始まりの塔後のそれぞれ・・・三者三様(?)のありさま
研究生産部門の部屋、中央部に
”C.E.3711. 09.01 13:00”
空中に、時間が映し出されている。
「そろそろ、リーダーがお越しのはずなんだけど・・・??」
「はい、そう伺っておりますが、まだ見えられておりません」
「まあ、あの人のことだから少しぐらい遅れてくるかかな?」
「です。です。昨日も会議にいつものように遅刻でしたから」
「まあ、そのうち来るだろう。至急作ってとか言ってたしね」
・・・・2時間後・・・・・
「まだ、来ませんね?」
「う~ん、忘れてる?」
「連絡してるんですが」
「連絡付かないとか?」
「・・はい・・・・・」
「ちょっと、見てくる」
「私も、同行しますね」
主任研究員とそのお供は、リーダーの部屋に向かうのだが、部屋の中に人の気配がない。心配になって。警備担当を呼んで部屋の中へ入るのだが、もぬけの殻であった。
「どこへ行ったんだ・・・・」
「あっ、ちょっと心当たりがあるので、聞いてみます」
「あるのか?」
「はい」
お供の研究員は、リーダー部屋の内線電話を手に取ると、ある番号を押す。
『あ、博士? ちょうどよかった』
「ちがいます。研究生産部の者ですが」
『え? 博士は? この、博士の部屋からですよね? ま、まさか、博士の身に何かあったんですか?』
「いや、そうでは無くてですね。約束した時間に、こちらの研究室に来られなかったので、来たんでですが・・・・留守のようでして・・・」
『あら? そうなの?』
「ええ、それで、リーダーがそちらにいかれてないかと思いまして」
『ああ、なるほどね・・・でも、博士は来てないわよ?』
「そうですか・・・、他に行きそうな所、ご存じありませんか?」
『う~ん・・・そうねぇ・・・・あっ、ひょっとしたら・・・』
「ご存じなんですか?」
『多分・・あそこだと思うわ』
「どこですか?」
『多分、新しく作ったお庭に行ってると思うわ』
「庭?どこですか?連絡はとれますか?」
『連絡は多分取れないから、行くか、戻ってくるまで待つかになるわね』
「ええええええっ?いつ戻られるかわかりますか?」
『なんか、凝ったことしてるから、いつ戻ってくるかわからないわね・・・ひょっとしたら、昨日から帰ってきてなくて、しばらく帰ってこないかもしれないわね・・・』
「ええええええええええええっ! そ、そんなぁ・・・」
『冗談よ、私が博士のところまで案内するから、こっちの研究室の寄ってくれない?』
「わかりました。すぐ、そちらに伺います」
研究員は、通話を終えると、
「主任、文化でしたっけ、あそこの主任が、リーダーのいるところ知ってるそうで、案内してくれるそうです」
「でかした! って、あの女のところに行くのか、苦手なんだよな・・・・どうも・・・」
「そりゃ、あちらは、才女ですからね。主任が苦手にぃ・・・いてぇ!」
「余計なことは言わんで良い。さっさと行くぞ!」
10分後、二人は女研究者の部屋を訪れるのだが、そこで出迎えに出た幼女を見て、”えーっ! 誰との子ですか?まさか、リーダーと子?”と、二人が声をそろえて驚愕の声を上げたことで、女研究員から物理的な制裁を受けたことは言うまでもなく、幼女の素性を知った二人は、特に主任は、さらなる劣等感から落ち込み、部下の研究者に慰められることになるのは、別の話である。
「というわけなんだが、カーネル。心当たりは無いか?」
スコットは、目の前にいる男に、先ほどあった出来事を話していた。今、スコットの率いるチエーロからの部隊は、各階層の警備。および、カーネル大佐の部隊から調査の引き継ぐために、B385にある拠点まで登って来ていた。
「いえ、心当たりはありません」
「そうか、ここのことを知った他国からの間者かもしれんな」
「ええ、そうですね。ですが、B385じゃらB350まで一挙に解放されはしましたが、この話は、まだ、王都にも知らせてませんし。スパイが入り込むようなことはないでしょうし・・・それでも、まあ、明日には、王都にも今回の発見が伝えられます」
「えっ? カーネル、おまえ今、なんと言った?」
カーネルの言葉に困惑するスコット
「はい、B350まで、一気に解放されました」
と、こともなげに、カーネルは告げるのだが、スコットの表情を見て
「そういえば、スコット隊長、まだ、その話は?」
大きく首を横に振る
「おれが、ここへ来たのは、ついさっき、ここへ来たんだぞ? そんな報告、知るわけないだろうが!」
「これは失礼しました。では、あとで、今回実施した上層階の調査報告書について詳細な報告書の方は、後で部からお渡しします」
「ああ、頼む。ところで、本当に、そんな上まで一気に解放されたのか? にわかには信じられない話なんだが?」
「ええ、たしかに、これまでは5階層ごとにとか、おおくても10階層ぐらいとかでした。ですが、今回の40階分解放されたというのは事実です」
真顔で答えるカーネルに、スコットは、ただ、その話を受け入れるしかなかった
