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おっさんは聖女になりて異世界を憂う  作者: とくみつ ろゆき
人間の国編・教会を救いし聖女の憂い
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おっさんとその嫁が女神に召喚される経緯

本作品に登場するキャラクターやナレーション的な部分で用いられる会話等内容の全てが創作の物によるフィクションだと捉えて下さい。宗教や思想、考え方、料理や作法に関しても全てがフィクションです。考え方を押し付けたり同意を求めるものでは無いと最初に断っておきます。


おっさんの考え方はマイノリティーの部分も多いので、大衆社会に反旗を翻すつもりは無い事を確認して作品をお楽しみ頂ければと思う次第です。

VRMMOゲーム内の宿屋でハイプリーストのアバターを使うおっさんは一人物思いにふけっていた


「今日のPTはやりずらかったなぁ・・・・盾のヘイトが低めで火力はゴリゴリで調整が無い、そのくせ回復アイテムは率先して使うことを躊躇う、責任と仕事量がこっちに全部回ってきてしまうそんなPTだった」と一人ベッドの上で天井を仰ぎつつぼやく



せめてゲーム内だけでも『等しく平等に、慈愛の心を持ち、強きを諫め弱きは助ける』



そんな聖女のようなネカマがいてもいいんじゃない?と思い立ってから約5年、様々なゲームの内で回復職女性アバターのみを使用して、嫌味がない程度の女言葉を使いつつ立ち回っていた


VRMMO内では全ての者がアバターを纏って架空の自分を演じることとなる。そのせいもあって本来の自分自身よりも過分に大きくなる言動や理不尽な弱者への対応などが顕著にゲーム世界に蔓延していて、おっさんはゲーム内では異色の人物として強者とは別の意味で目立っている



他人に優しくすることはそんなに珍しいことなんだろうか?



別れ際に、一人沈んだ状態で言葉少なく去ろうとするPTの盾役の子に向けておっさんは声をかけた

「所詮ゲームなんだから楽しまなきゃ損だよ、時間とお金割いてやりこんでる子達と同じことはできないんだから思うままに自分のプレイを続けてね。無理してゲーム時間とか伸ばして仕事とか家庭とか壊しちゃダメなとこは崩さないようににね、リアル大事よ~」


そう告げて手を振って別れた



あの盾の子が掲示板とかで叩かれて引退しないといいなぁ、そう願いつつおっさんはログアウトしようと手元にゲームコンソール画面を開こうした



その時突如として目の前が一瞬真っ白となり光に包まれたように室内に人影が現れる

がばっと起き上がってベッドの前に立つ人影を見ると女神らしき者が目の前に立っていた


「NPC・・?は宿屋に入れないよね?ど、どちらさまでしょうか?」混乱気味に尋ねると女神らしき者はゆっくりと言葉を紡ぎ始める


「私は異世界の女神スィーリズ、あなたに私の管理する世界の聖女になってもらうために参上致しました、突然の事で大変驚かれている模様ですが平気でしょうか?」


女神スィーリズと名乗った女神らしき者はおっさんに優しく微笑みかける


おっさんは顎に手をあてて少し考えるような仕草を取りつつ疑り深そうな眼差しで女神の様な者に話しかけた


「あなたが女神だとして男の私があなたの言う異世界で聖女となっていいものなのですか?あと、こっちの世界での私はどうなるんでしょうか?」


女神の様な者は少し驚いた表情で話を続けてきた


「少し驚いています、アナタ最初こそ多少動揺していましたけれどほとんど私の言葉を疑ってませんね見込み通りというか何というか本当にアナタが聖女なのでしょうね」


「質問の答えとしては男性のあなたがコチラの異世界に女性として来ることに問題はありません、アナタの存在する世界には一時的に干渉して時間経過を無くすようアナタの世界の神と契約が為されていますのでご安心ください」


