僕の瞳に宿るモノ。
僕には、物心つく頃から“特殊能力”があったんだ!
それは? 【相手の瞳を見る事で、その人の未来が見えるモノ。】
調子がいい時は、その人の運命の中にある危険を察知して手助け
してあげられるんだけど、、、?
調子が悪い時は、余計に悪い方向に進めてしまう。
___この能力が、僕にとって何のためになるのか?
・・・今の僕には分からないけど。
何か意味のあるモノなんだと思っているよ。
そうじゃないと、、、?
この能力が僕にだけある事が、理解できないからだ!
___何かの? 誰かの役に立つモノなんだとね。
*
___それに、、、?
僕の親友の葉介君には内緒にしていたんだ。
彼を怖がらせたくないからだよ。
彼のこれからの人生は、相当厳しいモノになるからね!
___僕は、彼を助けてあげたいんだ!
___でもある時、、、?
葉介君に、僕のこの能力を知られてしまったんだよ。
僕のお父さんやお母さんは、僕のこの能力を知らないんだ。
僕のおじいちゃんは、小さい時に僕と同じ能力を持っていたらしい。
・・・でも、そのおじいちゃんも2年前に亡くなってしまった。
おじいちゃんが最後に僕に言ってくれた言葉は、、、?
『良喜! この能力は、きっと人助けになる! でも、誰にも知られ
てはいけないよ! お前の能力を知った者がお前を危険な目に遭わせ
るかもしれないからね! 良喜、いいか? 約束だよ!』
『___でも、おじいちゃん! 僕の親友の葉介君だけ、僕の能力を
知っているんだ! どうしたらいい?』
『___葉介君か? 明日、葉介君をココに連れておいで! おじい
ちゃんから、話してあげよう!』
『___ううん。』
*
___次の日、おじいちゃんのいる病院に葉介君と一緒に行くと。
【コンコン】
『___どうぞ!』
『おじいちゃん、葉介君を連れて来たよ!』
『君が“葉介君”かな?』
『___ははい!』
『葉介君、こっちにおいで! 良喜は外に出てなさい! 後で呼びに
行くから! いいか?』
『・・・ううん。』
___僕は、おじいちゃんの病室を一人、出て行く事になった。
___病室では、、、?
おじいちゃんと葉介君が、何か? 二人で話している。
___15分後。
『___良喜! おじいさんが戻って来てもいいって!』
『___本当!?』
『___うん。』
___僕は、葉介君におじいちゃんから何を聞いたのか、、、?
直接、聞けなかったんだよ。
___なんだか? 聞くのが怖かったから。
もし? 聞いて仲が悪くなったら、、、?
【___そんなの、聞けないよ。】
___おじいちゃんは、あれから数日後、、、。
心臓発作を起こして、亡くなってしまったんだ。
【___二人は? どんな話しをしたのかな?】
・・・ずっと気になっているけど。
やっぱり、葉介君に直接、聞けないや。
▽
___ただね、、、?
葉介君に、危険が迫っている事だけ僕には分かっていたんだよ。
絶対に、葉介君を助けないと。
葉介君が、部活の帰りに赤信号で車に轢かれて死ぬ事が僕には見えて
いたんだ! だから、この日の僕は葉介君をずっと監視していた。
___僕は、葉介君の部活帰りの日。
偶然を装って、彼に少し話があると言ってファーストフードに二人で
入って話しをしていたんだ。
大事な話などあるはずもなく、適当に話しをして二人で家に帰ったんだよ。
その日は、彼は車に轢かれることなく無事に家に帰れたんだ。
___その代わり、、、?
他の人が、そこで交通事故に遭っていたんだ。
きっと、葉介君の代わりにその人が事故に遭ってしまったんだろう...。
___僕たちが、ファーストフード店を出るころには、、、?
救急車や警察がたくさん来ていて、野次馬もたくさんいたよ。
『・・・どうしたんだろうね? 事故かな?』
『___そうみたいだね!』
『___誰か? 亡くなったとか?』
『・・・どうかな?』
『人は簡単に、あっけなく死んじゃうんだね!』
『___えぇ!?』
『なんでもないよ! 良喜、家に帰ろう!』
『・・・ううん。』
*
___運命は、、、?
変えられないのかもしれない。
葉介君が死なない代わりに、他の人が亡くなってしまった。
これから先も、葉介君は何度も死に直面する事があるだろう。
___だけど?
僕が葉介君を助けるたびに、他の人が犠牲になる!
本当に、それでいいのか、、、?
・・・でも?
僕は、葉介君をほっておけないし!
死ぬ事が分かってて! 死なせたりできないよ!
___こんな、“能力”本当に僕の為に何か? 役に立つのか?
こ、こ、こんな!? 能力なら、僕は要らないよ!
【___おじいちゃん、僕の能力は本当に人を救えるの?】
・・・誰か? 教えてくれないか?
最後までお読みいただきありがとうございます。