「とは言っても、元々、35階分解放されまして、そのあと、我々の調査で、さらに5階層分上までいけたんですけどね」
スコットから見て、カーネルは嘘をつくような男では無いことをよく知っているだけに、彼の話により困惑の表情を浮かべはするものの
「だったら、おれが遭遇したのは、他国からの間者か?」
「どうでしょう、他国が探りを入れてくるには、まだ、早いかと思うのですが?」
「貴公の話が真実なら、探りをいれてくるおのも居るだろう?」
「ええ、ですが、先ほども言いましたとおり、まだ、公にはなっていません。今、この話を知るのは、派遣協会本部ぐらいです。あとは、先ほどの話通り、明日には、世界中に公表されます」
「なるほど・・・・それならば・・・確かに、スパイは入り込むには。まだ早いか・・・」
「はい、それに、情報公開については、古き盟約に基づいた話ですから、スパイなどは無意味です。それで無くても、他国からの冒険者や、研究者が、ここには多数おりますし」
「それも、そうだな・・・・」
さて、ここで、カーネルと言う”古き盟約”とは、何か? それは、始まりの塔をこの世界のありとあらゆる人・国・団体に対して、開放し、そこで得られたものは平等に利用することをすることを記した契約のようなものであり、王国建国より遙か昔、この塔を守る賢者という存在のものたちと、この世界の住人との間で交わされたものであり、その中の一節に
”・・・・おそらくは、今後、この塔では、未だ世界で知られていないものが発見される。ただし、それによって受ける恩恵については、この国に限らず、この世界の住人全てに、広く行き渡らせること・・・・”
実際、塔の調査が始まると、その時代の世界では見たことも無いようなものが次々と発見されていくことは、事実となる。ただ、地理的な関係から、当然、ユイキュエ王国が、最初の恩恵を受けることになり、そうなれば、いずれ、そのことを不公平に思い、不満を持つ国が現れる。ただ、そのことも事前に予想されていたようで、かの盟約の中には、次の一文が記されていた。
”今後、塔の叡智は人々の暮らしを豊かにするであろう。ただし、その叡智の独占をもくろむ者が現れる。そして、この世界が乱れることになるが、そのとき、塔は、その姿を自らの力で消すであろう”
ただ、この盟約が結ばれたとき、だれもが、丘の上にそびえ立つ巨大な塔が、消えるとなどと言うことを信じるわけが無かったが、この世界の黎明期においては、その盟約が破られることも無く守られ続けてきた。それから、長い年月が過ぎ、ユイキュエ王国が生まれ、しばらくした頃、事件が起こる。
「塔より得られる叡智を最も有効に使えるのは、我が合衆国であり、ユイキュエ王国、一国がそれを独占することは許されるわけがない!」
王国から遠く離れた国が、王国に対して、抗議の声を上げた。やがてそれは
「独占をもくろむ、王国を討て! 正義は、常に我らと共にある!」
という、高らかな宣言と共に、ユイキュエ王国へ宣戦布告を行った。その国は、後に、オサバ王国となり、その後の内乱状態に陥り、4つの小国へ分裂することになるオサバ合衆国である。後の記録によれば、その当時、オサバ合衆国大統領は
「この世界で、最も優れた我々より辺境にあって、我らより劣る国が、世界の叡智を独占することを認めて良いなどと言うことはない! 我が国こそが、この世界の叡智を手に入れ、この世界を正しく管理にするにふさわしく、唯一の盟主なのである!」
と、国民の前で演説したとのことである。この宣言後、オサバ合衆国からの大軍が、シュートの沖合から上陸し、わずか数時間でシュートは占領される。
占領後、オサバ軍は、始まりの塔への制圧へと向かったのだが、その途中、昼間の晴れ渡る空であったにもかかわらず、突如として、全てが深い霧に包まれ視界が奪われる。やがて、その霧が晴れたころ、つい先ほどまで目の前にあったはずの巨大な構造物である塔は、その姿を全て消していた。
「我らが手に入れるべき塔が消えただと?」
「隊長、あれを!」
その場にいた者が、空を見上げれば、はるか上空に、わずかに建築物が見えていた。
「いったい、どういうことだ! 何が起こった!」
制圧軍を率いた隊長は、そう言葉を発しつつ、塔のあったあたりに呆然と立ち尽くし、当然の事ながら、辺りをくまなく調べたそうなのだが、そこに建築物があったという痕跡を見つけることすらでき無かったという。結果的に、オサバ合衆国による塔の制圧を失敗に終わり、シュートまで撤退することとなる。その直後、戦力を立て直したユイキュエ王国軍は、シュート近郊で一進一退の攻防を繰り広げたという。
塔が消えた日から1ヶ月後、突然、オサバ軍は、王国から撤退していった。そして、それからさらに、2ヶ月後、シュートが深い霧に包まれ、その翌日、霧が晴れると消えていたはずの始まりの塔は、その姿を再び顕したという。その数ヶ月後、オサバ合衆国は、オサバ王国となり、さらに現在、いくつかの小国へと分裂していくのだが、それは、また別の話である。
