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星より眩く  作者: Letterake
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第10話 逃走 3

 船が半透明の膜を抜けてステーションに進入する。

 広い格納庫に着地すると同時に船から飛び出し走り出す。

 

 格納スペースに軍のファイターが2機侵入してきた。

 無駄の無い流れるような着陸、直ぐに軍人がわらわらと船から出てきてこっちに向かって走り出す。


「「うわあああああ!」」


 アベルとふたりで叫びながら逃げる。

 船から降りるときにバランスを崩して少しもたついた俺はアベルより少し遅い。

 軍人は凄まじい速度で走ってきて俺に手を伸ばす。


「ぐっ! ぐがっ!」


 重いパンチを3発貰って床に倒れ伏す。

 俺は直ぐに取り押さえられた。

 俺より前を走っていたアベルはそのまま走り続け、扉をくぐり格納スペースを抜けて見えなくなった。

 足が速く、直ぐに追いついてきた軍人は2人。

 どちらも今俺を取り押さえているため動けない。

 他の2名の軍人がアベルを追っていったが、アベルなら逃げ切れるかもしれない。

 

 俺はどうなるのだろう?


 

 ロープで手を縛られファイターの横に転がされた。

 見張りが1人残り、面倒くさそうにため息をつく。


 「(……くそが!)」




----------




 ロープに縛られた状態でかなり時間がたった。

 一時間近く経っただろうか。

 俺も、見張りの軍人も一言も発さない。

 つまらない時間だ。

 最悪の気分だ。

 俺はこのままシティに連れ戻されるのだろうか?

 シティで犯罪者として裁かれるのだろうか?

 逃げたアベルは?

 俺が牢屋の冷たい床の上で無気力に倒れ伏している間にアベルは自由を謳歌するのだろうか?

 惨めだ。

 俺は何て無様な奴なのだろうか。

 ………………。

 

 格納スペースの正面にある扉が開いた。

 いかついおっさんと見たことが無い魚のような顔をした種族の男?が入ってきた。

 

「おい! お前が食い逃げ野郎の仲間だな! 代わりに代金を払ってもらうぞ!」


「何だ貴様らは!?」


 おっさんと魚型エイリアン、そして軍人が言い争いを始めた。

 何だこの状況は?

 周りを見回す。

 横手のドアからアベルが顔を出し、手招きしていた。

 腕は縛られているけれど足は縛られていない。

 音を立てないように立ち上がり、アベルの方へ向かう。

 格納スペースを抜けるまで軍人は気づかなかった。


「助かったよ、食い逃げ野郎」


「ヘッヘッヘ、見直したろ?」


「ハッ! それで? これからどうする?」


「親父の船で出港したらまた直ぐにみつかりそうだからな、商人の輸送艦に乗り込む」


「乗り込めそうな輸送艦はわかるのか?」


「目途はついている、1番ドックに行くぞ」



 その輸送艦は長かった。とにかく長い。

 横に並んでいる小型の宇宙船が5隻縦に並んでもそれよりもっと長いだろう。

 商品を積み込んでいる途中のようで、輸送艦の側面と天井が大きく跳ね上がり積荷を入れることができるようになっている。

 ほとんどの積荷は収納済みのそうで、船の中に大量のコンテナが見える。

 作業を行っている人間は少なく、輸送艦の先頭の方で小さい荷物を固定する作業を行っていた。

 

「いいタイミングだな、入るぞ」


 立ち並ぶ宇宙船の影から様子を伺っていたアベルが俺を見て言う。

 アベルの無茶苦茶なプランに不安はある、でもここまできたら引き返せない。

 シティに連れ戻されるのだけはごめんだ。

 なるべく音を立てないように、輸送艦の開いた側面へと素早く走った。

 積み込まれたコンテナの間に体を押し込み奥へすすむ。

 コンテナとコンテナの間にある隙間を抜けると通路がある。通路を横切り、奥に並ぶコンテナのさらに奥へ回りこみ外から見えない位置で座り込んだ。

 

「はぁ……ひやひやしたよ」


「どうだ?俺の完璧なプランは」


 アベルが胸を張る。にやにやと気持ちの悪い笑みを浮かべる。


 そんなアベルを見ていたら疲れが押し寄せてきた。


「素晴らしいな」


 適当な返事を返しておき、時を待つ。


 


----------



 ガコン!

 輸送艦の側面が閉じられた。

 

「ヘッヘッヘ、都合よくウィングボディの輸送艦があって助かったな。俺たちの旅は女神に祝福されているんだ」


「ウィングボディ?」


「ああ、この輸送艦みたいに側面と天井の一部が上に開くようになっているやつのこと、扉が上に開くと羽を広げているみたいに見えるだろ?」


「変なこと知ってるなお前」


「言ったろ? 勉強したって」


「親父から盗った本だっけか? 時間があれば俺も見てみるよ」


 言ってみてから気づく、荷物は全部先ほどまで乗っていた船に置きっぱなしだ。


 輸送艦が振動する。

 エンジンが起動したのか。


「なあアベル、この輸送艦はどこへ向かうのかわかるのか?」


「わからん」


「…………アベル、俺たちの旅は女神に祝福されているとか言ってたな」


「言ったぞ、俺たちは運が良い」


「俺たちの荷物はお前の親父の船に置きっぱなし、この輸送艦がどこへ向かいどのくらいの時間航行を続けるのかもわからない、向かった先に服やその他生活用品が売っているのかわからないし、仮に長距離航行で何日も飛び続けるようなことがあれば俺たちはこの輸送艦の持ち主に見つかるし、見つからなくても空腹でくたばることになる、この状況で俺たちは運が良いって?」


 船が動き、直ぐに無重力状態になった。


「何とかなるって、少なくとも空腹ではたおれないな、さっき食料を買って置いた」


「はぁ……」


 深く、ため息をついた。



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