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最後まで抗い続けた英雄の物語  作者: 夏蜜柑
第二章〜壊れかけの城〜
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オルフェの力

「いた!あそこだ!」

もう連絡が伝わったのか、兵士の宿舎から大量の兵士が走ってきた。

笑えるが、ここで捕まったら終わりだ。

『階段を降りるよりも、窓から飛び降りた方が楽しいんじゃないのか?』

どうやら、クーシーも楽しんでいるようだ。確かに、飛び降りて驚いている表情を見るのも楽しいな。いざとなれば、浮遊魔法(フローティング)をかければいい。走りながら周りを見ると窓があった。

高さ2メートル程度の鐘形で、ガラスのない窓。

助走をつけて、飛び降りた。続けてクーシーも飛び降りた。

後ろには驚いた表情が見えただろう。見れないのが、残念だ。



「おふろ……あったかい。」

「そうか。お風呂あったかいな。」

ステラの胸にしなだれ掛かった。膝に乗り甘えるような仕草は見ていて癒される。

それにしても驚いたな。まさか、両性具有だったとは。綺麗な黄緑色の髪を手で梳く。そして耳の白い羽根の毛先を揃えてあげる。

濃い緑の目はぼんやりとお湯を見つめている。

「ふさふさだな。……ああ幸せ。」

「お姉ちゃん。くすぐったいよぉ……」

ちょっと嫌がってるので、この辺でやめてあげよう。軽いオルフェを抱き上げ、風呂から上がる。結構疲れたが我慢だ。

これまた魔法で作り出した布で作った服を着せる。まだ眠たそうなので、ベットに寝かせる。

「んにゃ…………」

ものの数分で毛布にくるまって寝てしまった。早いな。

それにしても、最近何かおかしいような気がする。よく分からないが、何かがおかしい。何故だろうか?。



「足いてぇ………」

『人間は弱いな。』

「幻獣族が強いだけだ。」

路地裏で、足に薬草を巻きつける。

外には既に兵士たちが走り回ってる。

今日は泊まれそうにないな。少し残念に思う。

別に悪い事はしていない。ただ、あの醜く肥えた豚を殺しただけだ。あいつのせいで、人々は困っていたようだし大丈夫だ。

「せめて二泊できたらよかったのにな。」

『しょうがない……早めに出発するがよかろう。』

「確か、この先に癒しの能力を持った人が集まる小国があったはず……。宿屋に帰って地図を見るか。」



「おかえり、教官殿。」

「ただいま。すぐに出発するぞ。」

それを聞くと、ステラは慌ててベッドに眠っているオルフェを起こした。

「あっ。クーちゃんっ!」

眠そうにしていたオルフェは、クーシーの姿を認めると笑いながら走り寄った。微笑ましい様子だが、今は急がなくちゃいけない。

「癒しの国はここから東か。歩いて2日魔法を使って半日かかるな。」

「教官殿。食料は牛肉の干し肉が塊で二つあるけど、大丈夫だろうか?」

「大丈夫だろう。ところで、歩きと魔法どっちを使って国まで行くか?」

クーシーと戯れていたオルフェが魔法という言葉を聞き、窓から外を覗いた。今日は爽やかな風が吹いてる。

「きょうは風が吹いてるから……まほーがいい。」

「そうか。ステラもいいな?」

「ああ。別に構わないが。」

『ねぇねぇ。私のこと覚えてるー?』

足元から人間姿のウンディーネが現れた。ウンディーネだけで、サキュバスは見当たらない。

「ん?……ああ。ウンディーネか。サキュバスは?」

『何だよその反応ー!薄い!薄いよっ怒ったもんね!』

魔力を濃縮したものをさらに濃縮して、触れれば触れた箇所が溶けるほど純度が高い魔力をぶつけようとする。

「おいやめろ。部屋が消える。」

強制的に実体化を解く。

行動を制限する呪いをかけ、部屋から出る。




「お姉ちゃん、おそら楽しいね。」

「そうだな。お空楽しいな。」

緑色の蝶の紋章が、背中から数センチ離れたところに浮き出ている。

これは一体何の紋章だろうか。

とにかく、オルフェは何か風に関するものの血を引いているのだろう。風が吹いているところでしか、空を飛べないのが証拠だ。

「癒しの国はもうそろそろだ。少し急ごう。」

この辺りは合成獣(キマイラ)の巣がある。あいつらは夜にならなくては行動しないが急いだ方が良さそうだ。

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