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おっさんは聖女になりて異世界を憂う  作者: とくみつ ろゆき
人間の国編・フォンターレ領の渇きと聖女の憂い
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事後の様子と今後への布石

久々の休みで12時間くらい寝てました。アップ遅くなって申し訳ありません

獣王国の旧商業ギルド長の館は、門が取り払われ柵だけが残っており、誰もが出入りできるように改装されていた。向かって左側が教会部分、右側が大使館といった作りとなっており入り口も別々に作られている。フォンターレで儀式を終えて約2時間、人もまばらになっている広い庭部分を歩きつつきょろきょろと変化点を見つけては獣王のレイネ様に対する寵愛を確信して少し笑えて来た。


教会部分の扉に手をかけてゆっくりと大きな扉を開ける。魔術具が使用されているのだろうか?重くて大きい筈の扉は音も無く静かに開かれていく。


「聖女様!いらしていたのですね。」

「おお、素晴らしい儀式であったぞ聖女よ。」


礼拝堂の奥に居たレイネ様と獣王が開いた扉に気が付き声を上げる。数人の部下や従者を伴って礼拝堂の奥にある御神体?を眺めている様だった。あまり気に留めずレイネ様の方に歩いて行くと御神体が段々と良く見えるようになり・・・歩みを止めて硬直する。


「レイネ様・・・女神スィーリズ様はこのような像でしたか?」

「いいえ、コチラの像は救国の聖女を模したものとなっております。」


ドヤ顔で胸を張り腰に手を当てたポーズでレイネ様が像を見上げる。


3メートル程ある像は間違いなくリアの姿を模したもので有る。以前ここに来た時胸を凝視されたことを思い出し、ローブの共襟を掴んで胸を隠すように少し小さくなって歩き獣王とレイネ様の前へと進み、


「露出が多いのでは?」

「何を言うこの躍動感溢れるデザインと溢れる母性、なかなかのものだぞ。」


天を指さした聖女と足元から抱き着くようなかたちで寄り添う三人の天使、まさか像にされてしまうとは思っても見なかったので驚きを隠せない。


サムズアップしてウィンクする獣王とドヤ顔のままのレイネ様の異様な圧に負け、真っ赤になってだじろぎつつも大騒ぎせずに冷静さを取り戻し話を続けた。


「像は、まぁ、作ってしまったものは仕方ないのでいいとして、儀式が素晴らしかったというのは?」

「ええ、指定された時刻にここに人々を集め指定されたように布を敷き、リア様がされている礼拝のポーズで皆に大地の再生と国の発展を願う様にとお願いしました。」

「するとやがて像の羽衣部分から光を放ちだしてな、予もレイネもびっくりして声も上げられなんだ。」

「立ち昇った光は像の上でくるくると円を描いてから光の玉へと変わり、キラキラとした光をこの場に居た者全てに振りまいてからフォンターレ領の方角へと飛んで行ったのです。」


興奮気味に力説する二人はどんどん距離を狭めてくる、レイネ様の圧が尋常では無い。じりじりと下がりつつフムフムと聞きに徹している。交互に話をする獣王とレイネ、その姿が微笑ましくなってしまいおっさんは降参するかのように顔を上げて二人を真っすぐ見た。


「光が消え去った後、祈りを捧げた者の多くが体調が良くなったと申し出て来たのです。」

「最初は思い込みか何かかとも疑ったのだがな、確認した所ここに入れなかった住民の多くも同じように感じておったことが兵士の報告によって挙げられたのだ。」

「成程、体調不良では無いのなら良かったです。皆さまのご協力に感謝致します。」


深々と頭を下げてお礼をすると。


「其方は、本当に返す事の出来ぬ恩をこの国に授けてゆくのだな。今回の儀式も人王国と獣王国の講和実現の前段階としてレイネを民の前にお披露目するという場として設けたに過ぎぬというのに。」

