撃で殺した。
そして驚くべきことに俺の体は完全に修復していた。これが不死身の力か……?
「自己再生にしては凄すぎる……新種かしら」
少女がつぶやく。
「でもやっぱり転生スキルを人から奪った人から転生スキルは奪えないみたいね。それは置いておいてそこのあなた立てる?」
もう体は大丈夫そうだ。
「はい。大丈夫です。あなたは私の味方ですか?」
「そうよ。私はナサリーよろしく。さぁ私たちの国まで逃げましょう。」
助けてくれたこの人は信用出来るだろうか。しかしこの人について行かないとここの町の人に殺されてしまうかもしれない。……この人について行く他に道はなさそうだ。
「はいよろしくお願いします。」
俺達はヘンデルの家の外に出た。
「……油断した。あれほど強いベクトル加速の使い手は久しぶりだな。弾丸で俺の闘気を破るとは。でも次は通じるかな?」
町の高台でヘンデルはほくそ笑んだ。