スコットは、カーネルの返事に、謎が深まるばかりであり
「なるほど、なら、俺が遭遇したあれは、何者なんだ?」
そう答えるしか無かった。
「そうですね・・・」
カーネルにしてみれば、どちらかというと、いつも特殊な任務に付くことが多いことから、改めて不審な人物を見かけなかったかといわれても、自分たちがいつも不審人物であるという認識であり、スコットが出会ったという人物について、心当たりがあるとすれば、部下になるのだが、
「一度、部下にも確認を取ります」
「あっ、悪い、俺が会ったやつは、おまえのとこのやつじゃないからな」
そう言うと、スコットは、すこしばかり、ばつの悪い顔をするのだが
「いえ、うちの部下は、そういう任務をやってるので、一応、確認をします。ただ、我々以外の誰かが、この塔の事を見張っているのかもしれません・・・協会の方には、今回の発見について、発表を急がせますか? そうすれば、どこが動いているかわかるかも知れません」
「そうだな・・・・」
翌日、協会から、今回の上層階40階分が解放されたことが、大々的に、公表され、当初から塔に詰めかけていた他国の冒険者などは、皆、全て、本国への連絡に忙殺されることになり、カーネルが狙っていた不審者のあぶり出すという目論見は、見事に外れることになる。
「カーネル、俺が会ったのは?」
「ええ、スコット隊長、貴方が会ったのは、幻ではなく実体がある正体不明の何者だと言うことですね」
そう言うと、カーネルは、部下に、何かを固めたものを持ってこさせていた。
「それは?」
「昨日、話を伺ったあと、不審者に会ったという辺りを調べたら、偶然、足跡を見つけましてね。一応、証拠としてその跡を型に取ってきたんですよ」
スコットは、”俺が疑われていたの? ”と、やや複雑な表情をするも、目の前にある証拠が、正体不明の何者かが、たしかにここに居たという証しとなるのだった。
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「じ、理事長。ちょっと話があるんだけど」
「おぬし、今、じじぃと言おうとしたであろう?」
「いや、そんなことは全然」
何気なく、理事長から漂う危険な気配に、ジョワンは何食わぬ顔で返事をするも、なんとなくいやな汗が流れているのだが、
「ちょっと、貴方! ジョワンちゃんに、なんて言い方をするの!」
「は、はい!」
当然のことのように、その場に、理事長夫人がいたこともあり、理事長の方が、より嫌な汗を流すことになる。
「ばあちゃんも一緒に聞いてほしいことなんだけど・・・」
このひとことで、満面の笑みを浮かべる理事長夫人。
「何かしら? ジョワンちゃん、シュートに戻ってくるかしら?」
なんとも微妙な空気の流れる理事長室である。今日、ジョワンは、カーネル大佐に同行しての塔の調査を終えてシュートへ戻っていた。それは、ジョワンが、カーネル大佐や、ユリカ達と合流してから4日後のことである。
「ばあちゃん、僕は、王城に勤めることになってるんだよ? だから、戻れないよ」
「あらそうかしら?」
理事長夫人の目が、なんとなく怖いというか、いつの間にやら、その手には、愛刀である薄刃の剣が握られている。
「ジョワンちゃんが心配することじゃないわよ? ロベールもすぐ物わかりによくなるからね? すぐに・・・ね?」
いつもより目が据わっていて、非常に、物騒な事を言っている理事長夫人である。どうも、ジョワンが、塔で一時的であっても行方不明になったことから、超過保護モードのスイッチが入ってしまったようである。
「・・・で、ジョワン、いったい、儂らに話とは?」
奥方の纏う雰囲気に気圧され気味の理事長は、ジョワンからの話に、これ以上気圧されないように、歯を食いしばりながら、話題を変えるが、その刹那、強烈な殺気をたたき込まれて一瞬怯んだことは言うまでもないが、いつも同じような殺気を浴びているので、そこは必要以上に怯まなかった。
「うん、えーっと、始まりの塔で、僕とマリーさんが、途中行方不明になったことは、ばあちゃんも知ってるし、理事長も聞いてるよね?」
「ああ、それは聞いた、突然、壁の穴に吸い込まれたとな」
「そうよ、ジョワンちゃん、それを聞いて私は、もう、心配で心配で!」
「えーっと、ばあちゃん、ごめんなさい」
「良いの、良いの、ジョワンちゃんは気にしなくて良いのよ。こうして無事に戻ってきてくれたんだからね。でも、今度は、ばあちゃんが、ちゃんとついて行くからね」
なぜか過保護全開の理事長夫人。
「で、ジョワン、それ・・・・」
理事長がそう言いかけた途端、『あんたは、黙りなさい!』と、威圧するような視線が理事長を刺す
「・・・が・・・」
なので、そこまで言うのがようやくであった。そんな見えない威圧の中、ジョワンは、
「実は、父さんに母さんに会ったんだ」
「「!」」
二人は、その言葉に、驚く。
「ヴァレリーとエレーカに、ジョワン、おぬしは会ったというのか?」