「それでも、皆様の願いや、想いは、祈りとして力になりフォンターレ領に良い方向性を生み出してくださいましたから。」

「言ったでしょう?聖女様には敵わないって!」

「そうだな、そうだったな。」


深く頷いて納得の笑みを浮かべる獣王に続いて獣王国宰相や官僚たちからも報告が続く。

感謝の言葉と儀式の光景が素晴らしかったことなどを伝えられて和気藹々としたムードで話をしていたが、あまり長居しても良くは無いだろうと思いおっさんは切り出した。


「中立商業都市と魔王国についての情報があればお教え願いますか?今後の予定を立てて行くにあたって必要なのです。」

「ふむ、この大陸から離れる予定が有るという事だな?」

「はい、ですが転移魔法が有りますので移動は向こうに到着すれば何時でもできますので。」

「そうか、ならば良い。宰相、地図を持て。聖女様に勢力図の説明を。」

「かしこまりました。」


礼拝堂の裏にある会議室の様な小部屋に移動して中立商業都市の情報と魔王国の情勢を簡単に説明してもらい、ドワーフの里への道も教えて貰うことが出来た。


話が終わってお茶を啜り談笑していると蝶華から通信が入る。


『旦那様、只今ヴァイスプレ閣下から連絡があり王城へと向かって頂きたいそうです。』

『王城?王様から何か用なのかな?』

『詳しくは存じませんが・・・どうお返事いたしましょう?』

『わかった、こっちの用事は済んだからすぐに向かうって伝えておいて。』

『かしこまりました。今は獣王国でしたね?』

『うん、レイネ様が獣王をモフモフしてるよ。』

『いいなぁ・・・ゴホン・・失礼しました、では。』


やっぱりこの大陸を離れる前に一度皆で挨拶を兼ねて獣王国へは来ておくべきかな。王の用事の内容よりもそんな事を考えてしまうおっさんだったが、一国の王の呼び出しであるからには応えねばならないだろう。


「獣王陛下、人王から連絡があり王城へと向かわねばならなくなったため失礼する事をお許しください。又、次の機会には家族を獣王国へと連れて来たいと思うのですが宜しいでしょうか?」

「構わぬ。宿泊も食事も整えておこう。」

「有難うございます。先ぶれは失礼ですがレイネ様にお願いしますね。」

「他ならぬ聖女様の頼みですもの、喜んでお引き受け致します。皆さんに会えるのも楽しみです。」




教会施設から出て、転移の魔方陣の有る入り口付近まで移動してからヴァイスプレ邸へと移動する。ドレスチェンジで一応儀式用の正装に着替えた後、すぐに現れたジェントさんに案内されて馬車に乗り王城へと移動する。ヴァイスプレ閣下は既に王城で待機しているそうだ。



王城に到着してそのまま謁見の間にでも行くのかと思いきや、一足飛びで執務室に案内される。開けられた扉の中に入ると王と宰相とヴァイスプレ、後は護衛騎士が二人いるだけで給仕はジェントさんが行う状態だった。椅子を引かれて座る様に促され、席に着くと会話が始まる。


「流石に早いな、転移魔法と言うのは便利じゃのぉ。」

「ええと・・この度の御呼び出しは何か重要な案件なのでしょうか?」

「まぁそう焦るでない、畏まる必要も無い、許す。茶でも飲んで落ち着いて話をしようではないか。」

「はぁ・・。」


ジェントさんが出してくれたお茶を啜って一息つく、先程までも獣王国でお茶を啜っていたのだが、国によって大分味が違うもので飽きたりはしていない。お茶菓子も頂いて少し落ち着いた所で王が話し出す。


「転移魔方陣をワシも使う事が出来るじゃろうか?もしくはワシを伴って移動してはくれぬか?」

「それはフォンターレ領へ、ですか?獣王国へですか?」

「両方じゃな、距離的に考えても両方に顔を出して戻ってくるには城を空ける期間が長すぎるでのぉ。」

「お連れするのは構いません、通過許可を変更してヴァイスプレ閣下と共になら移動できるように変更致しましょう。王と宰相で宜しいですか?」

「うむ、身勝手な願いを聞いて貰って悪いのぉ。」

「いいえ、復興と講和どちらも私にとっては大事な事ですし利害が一致します。」

「有難う。感謝する。こういう場でもない限り礼も尽くせぬでな・・許せ。」


そう言って王は立ち上がり頭を下げる。従者を廃し、側近と宰相のみしか居ないこの場でしか頭を下げれないことをおっさんも承知しているため礼を受け入れる。


「一国の王と宰相の移動ですから、ジェントさんとうちの家族で護衛任務を引き受けましょう。」

「それは願っても無い事だが、何かそちらからの要望でもあるのかな?」

「いえ、まだ先の事になるでしょうが・・・・」


王に今後の予定と獣王国で得た情報などを伝えて、この場に居る者以外へは他言無用とした。これから講和をしようという時に何する訳でも無いであろうが念には念を入れておく。


「わかった。では移動の前にヴァイスプレの方から先ぶれを出してもらう事としよう。」

「何だか毎回其方には迷惑かけてばかりになってしまい申し訳ない。」

「いいんですよヴァイスプレ閣下、その為に転移の魔方陣を閣下の家に設置させてもらっているのですから。」


実質貴族や王族とのコネクションは全てヴァイスプレ閣下にかかっている。簡単に王族貴族に連絡など付くはずもない。こっちもそれに助けられているので問題は無かった。






王宮からヴァイスプレ邸に戻り、転移でフォンターレ領主邸の食堂を経由して領主執務室へと向かう。

コンコンっとノックすると扉が開かれ侍女長のメイド服が見える。


「リア様、お戻りになられたのですね。」

「はい、宿題は順調ですか?」

「見ての通りで御座います。」


机の上に広げられた領地改造計画の紙たちの合間に突っ伏したレミアが見える。


「旦那様おかえりぃ~♪」

「おかえりなさいませ旦那様。」


笑顔の嫁と蝶華、詰込みで頭が沸騰しそうなレミア、それを生暖かく見つめる従者達・・・なんとも温度差の激しい執務室だった。




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