「そうですか」


短くおっさんは返事をしてまたう~~んと考える仕草をしつつ女神の様な者に話しかける


「心が読めるんでしょうかね?そうだとすると私が前向きに検討しているというのが手に取るようにわかると思うのですが?」


おっさんの問いかけに女神らしき者は笑顔で頷く


「ですかぁ」


お手上げの様な仕草をしつつおっさんは女神に提案する


「嫁も一緒に連れてってもいいですか?このゲーム内のアバターで」


女神は二度瞬きをしておっさんを見つめ直してから返事を返す


「いいでしょう、一人も二人もそんなに干渉としては変わりませんので、お考えの通り装備品とLVに対応した能力とアイテムボックス内のアイテムも使えるように致しましょう、貨幣に関しては全く異なるモノですので全てゲーム内と同じというわけには参りませんので私からの心ばかりの金額となってしまいますが」


「構いませんお心遣いに感謝いたします」

「嫁の了承が得られ次第旅立っても問題ないのでこの部屋に呼んでもいいでしょうか?」


「ええ勿論です」


おっさんは深く頭を下げてお辞儀をする

次の瞬間には宿屋の室内に騎士風の姿のアバターが入室してきた


「何々?メールじゃわかんないよぉ?ん?この子が女神?こんにちわ、私はこの人の嫁で異世界?に行きます!!」


女神はまたも瞬きを数回してから口を開く


「何というか理解が早く此方としては大変助かるのですが夫婦揃って少々規格外なのですね」

「誉め言葉だと思って聞いておきます」

「えへへ」

おっさんとその嫁は現状の理解とこの先の事を含めての展望をこの短時間でまとめ上げたうえであっちに行ったらまず何をしようかと既に頭の中で思考し続けている

女神は微笑みつつおっさんと嫁にそれぞれ一度目を合わせてから確認をする様に口を開く


「お二人には聖女とその護衛騎士として異世界で旅をしつつ世界を見回って頂きたい、先入観なく常識に捉われず正しいと思った事を好きなように行ってください、文化や文明の底上げに関してはまぁ無理に推奨しませんので、そうそう言語理解(読み書き)と夫婦の相互通信魔法はオマケで付与いたしますのでご安心ください。それでは送還の術式が発動しましたら目を閉じて光が消えましたら目を開けてくださいね」


「はい」

「は~い!」


二人の返事とともに二人の足元から光が溢れ出す、おっさんと嫁は向き合って手を取り合い静かに目を閉じた


「楽しみだねぇ」

「だねぇ~」


二人が消え女神が一人残った宿屋の一室に光が差しもう一人の女神が現われる


「あの二人こっちの世界でも特異点なの、早めに返してよね」

「たった今十分に理解しました、きっと私の世界でもその力を存分に発揮してくれると思います」


二人の女神は再び光を放ち次の瞬間には宿屋にはだれもいなかった



~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・




瞼の上からでもわかるほど眩しかった光が和らぎ、収まったことを確認できた二人は恐る恐る目を開けたそこには一面の草原が広がり彼方には森が見えた、空には昼間なのに月が浮かび妖しく光を放っていて異世界であることを髣髴とさせる


二人が手を繋いだままきょろきょろ周囲を見回していると頭の中に直接声が響いてくる


「お二人のいるのは異世界デルエールその世界の最も大きな国家であるダ・ボード王国の首都にほど近い草原です、歩いて一時間もしないうちに街道に入れますのでアイテムボックス内の地図で確認してくださいねお二人の良き旅路を心よりお祈り申し上げます」


女神スィーリズの言葉を受けて二人は「アイテムボックス!」と唱えて目の前に浮き上がってくるコンソール画面を見つめる、ゲームの時と全く同じフォントサイズで現れたそれに二人は顔を合わせて呟く


「ゲームのまんまだな」

「だねぇ」


とりあえず女神に言われた通りに王国の首都に向けて歩き出す、手を繋ごうと嫁が手を伸ばしてきて驚いた表情で固まっている


「どうしたの嫁?」

「アナタこれって・・!」


到着時には着いていなかった装飾品が二人の左手の薬指にあった、向こう(地球)で二人が使用していたものそのままの物でサイズが男性騎士とハイプリーストのサイズに変更されている


「何というか・・・」

「手が込んでるねぇ、女神様」


笑顔のまま二人は手を取り合い草原を歩いて街道へと歩いていく





まったり更新できればと思っております

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