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おっさんは聖女になりて異世界を憂う  作者: とくみつ ろゆき
人間の国編・フォンターレ領の渇きと聖女の憂い
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二日目が終わって

コテジで夕食後に報告会を行う。レミアと従者3人も一緒に席に着き真剣な顔をしてこちらを見つめている。


「嫁、ルシエ、外務担当に目立った動きがあったかな?」

「んとね、村長の家に泊まって飲み食いして偉そうにしてたよぉ。」

「態度がおっきくて何かボクあの人嫌いな感じ。」


ふむふむ・・、とおっさんは頷いて。


「当面は放置で、村長の家にはこっそり嫁が差し入れを持って行っておけば問題無いし。」

「わかったよ~♪」


予めレミアと従者3人には聖女一行(おっさんたち)がどのような構成なのかを伝え、話せる事は伝えてある。おっさんと嫁が異世界からの転移者であること、全員が婚姻関係にある事、おっさんが男で、嫁が女の魂を持っている事等をコテジ(ここ)に来る者には話しておこうと決めていた。

主な理由としてはコテジ内で嫁がセシルモードで長続きしないので取り繕っても無駄であるという判断が大きいのだが、知られて問題無いので隠す気も無いのが正直な所である。


「水と食料は順調に運べているかな?」

「はい、朝夕の2便体制で運搬を行い2日目で11村全てに一回目の配給品が届けられたと報告を受けています。」


おっさんとレミアが回った村が初日に1、二日目で3。

輸送班の馬車が配給を行った村が初日の夕刻便で4、二日目の朝夕便で7。

嫁とルシエが掘削している村が1。ここは掘削が完了したと報告があった。


これで一応全ての村に一次の配給は済んだことになる。あとは従者達の体調や馬の体調を考慮して休ませつつ水と食料を枯渇させないようにして、浄化と癒しの班と掘削の班が回り切れば一応安定できる。


「5日目の夕刻から私も掘削に向かいます。でも、掘る事が出来ても土砂を上に上げる事ができないので、相当に時間がかかる事が予想できます。」

「水と食料を与えて頂いているのです、領主として村人達にも協力を仰いでみますわ!」


レミアが立ち上がり胸に手を当てつつ宣言した。


「わかりました。村人たちの体調管理も併せて引き受けましょう。」


いくら食料と水が有っても村人たちは一般人である。体力に限界があり、おっさん達の様なチートなパラメーターを持っている訳でも無い。暑ければ疲れるし、働けば弱る。おっさんは二度手間とわかりつつも領主主導の井戸掘り計画である事を前面に打ち出してもらいつつ作業を行う事とした。


おっさんはただ与える事を良しとしない。それには意思が無いためだ。救われる者には救われたいという意思、何かをどうにかしたいという願いや祈り、それを行動に移す志が必要であると思っている。


ただ与えただけでは何も先に繋がらず、今後おっさんが居なくなったときに天災に見舞われた場合に同じことを繰り返す可能性がある為だ。それでは奉仕に意味など無い。だからこそレミアの提案を受け入れた。


「じゃあ明日以降の作戦は以上で、明日も早いし、お風呂入って、しっかり休もうか。」

「は~い。(全員)」


コテジの浴場へと向かう一行、いつも通りに全員がわ~っと向かう。

脱衣所でレミアと従者3名がモジモジしている、何があったのだろうと近づいてみると。


「あの、セシルさんは一応殿方ですし・・・その・・」

「ああ、失念してた。ごめんなさい4人はこっちのお風呂へどうぞ。」


普段嫁を男扱いしないために3つあるお風呂のうち混浴用しか使っていなかった。流石に未婚の4人を混浴させるわけにはいかない。おっさんは慌てて女性用の風呂にお湯を張り、4名を案内する。


「これだけのお湯が短時間で・・すごい魔道具ですわ。」

「王宮のお風呂みたいですね、王宮には言った事ないですけれど。」

「混浴・・」

「ダメよ、欲望が溢れ出してる!」


何やら約2名の会話内容が怪しいが気にせずおっさんはスルスルと衣服を脱ぎタオルを巻いて設備の説明をするため4名と共に女風呂に入っていく。流石のおっさんも滞在日数が伸びていく中、女性の裸程度ではドギマギしない程度のメンタルは鍛えられてきたのだった。