「うん」
「医者じゃ、医者を」
「ジョ、ジョワンちゃん、大丈夫? 熱は無い? 頭を強く打ったのかしら、あなた! 早くお医者さんを!」
「わかっとる。ジョワン、いいか、そこでおとなしくしておるんじゃぞ。医者をすぐに連れてくる!」
大混乱の二人。
『二人とも! 落ち着いて!』
ジョワンが、フォルテラ理事長夫妻に引き取られてから、いつもジョワンのことを心配する二人、特に理事長夫人は、過保護全開で、それを諫めるつもりが、反対にいろいろな意味で叩き伏せられる理事長という構図をジョワンは見て、育ってきたので、『いつものか』と、軽く考えているのだが
「二人とも、ほんとに落ち着いて! 僕は、熱もないし、頭も打ってないし、どこも悪くないから!」
「でも、ジョワン、おぬし、今、行方不明の両親に会ったと言ったではないか? 儂の元に来ておる報告では、同行しておったマリー殿の話として、ジョワン、おまえが、かなり長い時間、気を失っておったとかいておるんじゃぞ? 頭を打ったとかしたんじゃ無いのか?」
「そうよ、ジョワンちゃん、二人が何の痕跡もなく行方不明になってるのよ? 気を失っている貴方が会ったって言うのは、どこか、打ち所が悪かったに違いないわ! 貴方、早く医者を!」
二人のパニックは、極まれりといった感じで、理事長は、慌てて部屋を飛び出すも、前を見ていなかったのか、扉を開けた瞬間に、部屋の中へ突き戻される。
「フォルテラ理事長、ジョワン君は????えっ?」
「どわぁ!」
「あなた!」
「理事長どうなさいました?」
理事長室へやってきたのはジョワンを探していたカーネル大佐であるが、結果として、理事長は自分の勢いのままに、大佐に正面からぶつかり、勢いよく吹っ飛んだと言うことである。大佐は、慌てて理事長に駆け寄る。
「あ、カーネル大佐」
「お、ジョワン君、ここに居たのか!」
「カーネル君、ジョワンちゃんが一大事なの! 早く医者を!」
「だから、僕はなんともないって!」
「どうしたんですか? おふたりとも?」
ジョワンの事になると、居ても立っても居られなく、理事長夫人。カーネル大佐に対しても、すぐにでも医者をと言い出す始末。
「とにかく、落ち着いてください。ジョワン君、どこか悪いのか?」
「いえ、どこも悪くないんですが、ある話をしようとしたら、突然、ふたりとも慌てだして・・・・」
「大佐、早く医者を呼んでくれ! こ、腰がぁ!」
別に意味で、理事長は医者を呼べと言い出す。どうやら、大佐とぶつかり、吹っ飛んだ拍子に、腰を殴打したようである。
「カーネル君、この人のことは良いから、医者を!」
結局、この場で、一番冷静なのは、カーネル大佐であり、ジョワンである。
「わかりました、医者を呼びますが、お二方とも、まずは冷静になってください」
「儂は、冷静じ・・・あっ、つぅ!」
「冷静よ!」
全くもって冷静でない二人、理事長夫人の何気ない肘鉄が、理事長に炸裂するのを見て、苦笑いの大佐である。
「もう、二人とも! 僕は、本当に大丈夫! だから、ね? ばあちゃん、落ち着いて、」
得てして、こういうとき、対象者は、冷静であるものである。
「お二方とも、落ちついて、ジョワン君があきれてますよ」
大佐の言葉に、理事長夫人は、やや冷静になるものの、理事長はというと、肘鉄が見事にみぞおちにきまったようで、床に転がり、もんどりをうつ始末である。
「理事長、大丈夫ですか?」
「あら、貴方どうしたの?」
「うううっ・・・・あのなぁ・・・・・」
うっすら額に冷や汗が浮かぶ理事長である。ようやく、落ち着いた二人に対して、大佐は、”医者の手配の方はすぐにします”と言うと、部屋の外で待機させている部下に、一言命じると
「ところで、ジョワン君に何があったというのですか?」
と、ジョワンを含めて3人に聞くのだが
「「儂が受けた報告だ塔で行方知れずと、かなり上の階で、になっている間で、長い時間、気を失っていたというのに気を失っていたとあるのに、両親にあったとか言うから訳のわからんことをいうから」」
理事長夫妻が同時にしゃべりだすものだから、なにを言っているか、さっぱりわからない状況に陥るが
「えーっと、僕から説明します。だから、二人とも、大佐を一緒に聞いててほしい」
困惑気味のジョワンが、この状況になった理由を話し始める。
「大佐、話は、塔で僕とマリーさんが行方不明になったときに、僕が体験したことを話そうとしたら、二人が、慌てちゃって・・・」
「ジョワンちゃんは悪くないのよ! だから、早く医者を!」
「そうじゃ、早く医者を!」
「お願いだから、二人とも、僕の話を最後まで聞いて!」
いつになく強い口調のジョワンである。
「そのとき、暗闇に吸い込まれるような感覚の後、気がつくと、ベッドに横たわってて・・・・」
