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おっさんは聖女になりて異世界を憂う  作者: とくみつ ろゆき
人間の国編・教会を救いし聖女の憂い
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次の一手の為に

ちょっと短めですが切りが良いと思ったので

「ん~なんだか股に何か挟まっている感じで落ち着かない・・・」


おっさんは裸のまま3人で横になっていることで事後であることを認識し、二人を起こさぬようにベッドから離れて早着替えを済ませて台所へ向かう


「朝ご飯作ろう、そうしよう」


何かの雑念を払うかの如くおっさんは朝食を作っていく

カツオと昆布で出汁を取り、味噌は麦みそ田舎味噌、具はわかめと豆腐、スタンダードな味噌汁


あとは、ベーコンエッグとサラダと、ソーセージ一人3本、これだけでも十分だがおっさんは母屋から外に出ておもむろに七輪で魚を焼く、塩鯖である


何かをしていないと落ち着かない、そんな心理状態だった、無心に塩鯖を見つめ、滴る油から立ち昇る煙がいい塩梅に鯖を旨くしていくのを眺めていた

ふと、人気を感じて振り返ると花影が扉を半分開いてこちらを見つめている


「旦那様、ですか?」


一瞬息が止まるような気分だった、女帝に任せておけば安心だと思っていたのだが、一体何がどうしておっさんが旦那様と呼ばれるようになったのか想像できなかった、女帝は思考を連結させていない状態でカラカラ笑っている様だった、あとで詳しく問い詰めよう


「そうですよ、おはようございます良く眠れましたか?」

「はい、昨晩はすごかったですから」

「そうですか、すみません途中までしかご一緒できなくて」

「いいえ、その、いいんです、わたしもセシルさんも旦那様の事大好きですから」

「ありがとう、巻き込んでしまって申し訳ない」

「謝らないでください、本当に私は良かったと思ってますから」


二人してペコペコ謝り合っていると嫁が花影の頭の上から顔を出す


「おはよぉ~良い匂い~塩鯖だねぇ~♪」

「おはよう、もう焼きあがるから顔洗って、朝ご飯にしましょう」

「はい」

「は~い」


4人掛けのテーブルにおっさん、向かい側に嫁その隣に花影が座る

おっさんと嫁は『頂きます!』と手を合わせ箸を手に取る、花影が何か置いて行かれたような顔でこちらを見ている

おっさんは花影の方に顔を向けてゆっくり説明する


「そうだね、私と嫁の文化だと『頂きます』は食事に対する感謝を込めて祈るモノなんだ」

「食事に対する感謝?」

「そう、例えばこの白い粒お米って言うんだけど農家の方が一生懸命作って下さったものだから生産者への感謝」

「ふむふむ」

「鯖は殺して、命を戴いているという意味合いでの感謝」

「なるほど」

「最後に今日も生きていてご飯が食べられる自分自身が在ることに感謝だね」

「深いですね」

「そうだね、慣用的になってしまってそこまで深く感謝の祈りをする人も減ってしまったけれど私たちは感謝の祈りを忘れてはいけないと思っているよ」

「私もやります、『頂きます!』」


そのたどたどしい頂きますを見つめて、嫁が花影に箸の使い方をレクチャーしてるのを見つめて、時間の流れが穏やかな朝食だった


食後に緑茶を淹れて、3人分並べ終えてからおっさんは話を切り出す


「嫁の『毒抜き』も済んだし、教会の情報収集の続きから始めていこうかと思う」

「うん」

「はい」

「花影さんがどこまで私たちの情報を持っているかのすり合わせもしないといけないね」

「だねぇ、その前にいいかな?」

「なんだろう?嫁」

「花影って多分名前じゃないと思うんだよね・・」

「はい、そうですね、部隊内での呼び名といいますか、私は孤児なのでもともと名前は無いのですが」

「それは失礼、じゃあ嫁、きらっきらの名前を授けてあげなさいな」

「うぇ~無茶ぶり~」

「お願いします」


花影はキラキラした瞳で隣の嫁を見つめている

嫁は両手の人差し指をこめかみにあてて思考のポーズで唸る


「う~ん」

「うう~む」

「はう~・・・!!」


「蝶々使ってたから~~~『蝶華』っていうのはどぉ?」

「『蝶華』!いいですね、私今日から蝶華って名乗ります、有難うございます」

「いえいえ、それほどでも~」

「では、蝶華さん改めてよろしくという事で、話を続けて良いかい?」

「いいとも~!」

「はい!」


おっさんはお茶を一口啜ってから話し出す


「教会を救いたい、でも教会だけ救っても意味は無い、だから今後の動きとしては・・・」

「なるほど、それで国王に用があるんだね?」

「あの時点でそこまで・・御見それしました」

「うん、なので各自に動いてもらわないとならないかな」

「教会の資金の裏取りは私で~」

「ヴァイスプレ閣下との連携は私ですね」

「私は採集を森でしてから教会に向かう、お昼はみんなで孤児院で食べようか」

「りょ~」

「了解しました」


午後は少しゆっくりできそうなので、蝶華には公爵邸から自分の荷物をコテジに運んだり、衣類の補充の買い物をしてもらう事とした

自分のやることが決まって顔が引き締まっている二人を心強く思う、だが心配である


「危険だと思う場合はまず自分の安全が第一、無理しない!これ大事!」

「わかってる早めに連絡入れるね」

「気を付けます」


確認事項を終えて、おっさん以外は転移陣で街へ戻っていった、おっさんは森へと採集に向かうのだった






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