ステラの料理
「おかえりっ。教官殿」
鶏三匹と大口の透明な液体が入った瓶を二つ、運びにくそうに抱えて教官殿は帰ってきた。
「ん、ただいま。草原鶏を捌いてくれないか?」
「分かった。」
料理はあまり得意ではない。
何故だか知らないけど、普通に豚の丸焼きを作ろうとしただけなのに、何故か更に美味しい蒸し焼きになっていたり。それでも、教官殿に言われた事だし頑張ってみよう。
教官殿がやったのか血抜きもしてあるし、首も切ってある。ここまで出来ているなら次は湯を沸かせばいい。
昔、動物の食べ方っていう本に載っていた気がする。
「オルフェ、どうだ?」
「甘くて、おいひぃ……」
『オルフェ、大丈夫か?お腹は痛くないか?……おい。この子に毒を食わせたらお前を殺すからな……?』
クーシーの親バカ具合につい吹き出してしまう。熱湯の中に鶏を浸し、羽が抜けやすくなったので手際よく三羽とも羽根を抜いていく。
アルラウネの棘で作ったナイフで体と太ももの間の皮に切れ込みを入れる。
そういえば、アルラウネは何処に行ったのだろうか?。まぁ、来年までには帰ってくるだろう。
「関節部分が見えるくらいまで足を開くっと……」
なんやかんやして、もも肉は取れた。
「よーしっ。ぜんぶお肉がとれたぞーっ♪」
どう料理するか迷ったが、香草と一緒に焼く事にした。草原の真ん中なので様々な香草が採取できる。軟膏の材料となる薬草もついでに採取しておこう。そういえば、干してあるお茶ができる頃合いだ。
料理用に買った小鍋の中に香草と鶏の肉を放り込み、魔法で火を点ける。こういう所で、魔法を使わなくては身体が持たない。
香草と一緒に焼くと、食欲を湧かせるような匂いが漂い始めた。一つ味見してみると、嚙み締めるたびに肉の甘みと香ばしさ、香草の食欲を誘う香りが口の中に広がる。
教官殿も美味しいと言ってくれると、信じて一口サイズの肉を小皿に盛り、オルフェを撫でている教官殿の元へ行く。
「教官殿!口を開けてくれないか?」
「うん?何だ?」
「香草と草原鶏のソテーだ。美味しくできたんだぞっ?」
小皿を受け取り、肉を口に入れた。暫くもぐもぐとしていたが、こちらを向いて美味しいと、微笑んだ。
彼に喜んでもらえたということ、それだけが嬉しい。




