策略
目的の街に到着する事ができた。
歩いているだけでも、魔物たちは襲いかかってくるので、仕方無く全て殺していったら、もうすっかり夕焼けが綺麗な時間になっていた。
夜だよ、と急かすウンディーネの言う事に従い、すぐ近くの宿屋に入る。体液や鮮血でドロドロの身体を見て、喫驚している主人から奪い取るように部屋の鍵を受け取る。
部屋に入り、流石にこの汚らしい体を見て何か思わない奴はいないだろう。
「…………ふぅ」
サキュバスに沸かしてもらった湯船にそっと足から浸かる。
そういえば昔、城の本棚に一つだけ逆さまに入れられた本があった。興味が湧き、その本を抜き出し読んでみた。
その本は『封印』というものについて書かれてた本だった。
この世界の中心には、世界の安定司る神がいる。神は動き出してはならないものである。動き出した時、世界は崩壊れ全てが無に帰るだろう。
で、その崩壊を防ぐために神を封印しているのだが、封印には『核』が必要で、その『核』にはシルシというものが現れた人間がなるらしい。
『核』になった人間は神が感じる負の感情全てを背負わなくてはいけない。
『核』が死んだ場合は、新たな人間にシルシが現れる。無間地獄のようなものだ。
封印の要である『核』の他にも、封印を手助けしている場所がいくつか存在する。
その中の一つにセブレイスが含まれている。
この本が本当なら。もし、竜を操っていた者……すなわちダグノザラスが、封印を壊そうとしているなら。
全てが壊れてしまうことだろう。
「……何て、な」
そう、これはただの空想だ。
出る際思い出したように湯船に浮かぶ純白の花を掬い、そしてまた湯船に戻した。
『……んんっ……ふあぁっ……あぁっ!』
ベッドが軋む音と甘ったるい嬌声が混じり合う。サキュバスはどうやら“イッた”みたいで、快感のあまり細かく体を震わせている。汗と体液まみれの身体でベッドに倒れ込んだ。
「…………ふう。で、どうする?まだヤるのか?」
『はぁ……っ……もっいいよぉ……っ!』
「ん、そうか。」
こいつは羞恥心というものがないのか、身体を隠さない。改めてサキュバスの身体を見ると、やはり良い身体をしている。出るとこは出て、締まるところは締まっている俺好みの身体だ。
サキュバスはその人にとって最も魅力的な女性の姿で現れるという。だが、本来の姿は醜悪な姿をした女性怪物だと言われている。俺の膝元にあるサキュバスの柔らかな髪を指で梳く。
『すっごい濃かったわぁ……ありがとう』
快感の波が通り過ぎてから、彼女はそう言うと頬に軽く口を付けてきた。
「お早うございます。昨夜はお楽しみでしたね。」
宿屋の主人はそういって、微笑んだ。それに対しては何も答えずに宿屋を後にする。
街はざわついていた。やはり、セブレイスが消え去ったという情報が伝わってきたようだ。
誰でも登録無しで依頼を受けれるギルドに入り、仕事の紙が貼ってあるボードを見る。どれも薬草を取ってきてくれなど、採集のモノしかない。
『なんでこんな所に来たのー?操ってた人を追うんじゃないの?』
「元々持ってきた金は少ないんだ。それに、仕事をして男がどこにいるかっていう情報を得られるかもしれないだろ。」
『確かにそうだねー』
ウンディーネの質問に答えてやったら、彼女は満足したそうだ。
どれもつまらなそうな仕事だったので、帰ろうとすると一つの仕事が目に止まった。
《封印の遺跡に巣食う魔物を退治してくれ》
依頼者は考古学者らしい。
ボードからその紙を外し、ギルド長のところへ持って行った。
「あんたが依頼人か。」
待ち合わせ場所の街の外で待っていると、依頼人と思われる髭を蓄えた爺さんが街の方から来た。
「ええ、そうです。あなたは……依頼したのは遺跡の魔物退治ですね。案内しましょう」
爺さんの割には案外素早い。
街から離れて少し行った所にある草原。そこで爺さんは足を止めた。
足元をよくよく見ると不自然な出っ張りがある。爺さんは、何と出っ張りを上方向へ蹴飛ばした。
すると草原だと思っていた石は外れ、下に階段が現れた。
「この下に遺跡があります。どうぞ、お入りください」
そう言って無理やり押し込まれた。
中は暗くひんやりとした空気が漂っていた。少し嫌な予感がする。
「それでは。」
何と、爺さんは石をはめ込み出入り口をなくした。
「なっ……!?」
「大人しく、魔物に食われてくださいね。後、そこは中から開きませんから。」
嫌らしい笑い声がだんだん遠ざかっていた。
「……おい、お前ら。分かってなかったのか?」
『ん?一体何が?あ、一応あの男が魔物と繋がってるのは匂いでわかったけど、言うべきかどうか迷ったのよねー。』
『やっぱり、言うべきだったね?』
「……次からは報告してくれ。」
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