ジョワンは、目が覚めた後に、体験したこと、自分の身長が、5歳児ぐらいで、どこか懐かしい部屋で目が覚めて、部屋の扉が開くと、母であるエレーカは入ってきたこと。母に連れられて、台所へ行くと、父であるヴァレリーが、そこに居たこと。そして、そこが、昔住んでいた村の家で、自分がずーっと夢を見ていたのだと思い、夢の話を両親にしたことなどを語った。で、気がつけば、自分の身体が。今の身長に戻っていて、次第に、周りに景色が色あせていき、ヴァレリーとエレーカが、
『ジョワン、きっといつか会えるから』
と、言う言葉と共に、二人の姿が見えなくなり、次に気がつくと、マリーが自分を不思議そうに見守っている顔が目の前にあったことを話した。
「で、父さんがね。『おじさん、あのときは約束守れなくてごめん』と伝えてくれって・・・」
「・・・・ヴァレリー・・・・・」
おおよそ信じがたい話なのだが、理事長は、その一言で、二人が行方不明になった日のことを思い出していた。
「二人は、ヴァレリーとエレーカは生きているのだな?」
「本当に、二人は生きているの?」
ジョワンにとって、両親に再会したときの様子は、幼い頃の記憶にあるそのままのものであり、何もかもが、現実に感じられ、実際、その手に触れた椅子もテーブルも、その全てが、しっかりとした質感をもっていた。だから、それが全て夢の中のものだとは、いま、この瞬間、思い出しても、そうは思えなかった。
「それはつまり、二人は、塔の中にとらわれておると言うことだな・・・・」
「貴方、私が今から、塔へ行って、二人を助けてくるわ! ジョワンちゃん、B345の階ね?」
理事長はといえば、何かを考え込でいる。
「お待ちください。理事長夫人」
「なによ? カーネル君!」
「B345は、前後の階含めて、我々の方で、くまなく調査はしましたが、人が居るような形跡は、全くありませんでした。ですので、行かれても、おそらくは・・・・」
「カーネル君、そんなのは、行ってみないとわからないじゃない? それに、まだ、あなたたちでは見つけられなかった場所とかあるでしょ?」
理事長夫人は、そう言うと、勢いそのままに部屋を出て行こうとするのだが
「理事長夫人、いくら貴方でも、お一人で、行かれると言うのは、無茶ですし、無謀です。それにジョワン君のように、突然、その場から消えて別の階へ飛ばされるとかになると、それこそ大変です」
「あら、わたしじゃあ、力不足だって言うのかしら?」
大佐の目の前に、瞬きの間に、薄刃の剣が突きつけられている。
「お戯れを・・・」
「ふふふっ、歳を取ったと言えど、私ひとりでも問題ないわ。大丈夫よ?」
「わかりました。それでも、行かれるのでしたら、私の部隊から腕利きの者を数人同行させます」
「大丈夫だって言ってるのに・・・ね? 貴方?」
いきなり話を嫁から話を振られた理事長。その言葉には、当然威圧が含まれているのだが
「あっ、あ、あ、一応、あの、立場的なことも考えてほしいなぁと、思うわけでして・・・・」
「はぁ? あなた、私が大丈夫と言えば、大丈夫なのよ? それに何かあるわけ? 大体、ぞろぞろと、お供をつれていかないといけないほど、じゃないっって言ってるのよ? わかる?」
なぜだか、一触即発のようなただならぬ雰囲気。理事長夫人は、理事長と大佐に向けては、不機嫌感満載の気を放っているからなのだが、そんなことなどつゆ知らず
「ばあちゃん、待って!」
「何かしら? ジョワンちゃん?」
この場の空気を読んでいるのかいないのか、ジョワンは、今にも部屋を飛び出さんばかりの理事長夫人を引き止める。当然、理事長夫人は、満面の笑みを浮かべてジョワンの方を向く。『あ、相変わらずの変わり身・・・』と、理事長は、思ったのだが、まるで、その感情を読み取ったかのように、夫人は、滔々と薄刃の剣を振るうと、理事長の鼻面を触る。
「多分だけど、父さんも母さんも、あそこには、居ないと思う」
「どうしてそう思うの? ジョワンちゃんは、二人の会ったんでしょ?」
「そうなんだけど・・・・別れ際に、母さんが、『道を探しなさい』って、言ってたんだ・・・」
「『みち』? みちって? ジョワンちゃん、どういうこと? どういう意味なの?」
「えーっと、えーっと、それは・・・・えーっと。ママが、『道』って・・・・」
優しい口調ながら、どこか、厳しさを含む夫人の言葉に、ジョワンは返事に詰まるのだが
「おい、ジョワン! それは?」
そんなジョワンに、夫人の刃に震えてはいたはずの理事長が、何か気づいたのか突然声をかける。
「えっ?」
「おぬしの後ろのポケットが光っておる。何が入っておるんじゃ?」
ジョワンは、理事長に言われままに、ズボンのポケットに手を入れる。そこは、仄かに温かく、何かがその手に触れる。ジョワンは、それが何かを確かめるためにポケットから取り出す。
「ジョワン、それは?」
ジョワンの手のひらには、一枚の透明で、薄いカードサイズのプレートがあった。
「えーっと・・・・」
それは、彼の記憶にないものであった。
「・・・・覚えがないような・・・・」
ジョワンがそういういや否や、そのプレートは、光り始める。
「「「ジョワン!」」」
