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◇ 闇の果てまで
星明りが闇に包まれた部屋を僅かに灯している。
銀閃が煌めき血が舞った。
剣から血が滴る。
歓喜が全身を駆け抜ける。
両手を広げて回りだす。
親を殺した。
煩わしい人だった。
自らにも、家族にも厳しい人だった。
もしかしたら、それは愛情の裏返しだったのかもしれない。
だとしても、どうでも良いことだ。
表に出ない愛情をどう返せばよいのだ。
隠された真実に何の価値があるのか。
人を導く光であれと口うるさく言われた。
闇から人救い出すために輝き続けろと言われた。
何故
何故
何故
何故人を救い、導かねばならない。
そんなことは望んでいない。
お前の望みを押し付けるな。
窓を開け、上を見る。
宇宙に広がる闇に魅せられた。
無限の闇が星を包み込んでいる。
闇の果てまでどこまでも行こう