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序章
前世の記憶がある。
そう言って信じてくれる知人は何人くらいいるんだろう。
ガタンと激しい物音と共に立ち上がると、教師の視線どころか、クラス中の視線を独り占めしてしまった。奥寺、どうした?という声が聞こえるが今の私に答える余裕などはない。つまり無視。そして訝しげにこちらを見てくる黒板前の人間に言うのだ。なんせ、一世一代のトラブルに私は今、見回れているのだから。
「先生、私、一生を決めにいこうと思います」
え?と疑問を皆が持つ前に教室を駆け出す。できれば間に合え、最高のタイミングでたどり着け、と願いながら。貴方だけが幸せに、
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容姿端麗、頭脳明晰、運動神経まで抜群な皆の憧れる女優、歌も歌える歌える。出来ないことがない女の子。
まさに、完璧少女。これもみんな、君のため。と見せかけた私が君に好かれるための、結局は自分自身のため。