理事長夫妻も大佐も、その状況に慌てて、声を上げる。夫人などは、ジョワンの手から、そのプレートを叩き落とそうとするのだが、次の瞬間、夫妻は、動きを止める。
「え?」
突然、ジョワンの持つプレートから光が放たれたかと思うと、空中に3人の人物が映し出される。
「ヴァレリー? エレーカ?」
そこには、今のジョワンの姿と、彼の両親の姿があった。ただ、二人の姿は、行方不明になる前に理事長夫妻が会った時、その当時のままの姿である。
「え? え? え?」
ただ、ジョワンには、両親とともにそんな写真をとった記憶はない。そんな画がそこにあり、どこかの部屋で、そこの窓からは、大きな川の流れが見えている。
「ジョワンちゃん、これはあなたよね? でも、この風景は、塔の中じゃないわね・・・・どういうこと?」
「えーっと・・・・僕にもさっぱりわからない・・・」
ジョワンは、両親に再会はしたが、そこに映し出されている風景がどこであるのかは、全く分からなかったというよりも、自身が、こんな光景の中にいたことなどという記憶すらなかった。
「いいわ、二人は、この風景が見えるところにいるということね?」
「え? え? え?」
「確かに、始まりの塔には、こういった風景の場所はありませんね」
「カーネル君、確認するけど、ジョワンちゃんは、塔の中で行方不明になったけど、塔の中にいたのよね?」
「ええ、同行していたマリー君から、そう聞いています」
「だとすれば、これは、いったい、どういうことなんだ?」
理事長夫妻、大佐、それにジョワンまでもが、空中に映し出された画を見つめていた。一人は、記憶にない光景に、一人は、どこへ助けに行けばよいのか、一人は、ただ、事態に混乱し、そして
一人は、どういう仕組みで映し出されているのかとか、それぞれが、それぞれなりに考えこんでいる。が・・・・
「ここで、あーだこーだ考えても仕方がないわね。やっぱり、この目で確認してくるわ」
空中に映し出されていた画は消え、ジョワンの手には、先ほどの透明さが失われはしたが半透明なプレートが残されていた。ジョワンは、手元に残った半透明なプレートを見つめながら
「ばあちゃん、僕も一緒に行く。父さん、母さんがほんとにそこにいないか、何か手掛かりはないか、見落としたものがないか、もう一度、確認したいから、いいよね?」
「もう、ジョワンちゃんたら・・・・」
夫人は、何やら感動していた。
「わかったは、じゃあ、一緒に行きましょう!」
夫人一人で、ジョワンの安全を確保することはたやすいのだが、ジョワンが行くとなると、当然、リアエルやマリーも同行することになり
「わかりました。ジョワン君は、現在、私の指揮下にあります。ですので、我々も同行します。それに、
再度調査するにも人手は多い方がよいでしょうしね」
理事長一人置いてけぼりのまま、話はまとまっていく。この後、半日もかからずに再び始まりの塔へ、一向は向かうことになる。当然、夫人が先頭であり、B345、および、その前後階についても、念入りに調べられ。その結果、ただ一つ隠し部屋が見つけられるが、それ以外には、これといってなんの手がかりも見つけることはできなかった。
ピュルリ~
発見されたその隠し部屋は、ジョワンに同行していた鳥が偶然見つけたのだが・・・・その事実に、苦み虫をかみつぶしたような顔をしたのは理事長夫人である。
「結局、部屋が一つ見つかっただけね。ジョワンちゃん、この部屋に見覚えはない?」
「う~ん、ぜんぜん、こんな部屋の雰囲気じゃなかった・・・」
「そう、あら、こんなところに段差があるわね・・・ああ、そうか、ここで靴を脱ぐのね?」
なにか一人納得した夫人は、部屋の中へを上がりこみ、ジョワンたちも追随する。部屋を見回す。そこは、妙に、こぢんまりとした部屋であり、乾燥した草のような変わった匂いが、床から漂ってくる。よく見ると何かの植物を乾燥させたもので作られたものが、部屋の床一面に敷き詰められていた。ふと壁を見ると、その一面のみ、紙が貼られたような引き戸があり、部屋と外側とを仕切っている。
「あの紙の張られた引き戸の向こうから、光が入ってきてるわね」
「開けてみましょうか?」
同行していたリアエルが、その引き戸を開けると、そこには、木で出来たデッキのように見えるものがあり、そのデッキの表面は何かが塗られているのか、ピカピカである。そして、そのデッキから一段下がったところには、細かな石が敷き詰められ、ところどころ木が生えている庭となっており、細かな石は何かの模様が描かれている。
「何かの模様? 波?? 何かしら? 。それにしては、こぢんまりとして殺風景な庭ね・・・」
そういいながらも、理事長夫人は、
「何かしらね・・・ここは、落ち着くわね・・・・」
木のデッキに、理事長夫人は座ると、石の庭をみている。引き戸を開けたリアエルは、目の前に広がる庭のようなところが、物珍しいのか、きょろきょろあたりを見回している。その視線の先で、鳥は、あたりを警戒するように飛んでいる、
カコーン!
