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用語集


『R値』……R値は夢と現実を隔て、1未満の”そこ”では人は空を走り拳は地を割る。黄金も、まだ見ぬ非実在金属、オリハルコンやヒヒイロカネさえも望むがままに――その夢の世界に人々は希望を抱き、夢を競い合った。結果、列強が激戦を繰り広げる悪夢の戦争を呈した。アメリカ、欧米、中国、ロシアと、ことごとくが殺戮と虐殺を繰り返し数えきれないほどの人命が失われた“それ”を第三次世界大戦と呼ぶ者もいるが……世間はあまりにも凄惨に過ぎるその大戦を記憶から抹消した。現実とは異なる、しかし地続きの世界の戦争を悪趣味なファナタジーとして記憶の底に封じ込めた。現代ではもはやR値など、限られた人間しか知らない世迷言である。


『境界』……本来、境界と言う言葉はただの(さか)い目を指す言葉でしかないが、アビスでは一般的にR値1と1未満の海上に引かれる線を指す。(関係者用の地図にのみ記される便宜上のもので、国境と同じく目印があるわけではない。)1か、そうではないか――それはことアビスでは大きな意味を持つ。なぜなら、1は現実世界なのだからそっちに足を踏み入れた瞬間に死が決定される。

 アビスに入れば人は夢のごとき力を身に着けることができる。そこでは人は誰でも世界記録さえ簡単に塗り替えられる身体能力を簡単に手に入れることができる。……しかし、それは夢でしかないと自覚している人間が多いため、もはや帰れないのに現実を恋しく思って()を使わずスポーツをする学生が多い。

 夢は現実には持ち帰れないものゆえに、R値が1になればその力は消える。そればかりか夢に侵された体は呪いに変わる。一言で言えば癌の類、悪性腫瘍である。アビスに踏み込めば最期、末期の重病人になるのを覚悟しなければ外の世界に帰ることができない。よって、帰る者はいない。いたとしても9割がたが船上で命を落とすだろう。もしかしたら生命装置に繋がれながらならば生きられるかもしれないが――それは声も出せず痛みが全身を支配する“ただ生きているだけ”の状態だろう。

 ――ゆえ、アビスの住人は境界を忌み嫌う。帰りたくても帰れない、越えたくてもできない目に見えない『境界』を憎む。一般学生は夢から離れて暮らすことを望み、現実の学生カーストをさらに歪に拡大させたような“政治ごっこ”に奔走する。


『ナイトメア』……学園都市アビスでは夢が現実化する。一般人は夢を現実に持ち込むことを拒否するが、それは実際には使っていないと本人が勝手に思っているだけで、そいつらが”己が夢の封印を可能にした”わけではない。つまり、微弱ではあるが常に使っているのだ。

そして、この真実をわかっている者はいない。”人間が見る夢は良きものより悪夢のほうが多い”ということを。人類に災厄をもたらすものは悪意ではなく、遥か古代から無限に続く被害妄想だった。ナチスのホロコーストも”ユダヤ人に仕事が奪われる”という妄想から、核による虐殺も”共産国に使われるよりも先に使って威力を証明する”ことを目的としていた歴史が証明している。誰かに狙われている、というのは国としてごく当たり前に持つ感覚――だが、それは悪夢の世界にて逆転した。そのごく当たり前に持たねばならない感覚が人類の敵を作り出した。

アビスで暮らす人々が無意識に使っている夢――それが悪夢となって結集してしまったのが『ナイトメア』。この救いようのない奈落(アビス)では、誰かが思った”人々に災厄をもたらすモノが闇に潜んでいるのではないか”……その被害妄想が現実化されてしまった。

それが人々を襲う悪夢の真実。ただただ恐怖を与えるためだけに存在する、第一階層に恐怖を敷く(いた)ましく強大な支配者。


『学園世界アビス』……発見された島は学園の様相を呈していた。学園を運営するNPCと校則が存在し、しかし入学制限は存在していない。よって生徒と呼ぶにふさわしくないような年齢の大人も多くいる。しかし、逆にものも分からないような子供もいる。というか、人のゴミ捨て場と化した21世紀では子供の方がずっと多い。貧民国で無責任に子供を産んで、その子どもが送られる。10ダースも送れば、そのうち一人くらいはエリクサーでも取ってくるだろうとの勝手な期待で。

システムは大学に似ており、講義を受けて試験に合格することで単位を取得することができる。単位は他にもアルバイトや迷宮世界での冒険によっても稼ぐことができる。単位を進級課に納入することで学年を上げることができ、最高は7年生。7年生は総勢9名しか存在せず、卒業できたものは過去に居ない。

アビスでは生活にお金の代わりに単位を使うことになる。基本的にアルバイトで生計を立てている者が多い。が、基本的にここに来るのは年収が2ドルを切る貧乏人ばかりだ。ゆえにアビスに来たからと言って、そう簡単に増えるはずもない。よってスラムは人口過密、中級層以上が住む場所はゴーストタウンと闇ばかりが拡大している。


