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おっさんは聖女になりて異世界を憂う  作者: とくみつ ろゆき
人間の国編・教会を救いし聖女の憂い
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〈閑話1〉女神達の思惑と聖女

時系列的にはおっさんがコテジをアイテムボックスから出す前後です

天界・地球の女神の間


「全くデル・エール(あのこ)の女神ときたら、一体何を考えているのかしら」

「全くですね、唐突に数千年ぶりに現れたと思えば地球(こちら)の特異点を貸し出せとか良く了承致しましたねフィーリズ様?」

「一応双子神のよしみ・・という名目で了承はしたのだけれどね、そんなことよりもバスティ、遠見の写し鏡は改良できたのかしら?」

「ええ、超特急で作らせました、ヘパイストス様も仕事があると生き生きされております」

「そぉね、では見せて頂戴」


神の間には主神フィーリズと傍使え筆頭天使のバスティがおり、そこへ大きな装飾を施された卵型の鏡が運び込まれてくる


「改良点としましては、スィーリズ様へばれない様に完全隠蔽の刻印と、特異点が持つ絶対不干渉の魔法の中も見えるように千里眼強度をマックスまで引き上げております、8K画像でお楽しみ頂けます」

「8Kって、飛び出す絵本みたいで何だか目がウロウロするんだけど・・まぁいいでしょう映して頂戴」

「はッ、仰せのままに」


そう言ってバスティは写し鏡を女神が見えるように設置して、神の力を注ぎ込む

一瞬靄がかかったように鏡が曇ったのちに草原でコテジを出してワイワイとチェック作業をしている夫婦の姿が映し出される


「無自覚で暢気よね、この二人は・・・いつもの事なのだけれど」

「そうで御座いますねぇ」


女神の右後ろに立つバスティは相槌を打ちながらお茶の準備を進めないとと思い少し女神から離れた

女神フィーリズは椅子に腰かけ足を組み膝に肘を突きつつ手の甲で顎を支えるようにして鏡を覗いている


おっさんと嫁は結界を張る準備を始めて嫁が庭に入り、おっさんは僧杖を構えて詠唱に入る


「つッ、ゲーム内では肉声言語じゃなかったからまだマシだったけれど・・これほどまで生の『聖女の祈り』はビンビン響くものなのねぇ」


自らの体を抱きしめるようにして身震いをする女神フィーリズ、何かを思いついたようにガサガサと部屋の隅を漁りだしていた・・・




一方、デル・エールの神の間では同じく遠見の写し鏡を用いて女神スィーリズが二人を見つめていた


「何をやっているのかしらこの二人は?」

「家建てちゃいましたね・・」

「わかってるわよそんなことは!何を考えて行動しているかがはっきりしないからこうしてお前に話を振っているのに」

「お言葉ですがスィーリズ様の読心術で見えないものは私たち天使程度の力では到底・・・」

「使えないわね、下がりなさい」


最初におっさんに話しかけた瞬間からスィーリズの読心術を以てしてもおっさんと嫁二人の思考は副音声がごちゃごちゃに混ざったようで的を得ない言語の様に聞こえているのであった


思うように行動が操作できない腹いせに筆頭傍使えセドムに当たり散らしていた


「神へ祈りなさい、あなたじゃなくていいの、もっと多くの、もっと広くの、すべての生きとし生けるものに祈りを伝えなさい、そうすれば私は・・・・」


神の間で一人大声を上げて高笑いするスィーリズ、神の間の前では下がっていたセドムが辞表を出そうかどうか本気で思い悩んでいた





再び、地球の神の間


「うわ、電波障害ですか?これ」

「これが特異点の能力の一部、絶対不干渉よ」


砂嵐交じりになった写し鏡の中でおっさんは晩御飯を作っていた、見つめる女神フィーリズは何か得心がいった表情で鏡を覗いている


「ちょっとバスティあそこの寝室の枕にコレを仕込んできなさい、あなたの能力なら可能でしょう?」

「完全透過ですか?あれをやるとものすっごく疲れるのですが・・・わかりました」


フッとその場から消えてバスティは一瞬で戻って来た、行く時とは打って変わって満足げな表情である、しかしながら完全透過の影響か疲弊は大きく顔色が悪い

それでも女神フィーリズの前に戻ってすぐに駆け寄り、跪いて首を垂れる


「夢見の宝珠、設置完了いたしました」

「ご苦労様、さすがはバスティね」


女神フィーリズはバスティの天使の輪に触れると、光は強さを増し、バスティはみるみる顔色が戻っていく


「感謝の・・極っ・・」


そういって立ち上がり通常業務へと戻ったところで、おっさんと嫁は布団に潜り込んだ所だった

女神フィーリズは二人が眠ったことを確認してバスティに声をかける


「では、少し離れるわよ」

「は、お気をつけて」


今度は女神フィーリズがフッと消える








おっさんと嫁の夢の中


「起きなさい、起きなさいったら、手間をかけさせないで」

「おはようございます??どちら様でしょう、女神スィーリズの関係者さまですか?」

「私は地球周辺の女神フィーリズです、貴方が普段祈りを捧げているのが私、と言えばわかるのかしら?」

「なるほど、わかります」

「貴方、スィーリズの目的については何か考えが至っているの?」

「ん~それなんですがねぇ、まだピース的には足りないのですよ」

「相変わらず、すごい並列思考ねぇ、おかげであの子(スィーリズ)には読み切れていないみたいだけれど」

「それほどでも」

「貴方の嫁も同程度に使いこなしているようなので今後も注意して生活なさい、貴方が無事地球(こちら)に戻れるよう遠くから私は見守っていますわ」

「ご忠告に感謝します」

「ああ、オマケで良い情報を与えましょう、この結界内はあの子(スィーリズ)には見えなくなっていますから秘め事があるならばここでするのが良いでしょう、それでは」

「zzzzz♪」

「・・・・・」





地球の女神の間


「戻ったわ」

「おかえりなさいませ」

「とりあえずは上手く運んでいるみたい」

「ですか」

「何かトンデモナイ事しちゃいそうな気もするのだけれど、今の所は傍観かしらね」

「わかりました」

「あとはこの砂嵐何とかならないの?クーリングオフして、作り直しよ、リテイク~」

「わかりましたぁ・・・」






一方、再びのデル・エールの女神の間


「なによ、なによ、何?見えないじゃない~、故障?」

「女神スィーリズ、これは恐らく特異点の先天特性によるものでは?」

「先天特性?そうしたらあの女(フィーリズ)しか干渉する権限を持ち合わせないってこと?」

「左様でございます」

「きぃ~~~何かすんなり特異点レンタル交渉も了承するからおかしいとは思っていたのよぉ~!」


ひとしきりフィーリズの悪口やおっさんと嫁に対する愚痴をこぼして女神スィーリズは


「寝るわ、彼らが結界解除したら起こしなさい!」

「はッ、了解いたしました」


不貞寝かよ、と一瞬思考しそうになって即中断で来た事を感激しつつセドムは自室へと戻っていった

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