「!」
突然、どこからかともなく、木が何かを打ち付けた音がして、リアエルが、びくっとする。
「リアエル? そこの木が、石に当たった音よ」
「あ、あれですか?」
「そうよ」
初めての場所なのに、なぜかすでにくつろぎモードの理事長夫人。
「ジョワンちゃん、ほんとに、ここではないのね?」
「うん・・・・ここじゃない、と、思う・・・・」
「そう・・・・たしかに、あの絵の風景と違うわね?」
「たぶん、違う・・・・」
と、ジョワンは答えると、ポケットの中から、半透明の小さなプレートを取りだす。
「もういちど、画がでればいいんだけど・・・」
手に持ちつつ、プレートの表面をあちこち触るのだが、変化はない。が、プレートの側面を触った瞬間 “カチッ”という音とともに、プレートは熱帯びて次第に透明になっていくと、その上面の空中に、画を映し出す。
「ジョワンさ、君、それは?」
映し出されたそれに、リアエルは、それが誰なのかをジョワンに尋ねる。マリーも尋ねはしないが、同じようにその画を見て、ジョワンを見つめていた。この絵のことを知るのは、この場にいる理事長夫人とカーネル大佐のみであるため、改め手ジョワンが説明することになったのは言うまでもないことであり
「不思議なこともあるものですね」
とか
「それで、この階を再度調査したいと言ったのね?」
とか、言われることになるのだが、あまりに、普通の反応に、かえって心配になるジョワンである。それもそのはず、あれだけ過剰な反応をした理事長夫妻をみたのだから、仕方ないのだが、そんな不安そうなかおのジョワンの左肩に、変な空気感を読んだのか、鳥がちょこんと乗り、右の翼だけを広げジョワンの頭をなでるかのような素振りをするのだった。
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舳先に、大陸が見えてくる。熱湯海流を越え、ロナルドの乗る船は、ようやく目的地であるアクリオ王国の港湾都市ポートベルンとたどり着こうとしていた。
「なんか、最悪な気分だ・・・・」
いつものようにユイキュエ王国のチエーロから船ののり、いつものように大陸へ向かう。途中にある熱湯海流をいつものようにこえていくと思っていた。が、なぜか、この日に限って、いつもより海流の幅が広いところを通ることになったようで、普段より長い時間、ロナルドは高温多湿の中にいたことで、これまで無く、げっそりとした顔をしていた。
「ロナルド殿? おお、やっぱり、ロナルド殿ですか!」
「あ、船長か・・・」
「どうしました? ずいぶんと疲れた顔をしなさって?」
ロナルドは『理由は言わなくてもわかっているだろう?』と。船長を見るのだが、意に介さないように、飄々とした笑顔で
「で、今回も協会のお仕事ですか? どちらまで行かれるのですかな?」
まるで、何事も無かったかのような船長の言葉と振る舞い。ロナルドにすれば、全く食えない相手である。
「オサバの方までね」
「ほう、オサバですか、それはまたずいぶん遠いところへ」
「仕事ですから」
「と言うことは、アクリオからは、オサバまで海路ですかな?」
「いえ、ザジバへ寄ってからオサバの方へね」
「それはまた、大変な旅ですな」
「ははははっ、仕事ですから」
海流越えの暑さ疲弊しきったロナルドは力なく笑うのだが、
「仕事とは言え、流石はロナルド殿ですな! ワハハハハっ!」
対照的というか元気よく笑う船長である。
「そういえば、ロナルド殿が行かれるオサバの方で、奇妙な出来事がありましてな」
「奇妙な出来事ですか?」
「ええ、なんでも、大勢の前で人が突然消えるとか」
「手品ですか?」
「いや、手品じゃ無く、市中でいきなり消えるとかなんとか」
「ほう? それはまた、奇妙な事ですね」
「まあ、実際に、それを見たとか言う友人から聞いた話ですけどね」
ロナルドは。これ幸いと、船長から、これから訪問する国の情報を聞いていたのだが、気がつけば、船は、町並みがはっきりわかるほどまでに陸地に近づいていた。
「そうそう、あとは、どんな重病人も、たとえ、寝たきりであっても、たちどころに歩けるようにしてくれる医者がいるとか」
「ほう、そんな人物がいるのですか? 協会の方で、そんな医者の情報は、聞いたことありませんが・・・」
「なんでも、突然現れたとか」
「突然ですか?」
「ええ、詳しくは知りませんが、そう聞いていますよ」
「なるほどね・・・・」
「船長!」
「おっと、そろそろ入港準備に戻らないと。ロナルド殿、オサバまで、お気をつけて」
船長は、そう言い残すと、その場に後にした。
「仕事ついでに、少し調べてみるか」
ロナルドは、青空を見上げ、そうつぶやくのだった。
ガラッ。
仕切りの扉が開けられると、幼女が部屋の中へ、とてとて、走り入る。
「とうちゃん!」
「お。よく来たね?って、誰と来たのかな?」
リーダーはおもむろに振り返ると、そこに母親役を任せている女研究者と、二人の研究者が立っていた。
「おや?珍しいな。こんな所には無縁の者がいる」
と、リーダーは、にやりと笑う。
「ようこそ、私の庵へ」
「リーダー、探しましたよ」
「へ?なんで?」
素っ頓狂な声を上げるのだが
「今日、例の依頼されたものを見に来るって言ってましたでしょ?」
