第3話-過去と巫女-
「キャー!!妖怪よ!!」
「みんな、逃げるんだ!!」
突然妖怪襲いかかってきて、街の人々は皆逃げていた。
「母さん!母さん!」
子供の声が聞こえる。
「・・・ね!逃げて!!!」
「う、うわあああ!!!」
・・・はっ!
「・・・。」
目が覚めるとまず目に着くのがいつもの天井。
「・・・夢、か。」
時雨はため息をつく。
「時雨、起きていたのか。随分うなされていたみたいだが。」
シロウが部屋に入ってきた。
「いや、昔の夢を見ていたのさ。」
それを聞いたシロウは目の色が変わる。
「・・・そうか。」
「・・・さて!今日も頑張るとするか。」
時雨は部屋から出る。
「おお、時雨。今起きたか!」
ざわざわ、何か少し騒いでいるようだ。
「ん、どうした?」
「詩音様を起こしてやってくれ、頼む!」
詩音は普通朝一に起きるのだが、寝付きが悪く、誰も恐れて起こそうとはしないのだ。
「…はぁ、仕方ない。」
時雨は部屋に入って起こしにいく。
詩音は巫女服姿のまま、大の字で寝ていた。
(何という格好で寝てるんだこの子は!)
また昨日も徹夜で頑張っていたのだろう。
「おーい、起きろー。今日は大量殲滅の日だろ?」
「う〜ん・・・。後5分、いや1時間…。」
子供かよ。いや子供なのだが。
「仕方ない、水をかけるか。」
時雨は井戸から少し水をくんで詩音にかける。
「ひゃ!?冷たい・・・」
詩音は驚いた顔をした。
「起きたか。」
「あれ、もしかして私ずっと寝てました?」
「ああ、爆睡してた。」
詩音はえへへ、と笑う。
その後、皆を部屋へ呼び集めた。
「えーと、皆よく聞いて欲しい。昨日徹夜で調べたことなのだが…くしゅんっ」
詩音はくしゃみをした。みんなは勿論笑う。
「詩音様、風邪でもひきましたか?」
「あんな格好で寝てるからだろ。」
詩音は顔を赤くしてこう言った。
「い、いえ。大丈夫です。昨日徹夜で調べたことですが、歌舞伎町に妖力が集まってるみたい。」
「流石詩音様、妖力を感じ取るとか凄いですよね。で、歌舞伎町を攻めるんですか?」
「そうだけど、いきなりだと町人も驚くだろう。幕府が動き出したら困るから、分散していくこと。いいな?」
「オールライト。」
「英語で喋るな。いいな?」
「御意です。」
詩音の作戦通り、皆は分散して先に行ってしまった。
「さて、俺もそろそろ行くか。とその前に、詩音。」
「はい?」
「その巫女装束、やっぱ似合ってるぞ。」
「は、はい。ありがとうございます…。」
詩音は照れながらそう言った。
「ほれほれ、妹を口説いてないで行くぞ。時雨。」
「分かってるよ、シロウ。」
「さて、何処を攻めようか。」
「冷静に考えろ。騒ぎが起こったら困るからな。」
時雨はあたりを見渡す。
「よし、あの洞窟なんてどうだろう。」
「なるほど、あそこなら人もいるまい。妖力も微力ながら感じられるしな。」
時雨とシロウは洞窟に向かった。