学園生活

『学活』

基本的にすべての情報は入学時に配られるスマートフォンから確認ができる。しかしクラス分けというものは存在し、そのクラスの学活で教師NPCから情報を聞けることになっている。ただし全部スマートフォンから確認できるため意味がないかもしれない。この学活では単位は得られないが、顔を出す生徒は多い。もちろん字が読めないものは学活に行かないと授業する場所も分からないのも大きいだろうが。


『講義』

基本的な講義形式は全12回の講義を受けたのちにテストを受けて100点中60点以上を取れば、その単位をもらうことができるというものである。講義を受ける条件はさまざまに存在しているが、最終課題をレポートで出す講義を受けられるのは4年生からである。普通に日本で言う中学生以上の教育くらいは受けておかないと単位など碌に得られず、一回単位を受け取ったら同じ講義では単位を受け取れない。そのため、講義ではやっていけず、アルバイトに走るのがスタンダードである。


『部活』

夢――超能力を使わない“部活動”が活発に行われている。能力を使わないため安全であることがウリで表では華々しく活躍しているが、裏には化け物の力に対する嫌悪がある。つまり、変な奴を見つけて袋叩きにするための社交場の役割も果たしている。夢使いに対する反応は基本的に嫌悪であり、7大勢力に所属していない者であればたやすく自殺にさえ追い込まれることだろう。


『バイト』

学園都市を回すための様々な業務。コンビニから鉄道系まで幅広く揃っている。NPCに任せていると非効率的な運用を延々と続けるため、外の世界のやり方をそのまま導入した場合が多い。が、実は”システム”が何とかしていることが多いため、実はなくても学園は回る。実はもうインテリ層が入ってこないため、第三次世界大戦期に作られた多くのシステムが破綻している。新しいの? ないよ。迷宮世界で自動に沸く魔物も、仕入れて食堂に出される食材も、どこから来ているのかはわかっていない。


『卒業』

7年生になると卒業の条件を満たすことが可能になるため、“資格者”と呼ばれる。ただし、卒業に必要な資格はまだわかっていない。しかも卒業が何を意味するのかすら、いまだ掴んだ人間はいない。そもそも7年生になるにも膨大な単位が必要であるためにほとんどの学生は卒業については考えてすらいない。

一部では、“現実に帰れる”権利のことと噂されている。


『階層』

アビスの外のの人間は第一階層である学園を世界の全てだと思っている。第二階層以降はいわゆる異世界にあたり、夢使い以外には認識も通行もできない。また、一般学生が知っているのも第一階層メタトロンのみであり、そこは一般人が生きる悪夢の世界である。そこには魔物は存在せず、ナイトメアが人間に恐怖を与えている。本来は安全地帯だったが、人間がナイトメアを生み出してしまったために危険地帯となった。実は運次第で割と第二、第三階層の方が安全だったりするのは秘密である。

 基本的に7勢力はそれぞれ第一階層以外の一つの階層を支配下に置いて、そこに本拠地がある。例外として米軍は有り余る物資を利用して三階層を制覇している。もっとも、”管理”の形式をとっているのは米軍のみであり、他の組織は好き勝手に滅茶苦茶やっているだけである。


 第一階層:通常地帯『メタトロン』……[米軍]

 第二階層:危険地帯『ラツィエル』……[米軍]

 第三階層:幻想地帯『ザフキエル』……[米軍]

 第四階層:黎明世界『ザトキエル』……???

 第五階層:開闢世界『カマエル』……[機関]

 第六階層:雷命世界『ミカエル』……[ラストバタリオン]

 第七階層:葬想世界『ハニエル』……[ゴールデン・ドゥーン]

 第八階層:転地世界『ミカエル』……[黙示の獣]

 第九階層:天獄世界『ガブリエル』……[ロイヤルパラディン]

 第十階層:終末世界『サンダルフォン』……[人類統制局]



『アビスの6体系能力』

矛法(アタック) 耐久と腕力に特化している。耐えて、力で潰す。極めた者は鉄壁の防御と一撃で金輪際を粉砕する剛腕を兼ね備える重戦車と化す。

迅法(ブレイド) 速度と鋭さに特化している。回避して、切り裂く。極めた者は目に映ることすらなく、あらゆる防御すらも切り裂く。

射法(マジック) 遠距離攻撃に特化している。大別して射撃と爆撃。極めた者は存在すら悟られない遠距離での狙撃を可能とし、その威力は街ごと消し去ってしまう。

癒法(キュア) 回復技能に特化している。自分を回復できるが、攻撃能力ではないため主な使用方法は戦闘終了後に傷を癒すこととなる。基本的に他人を癒すことはできない。

乖法(クラック) 消去に特化している。全てを消し去る攻防一体の術。極めた者は攻撃が通じず、一方的に大地すら消し去る災害となる。

創法(クリエイト) カタチあるものの創造、そして世界を創造する異端の業。極めた者はルールすら創造し世界を変革する。そうでなくとも強力な創法使いは爆弾や訳の分からないものを製作する錬金術に優れているために厄介極まりない。


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