”ん?”と、首を傾げつつ、何かを思いだしたのか
「あああ、そう言えば、そうだった、そうだった! 積層型記録キューブをカード型の単層型記録プレートにできないかって頼んだこと、コロッと忘れてた!」
「「えええええっ、そんなぁ・・・」」
二人の研究者は、呆然とするのだが
「やっぱりですか。なにやら、ここを作ってから夢中でしたからね。この子も、来てくれないから寂しがってましたよ」
あきれ顔の女性研究者である、
「とうちゃん! だっこ!」
「おう、よしよし」
リーダーは、女の子を抱きかかえるのだが、その姿は、単なる親馬鹿である。
「で、例の物は?」
「はい、これです」
主任は、半透明の薄いカード上のプレートを手持ちの鞄のなかに入っているカードケースから、それを取り出す。
「なるほど、これか。なかなか良いできじゃないの?使い方は、なりほど、こうなるのか。おっと、簡易とは言え、カメラ機能もあるのか」
「ソフトウェア的には、カメラ機能をフルで使えます」
「なるほど、それだと、大量生産できないでしょ?」
「メモリの容量だけですので、大丈夫です」
「そうか、なら、この形のものを、まず1万個ほど作ってもらえないかな?」
「1万ですか?」
「そう、一応、各地の状況を調べて記録しておきたいからね。それに積層型を使うとあれ、製造コストがかかるし、数を作れないでしょ?」
「ええ、それは確かに・・・わかりました。1週間ほど時間いただけますか?それぐらいあれば、数の用意はできます」
「ん、じゃあ、頼む。あとで、原材料の書類を回してくれないかな?すぐに回すから」
「は、了解しました。それではすぐにでも、生産を開始します」
「とうちゃん!」
「どうしたのかな?」
「それなに?」
「これ?これはね。えーっと、これが正面か、だとすると、こうすると」
リーダーは、庵の引き戸を開けると、目の前に庭が広がっている。その風景に、カメラを向け、側面を触る。
”カシャン”と、小さな音がする。
「芸が細かね」
と、にやりと笑う
「見ててね」
プレートの表面を触ると、”ブーン”という音と共に、プレート上の空間に、庭の風景が映し出される。
「あ、おなじのがある!」
「そうだよ。こうやって、風景を記録する道具だよ」
「ほしいぃ!」
「う~ん、これは、だーめ」
今にも泣きそうな顔の女の子
「すぐに、別のをあげるから、ちょっと待ってね」
「と言うわけでだ。一つ、いや、二つほど至急用意してくれないかな?」
「えーっと、いつぐらいまでに?」
「早ければ早ほどいいんだけどね。どうかな?」
「わかりました。明日で良いですか?」
「すまないが、頼む」
リーダーは、そう言うと、抱えている女の子に
「ごめんね。明日まで待ってね?」
「・・・・うん」
ご機嫌をなんとか取れたようである。
「それにしても、リーダー、この庭は?」
砂利が敷き詰められ、庭の端には、照葉樹のような木々が植えられて、やや大きめの岩が無造作に並べられている。よく見れば、砂利は、波の模様が描かれている。
「ん?枯山水だよ?しらない?」
「かれさんすい?」
「う~ん、ご先祖様の出身地で、古くから見られる庭の手法だったかな」
「庭?これがですか?」
「そう、石庭と言うんだ。で、これを見てると、なんだか落ち着くんだよね・・・これまでも、いくつか、こういう庭を造っては来たけど、これが一番落ち着く」
「これまで?え?まさか、他の場所にも、こういうの作ってるんですか?」
”あっ”と、言う顔をしたリーダーではあるが。すぐ”仕方が無いかな・・・”という顔をして
「一応、3つから4つほど、こういう庭を造ったけど、まあ、場所は内緒。すぐ見つけられるけどね」
「だから、私が、公園のようなものをつくりたいと言うときにすぐに承諾したんですね」
「ははは、ばれたか!」
リーダーと3人の研究者と一人に女の子は、しばらくここでまったりとした時間を過ごしたのだが、途中、女の子とが引き戸に張られているものに興味を持ったようで、指でつついて穴を空けていたようなのだが、それを見たリーダーは、これは仕方が無いかな・・・と言う顔で、後日、直すコトンして、仕事の放置でもできないことから、この部屋から引き上げるのだった
王国歴10469年1月24日
雑貨屋の女主人は、手元にあるプレートのスイッチを押すと、遙か遠い日に映した映像が浮かび上がる。
「そういえば、あの頃は、これが何をする者かはっきりわからなかったのよね。それで、駄々こねてお父様に、これをいただいたのよね」
そうつぶやきながら、空中に投影された立体画像を眺めていた。が、突然、ひときわ甲高い”ピー”という解除通知音がなる。
「ん?この音は、あの部屋が見つかったのね・・・・って、だれが見つけたの?まさか?」
女主人の予感的中する。
「関わりたくないは、無いわね・・・仕方ない、ちょっと見張っときましょうか。まあ、壊されても、すぐに修復すれば良いしね・・・」
半ばあきらめ顔の女主人であるが、ジョワンが手に持つものを見て驚愕する。
「え?どうして、あの坊やがあれを持ってるの?まだ、それを解放するだけの階層レベルには無いはずなのに?どうして?????」
モニター越しに、突きつけられた謎に、首を傾げる女主人であった。




