魔物が溢れた理由1
多忙すぎて中々書けてませんが再びボチボチと・・書けるかな・・?
10階層のボス部屋は空っぽになったまま奥にある次の階層への階段扉が大きく開け放たれ静けさに包まれていた。4人は何事もなかったようにダンジョンの奥へとゆっくり歩いていた。
「・・・・どう思う?」
先頭を行く蝶華、その少し後ろを歩くルシエ、隣を歩く嫁、それぞれに聞こえる程度に呟く。
うんうんと声に出さない程度に唸りつつ腕組みしてこのスタンピードもどきの原因を考えていたのだが特別思い当たる節が無い。ダンジョンをここまで下って来た感じモンスターが特別パニックになっている風な様子も、ダンジョン自体に起因するような魔力の高まりも感じられなかった。
VRMMO時代のスタンピードならば周期的にダンジョン内に溜まった魔素をダンジョン(迷宮の核)が吸い上げて通常の何万倍ものモンスターを吐き出すというのが慣例であったはずだが、今回のそれには今までの常識が当てはまらないようだ。
黙々と皆それぞれに思案を脳裏で浮かべては首を振って否定する、薄暗い階段を下りきるとダンジョン11階の明るさが視界に広がる・・・・。
そこで全員が顔を見合わせて声を上げた。
「何これ・・・何にも無い?」
見渡す限りの岩肌のダンジョンの壁と光源となる発光する鉱石以外の動物も植物も、生命の痕跡が一切無くなっている。無論初めて来たダンジョンなのだからこれが通常かも知れないが・・あまりにも今までの10階層と異なる空間に一同は暫く呆然と立ち尽くす。
さらに言えばあれだけ色濃くダンジョンに纏わりついていた魔素の痕跡がきれいさっぱり無くなっている。異常で有ることは明らかなのではあるがそれが何なのかはいまいち掴めない。
訝し気に周囲を見渡しても何もないこと以外はわからなかった。
現状何もわからないということがわかった所で再び一行は歩き出す。
そしてそれは14層まで全て変わらないものだった。
「流石にこれは何かあるよね♪」
「フラグ立てないで欲しいんだけれど嫁よ・・。」
わ~い!とでも声に出しそうな表情で両腕を天井に突き上げている嫁に嘆息しつつ目を向けると今まで黙々と斥候を務めていた蝶華も口を開く。
「しかしこれほど異様なダンジョンの有様では・・。」
「そうだね、絶対15階層には何かあると考えるのが普通だね。」
二番手にいたルシエも嫁の意見に同意するといった雰囲気で14層の何もない空間をまっすぐに歩く。
ごっそりと何かに削り取られた様に広がる長方形のただっぴろい空間がただ続く。
歩いた感じサッカー場10個分程の広大な空間に何も無い事の異様さがそう考えさせる事に無理も無いと感じさせる。
しかし15階層もまた何も無い空間が広がっており、ボス部屋の中央に迷宮の核が静かに鎮座しているだけだった。
おもちゃを取り上げられた子供のような顔をして嫁が振り向きざまに渋い顔を向ける。
「何にもなぁ~~~い♪」
「何で楽しそうなんだよ!」
「だって不・思・議・♪」
「嫁・・君って娘は~・・・。」
嘲る嫁をあやしつつ、夫婦漫才のように睦まじく会話していると真顔の蝶花が驚きつつ声を上げる。
「見てください迷宮の核とやら、淡く発光してないですか?初めて見るので私にはわかりませんが。」
「何だか奇麗なものね、吸い込まれそうな発光で・・」
ルシエも迷宮の核を見るのは初めてなのだろう惚けたような眼差しで核を見つめている。
「ん~・・・コレ何か出て来る感じかも♪?離れたほうが良いかも?!」
「一旦少し下がって、様子を見ようか、戦闘準備は怠らずでいこう。」
「「「はい。」」」
光は継続的に明滅を繰り返し・・・やがて静かに収まった、収まった瞬間に私たち4人の前には先ほど見たのと同程度のおびただしいモンスターの群れが現われていたのだった。
「とりあえず手に負えそうな感じなので迎撃を!」
「言われるまでもなくってね~♪」
「承知しました。」
「狭いところだと大魔法は使えないし面倒に思えちゃうわね。」
各々が先ほどと同じく動き出す。モンスターが溢れたと言っても我々のPTの脅威になり得るような大物は一匹としていない。
動きつつもおっさんは思考を止めずにいた。先ほど見た光は転移魔法の光にも似た輝きをを持っていた、嫁も転移に慣れているためすぐに何かが出て来るという発想に至ったのだろう。
何かしらの要因で迷宮核の魔力に反応して別の座標からモンスターが溢れてしまった?しかし、何処から、何故?思考するもののやはり原因に思い当たるものは無い。
11階層から15階層までの魔力の反応が消失していた事と、核のみが取り残されている事。
ごっそりと持ち逃げされたダンジョンの魔素はどこへ消えた?
迷宮核の向こうに繋がっているのは何処か?
これは作為的なものなのか、無作為的なものか?
後者の場合は魔素さえ供給を止めてしまえばこの現象を止めることができるだろう。しかし、前者の場合何者かによって妨害または変更される危険を孕んでいる。迂闊なことはできない。
思考の海にどっぷりと漬かりつつも戦闘は続き・・やがて先ほど同様にモンスターの山が折り重なった状態となりそれは終焉を迎えた。
「終わりかな~?♪」
「絶対終わらないってある程度推測できてて無責任なことを言うのはよそう。」
「あはは♪」
戦闘が終わりを迎え、静けさが戻ったダンジョン内、周囲を見やればモンスターの死骸は再びダンジョンへと吸収され元の核だけがポツンと佇む異様な雰囲気を取り戻していた。
物珍しい顔で核を見つめていたルシエが何もない空間を見つめながら呟く。
「先程の戦闘で吸収されたダンジョンの魔素、そして今ダンジョンに吸収された魔素、これらは核へと繋がっている、しかしダンジョンは異様な姿のまま、では吸収されたその膨大な魔素は何処へ?」
「その質問にお答えしよう、長きを生きる森の民・・エルフよ。」
「「「「!!!!!っつ!!!!!」」」」
ルシエが呟き終えた瞬間には核の前に一人、角の生えた兜のフルプレイトアーマーで完全武装をした人影があった。
4人は即座に警戒しつつも動きを見せない人影を見やる。殺意や威圧感は全くない。
故に様子見でということをアイコンタクトで確認しあう。
薄暗いダンジョン内で緊張感が増す中人影は兜をおもむろに外す。
浅黒い肌、エルフのものよりは短く尖った耳、瞳は血の色のように赤く縦に伸びた瞳孔は爬虫類を思わせるがどことなくドラゴンにも似ている。深い藍色の髪を兜からするりと抜き、持った兜を左の脇に抱え、右手で風も吹いていないのにマントをわざわざ翻させながら人影だったものは大声を上げる。
「我こそは魔大陸の王、偉大なる竜を始祖に持つ最強の覇王リュガヴェルである。」
「え~、質問に答えるんじゃなかったのぉ?♪」
嫁っ!突っ込みは適格だが今はそんな雰囲気でも無くないか?とおっさんは頭を抱えつつ自称魔(大陸の)王と宣った者を見やる。今のところは敵意はないようだがさてはてどうなることやら?
長くなりそうなので分けました




