幻獣の城
幼女の幻獣を撫でている手がふと止まった。誰かが住処に入り込んだみたい。すぐにお友達に頼んで、倒してあげなきゃ。だって、生かしておいたらお友達が悲しむもの。
撫でられてる幻獣は一声吠えて、配下の者たちを侵入者を殺すため走らせた。
城の中に入るまで魔物は一匹も居なかった。扉を開けると同時に二匹の狼が襲いかかってきた。
反射的に切り返したが、服が返り血で真っ赤に染まってしまった。
「………なんだ?ここは。」
闇の中に浮かぶのは、爛々と光る血に飢えた獣の瞳。それが何十個も浮かんでいた。
「水炎魔法!」
暗い城の中を照らすと共に、獣達を水で出来た炎で燃やしていく。魔法はあまり得意ではないためなかなか一撃では倒せない。弱った所を斬り捨てる。
今回は魔物を全滅させるのが目的なので、敵を無視して進むことができない。別に構わないが。
「ウンディーネでも連れて来れば良かったな!」
斬り捨てていくうちに、残りは二、三体残すのみとなった。襲いかかってきたところを待ち構え斬り捨てる。血が垂れ落ちる剣を一振し、二階への階段を上がる。
幼女は、幻獣を抱きしめた。
たくさんお友達が死んじゃったね。もうちょっとしたら、三階の部屋にも来ちゃうかな?
幻獣は悲しげな光を湛えた瞳で、幼女を見つめた。
「服が血でドロドロだな。」
胸当ては特に必要なさそうだったので、外してきてしまったことに少し後悔している。胸当ての下に着ていた皮製の服に、血と内臓がべっとりとこびりついてしまった。獣独特の生臭い匂いが自分の身体から漂ってくる。
「水魔法で服を濡らして……」
手から出した水のような魔力が、服を濡らす。どこからか吹き込む風が体を冷やす。
「炎の暖かさを入れた風魔法で服を乾かすっと……。無理矢理すぎたな」
激しい水を浴びたおかげで、大体の血と内臓は落ちた。また戻ったらしっかり落とそう。
「さてと……残りは、上の階だけか。」
上の階にいるのは、どんな奴だろうか。強い奴だろうか。……ヤバい、興奮してきた。
やだよやだよ。こっちに来ちゃうよ。
残ったのは親友のこの子だけ。何としてでも守らなきゃ。
幼女の思いとは裏腹に幻獣は、幼女の手から抜け出し侵入者を撃退するため、入り口の前に移動した。
三階は真っ直ぐな廊下とその先の一つの部屋で構成されていた。床をよく見ると、埃のなかに小さな足跡と比較的大きな獣の足跡がついていた。
「人間か……?」
妙に小さいから妖精族だろうか。
まぁいい。邪魔するならそいつ共々斬り捨てればいい。
奥の部屋のドアを開け放つ。
「だれ……?お友達を殺した人……?」
扉を開けるとすぐそこにふっさりとした毛皮を持つ黒い獣がいた。獣は俺の姿を確認した瞬間飛びかかってきた。反射的に斬り返す。
「クーちゃんっ!?」
驚きの声が聞こえてきた。声の方向を見ると女がボロボロのソファーに腰掛けていた。
女とは言っても、まだ五歳程度だろう。その子供は今ではあまり見かけない羽のような形をした耳を持っていた。幼女はボロ布一枚でその身体を守っていた。
「クーちゃんを殺すのぉっ……?」
どうやら、この黒い獣の事らしい。
「だめだよぉっ……!クーちゃんを殺さないでぇ……」
泣きながら、俺の足にしがみつき子供は言った。
傷つき荒い息をしている獣の赤い目玉をよく見ると、何か印が刻まれている。そして、子供の左足にも同じ印が刻まれていた。
「契約してるのか……。幼いのにな。」
「クーちゃん殺さないでぇ……」
流石に小さい子供を殺す気はない。かといって置いておくのも何だし……。
少し考え、子供を抱き上げる。そして、安眠魔法をかけて眠らせる。そのまま帰ろうとした。
『まて……その子を離せ。』
低く少ししゃがれた声が聞こえた。獣の方から聞こえてくる。咳き込む音もする。
『私の……ゴホッ……子供に何をするんだ………?』
「子供?………お前はまさか幻獣族か?」
『そうだ……それがどうした……?』
「意外だな。人間が嫌いな幻獣族が人間を守るとはな。」
『その子は風に愛されている唯一の子なのだ。……守ってやらねばならない』
獣は顔を伏せ、人間がお願いをするような格好をした。
『お願いだ。その子を……オルフェを離してくれ。』
「イヤだ。この子は王に突き出す。」
『………あの。あの醜い王に渡すというのか?この美しい子を……?』
獣は驚いたような目でこちらをじっと見つめた。そして、すがるようにこちらを見上げた。
『それはダメだ。その子の身体は特殊なんだ。ダメだ……死んでしまう』
「………うん。そうだな。王にはわたすが、俺についてくれば。死なないだろうな。」
『どういうことだ……?』
獣にたった今考えついた誰もが助かる方法を教えた。獣は、こいつは頭がオカシイのかという目をしていたが、これしか無いと言ったら呆れながらも賛成してくれた。彼に回復魔法を施す。
オルフェたんは両性具有です。可愛いです。例え立派なおち◯ち◯が付いていても美少女は可愛いのです。