「この低い椅子に腰掛けて、この洗い布にボディソープ・・これを付けて泡立てて体を洗います。」

「成程、やってみましょう。」


ハラリとタオルを外しレミアが白い素肌を晒す。日差しの強い中に居ても真っ白のままなのは何か貴族特有の紫外線対策でもあるのだろうか?とおっさんは関係ないことを考えて邪念を打ち払う。レミアは年相応の発育で実り切っていない特有の色気があった。おっさんの体は顔が幼いだけで完成されたメリハリボディなので、何だか罪悪感を覚えつつも丁寧に説明し、シャワーで流す所まで教えきった。


「あとはゆっくり湯舟に浸かって、温まって下さい。」

「説明に感謝致しますわ。」


湯舟にタオルをつけるのはNGだと教えた通りに4人とも全裸で湯舟に浸かる。4人は嫁たちと違って大人しく入浴してくれるし、ちょっかい(悪戯)もしてこないためおっさんは久々にゆっくりとお湯を楽しんでいた。


「こんなに贅沢をして私は許されるのでしょうか?今も村人は大変な思いをしているというのに。」


ポツリと俯いて嘆く様にため息をつくレミア。


「いいのでは無いですか?村々の人以外にも多分大勢の人が今も何処かで苦しんでいるかも知れません。今この瞬間に生死の境で苦しんでいる者がいるかも知れません。ですが、それが分かったところで私たちが今から何かを出来るわけではないのですし。」


「そう、なのでしょうけれども・・」


「全てを救うとか、全部を守るとか、そんな事は一人の人間の手には余る所業です。それを口にしてしまえる者は暴慢な者か、真の超越者でしかない。少なくとも私はそんな大それた事を言うつもりは無いです。」


「リア様がそう言われるのならそうなのでしょうね。」


「自分が生きて、自分に余った分を少しだけ周りに配って回る。私がしているのはその程度の事なのです。何の力も無く、生きるのが精一杯であればそんな事は考えつきもしないでしょう?」


「そうですね、そうなのですよね。私奢っていたのかも知れません。リア様感謝致しますわ!」


レミアは納得して、湯を手で顔へとスゥっと掬うように持っていきパシャっと自分の顔にかけてから俯いていた顔を上げ、ニッコリと微笑んだ。


それを聞き、見つめていた従者達は涙を溜めて少しウルウルしている。いい娘達だなぁ、とおっさんは様子を見つつ、老婆心から説教っぽい話をしてしまった自分が照れ臭くなってそそくさと湯舟から上がり脱衣所へと向かう。


浴場から離れると嫁とルシエと蝶華も既に風呂から上がっていて、3人で冷水で火照った体を潤していた。


「旦那様のエッチあんな若い子と混浴なんてぇ!」

「不潔です。」

「ボクも一緒がよかったよ。」


嫁よ、その言い分だと蝶華もレミアとは1歳くらいしか違わないぞ!と突っ込みを入れそうになったが、ただの賑やかし程度のむくれ顔を見ていると一緒に入れなくて残念だったと言うだけの事だろうとすぐにわかり、おっさんは座っている嫁達の顔の近くまで行って。


「何時だって君たちとは入れるんだからワガママ言わないんだぞ。」


と小さめの声で言うと、3人は何故か顔を真っ赤にしてモジモジしてしまった。


「そ、それなら別にいいけどぉ。」

「で、です。」

「ボクは旦那様とお風呂が気持ちいいから、い、何時でも構わないよ。」


何かを期待している眼差しだったが、明日も早いし村々の安定もまだ得られてはいない。毒抜きはもう少し先かな・・とおっさんは冷静に考えて。


「せっかく温まったのだから、早めに休もう。明日も早いんだしね。」


何事も無かったようにケロッとした表情でおっさんは言い放つと、嫁達はガクっと残念そうに首を垂れた後ゆっくりと立ち上がり、しぶしぶと自室に戻る。おっさんは可哀そうな事をしたのかな?とも思い。


「5日目の作業が終わったら、その、あれだ。少しゆっくりしよう。」


おっさんの小声の提案に沈んでいた3人は階段を嬉々として上がっていく。


「5日目の終わった後に何かが起こる?のでしょうか?」

「らしいですね。」

「夫婦ですしね。」

「当たり前だよね。」


4人の娘達が脱衣所の陰から見ていた事は誰も知らない。















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