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おっさんは聖女になりて異世界を憂う  作者: とくみつ ろゆき
人間の国編・妖精の誘いと聖女の憂い
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〈閑話3〉エルフの女王

ボクはルシエ、ここ200年は魔女の森の魔女と呼ばれている


その前は?って


エルフの森で女王をしていたんだけれど閉鎖的で、息苦しくて、ご飯もあんまり美味しくないし


出奔しちゃった



それから昔食べた人間たちの料理が美味しかったから、人間の都にまず向かったんだよ

警戒心が無かったのかも知れないと当時を反省するね・・捕まりそうになった、売り物として


亜人は人間たちにとって珍しいものであり、畏怖の対象であり、考え方によっては金になると思われてた

僕は一旦近くの森に逃げ込んで変装をしたんだ、精霊たちの力を借りて


その後は街にすんなり入れるようになって、売り買いをしながら森に家を建てていったんだ


最初は葉っぱの家


次はログハウスの小さいの


さらに魔法で木を板に加工して今の家の原型ができた


人間達の家を模倣して、試行錯誤、大変だけれども、充実してる、時間は余るほどあるボクは自由だった


家の周りの森にはキノコもあって、食料には事欠かなかった


でもね、街の食事処の料理は自分で作るより数段美味しかったんだ、ボクは資金を貯めて貴族街のお店に出入りできるようになるために大商人との繋がりを持とうと考えた


幸い魔道具とか魔道素材とか売り物には困ってなかったからね、意外と順調に事は運んだんだ


でも、充実した日々は唐突に失われる危険があった


人間の都にもエルフの里から捜索隊が差し向けられ、秘密裏に行動するようになったのさ


ボクは慌てたね、まず住処を知られぬように認識阻害の魔法でぐるっと家の周り500Mくらいを覆った

それからその周り半径一キロくらいを幻惑魔法ですっぽり包んだよ、自由の為に頑張ったよボク


そうして数年で捜索隊も見切りをつけて諦めて帰って行った、そこからは本当の意味でボクは外の世界を謳歌していったんだよ


草原を抜け、森を抜け、海にも行ったし、山にも登って

何年、何十年、何百年とかけてボクは世界中を見て、様々な景色、食、文化に触れた

様々な種族と交流ができてエルフの森の情報も手に入るようになって知った


妹のルシリルが女王代理となった事、でも爺が実質エルフの里を仕切っていること

妹はボクがいなくなって、未だにすごく落ち込んでいるということ


あれから何百年経っただろうか・・

少しエルフの里が心配になって来た同時に精霊王の言葉が頭によぎる


「優しくあれ、真摯であれ、受け止めるものとして、世界を聞き、世界を見るのだ、そなたは女王何を成しても、何も成さずとも女王なのだ、それを努々忘れぬように」


忘れかけていた、忘れようとしていた事を今になって鮮明に思い出した

ボクは動き出さなきゃいけない、そう感じ取ったんだ


そんな時だった、ボクの住む場所の近くの森に人間が入って来た、今までそんなことは一度もなかった、一人で護衛も何も無しに女性が一人まっすぐに家に向かって来ている


幻惑の森を抜け、認識阻害の森も抜け、人間の女は庭の前まで来て深々と頭を下げて去って行く


何だったんだろう、その答えはその後のある夜に発覚する



オスとメスの匂い、響く艶のある声、しかも一人じゃない?これを謝りに来てたんだとボクは思った

エルフは繁殖行為が盛んな種族である、行為が好きってわけでは無く、繁殖率が低いためなんだけれど

色々想像しちゃって悶々とした夜を迎え、眠りは浅く、体は重い


ボクも相手が欲しいのかな?


自分に問いかけるも明確な答えは出ない、里に戻れば準備された相手と無理やりにでも結婚させられるであろうことが分かっていた


相手が決まっていればそうはならないかも知れない?

ボクは思いつく、でもどうやって・・・この間の人間の番はどうかな?二人も三人も一緒だよね?


どう取り付くものかと数日試案している所に向こうから人間がこの家にやって来た

あの夜の声の主だ、間違いない


ボクは平静を装って客人の話を聞き、人間の頼みを聞き手助けをする、まずは相手の為に尽くさないとね

すると人間はキノコをプレゼントしてくれた、しかも大好物の【石キノコ】だ

舞い上がってフードが取れてエルフということが露呈しても人間はありのままのボクを受け入れてくれる


この3人ならイイかも


ボクは決めていた、この3人と共にエルフの里に一度戻ろうと


その時には・・・まずはあの手紙が届くのを待とう、きっとこの家に戻って来る筈・・・



ボクは何百年ぶりの里帰りのための準備を始めていた

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