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Rainbow God Bless  作者: 色彩天宙
Chapter5:彩りの義勇軍篇
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第98話『傭兵戦争〜Vol.8〜』

シリーズ第98話目です。どうぞお気軽にご覧くださいませ!

ブルーノ国バーント平原にてリモーネ率いる巨大傭兵団と戦い続ける一行。別働隊との合流を果たした2日目の戦いを終え、拠点で束の間の休息を取っていた。



「スラッジ、無理してない?拠点の設営も大変だったよね…」


「…ああ、大丈夫ぞなもし。カタリナの顔を見たら疲れも吹っ飛ぶぞなもし!」


「そっか、良かった…今日から増援のみんなも来てくれて心強いね♪」


「そうですね、カタリナ。でも、きっと傭兵団も黙ってはいないでしょう。油断は出来ませんね」


「モニカさんの言う通りなのである。これからが正念場なのである!」


「そうですね、カシブさん。私達の愛の光を灯すために歩んでいきましょう!ピカンテも一緒に愛の戦士として戦いましょうね?」


「…ああ。我が身に宿る邪竜の力、天使リーベを守るために使わせてもらう!」



祝福の証の彩りのもとに集い、皆で支え合い、毅然とした意思で戦う彩りの戦士一行。互いを繋ぐ絆に導かれ、共に戦う全員が目の前の戦いの先に希望の光を見出だしていた。



「ブライアさん、大丈夫ですか?貴女の心が澱んでいるのを感じるのですが…」


「ネイシア…ええ、その通りよ。テラコッタ・ソシアルナイツ…私にとっては家族同然の存在。ずっと彼女達が心配でならないわ…」


「そうだよな…早く助けるためにも今はこの戦いを乗り越えようぜ。俺も頑張るよ!」


「そうね。この軍で皆と戦い、その運命の先へと進んでいけばきっとソシアルナイツの皆を救えると信じてるの。皆と一緒なら勇気が湧いてくる…前向きな気持ちで戦えるわ。共に頑張りましょう」



一方、リモーネ率いる巨大傭兵団はガルセク渓谷の拠点で集会をしていた。が、拠点で胡座をかきながら戦局を他人事のように見ている大将リモーネに対し皆が辟易した様子だった。



「みんな、お疲れ〜!今日も頑張って戦ったね〜♪」


「……」


「あれ〜、みんな元気ないよ?アイツらなんてこれだけの数で押し切れば余裕っしょ♪明日も元気に張り切って──」


「いい加減にしろ!!」


「そうだそうだ!!」


「ふざけんな、このバカ大将!!」



1人の怒号を皮切りにリモーネに向かい合う傭兵達の群衆から赤黒い怒気が一気に溢れ出る。リモーネに対し、前線で戦った者達の不満が爆発したのだ。“裸の王様”である大将リモーネは皆から噴出する怒りに慌ててはいるものの悪びれる様子はなかった。



「ええっ!?待って待って!ちょっと、な、何怒ってるわけ!?」


「あんた、戦いもしないで余裕だとか勝手なこと言いやがって!ふざけるのも大概にしろ!ヘラヘラしてばかりのお飾りリーダーめ!」


「そんな…みんなで協力して頑張るのに、どうしてそういうこと言うのよ…?」


「みんなで頑張る、か…よく言うよ。リモーネさん、あんたは今の状況を何もわかってないじゃないか。敵の増援にはギャラクシア首領、獅子座のミノア・マグナスまでいるんだぞ?ただでさえ押されてたのに増援も加わった。余裕で勝てるような相手じゃないだろう?」


「ミノア・マグナス!?ま、まさかそんなことが…」


「その“まさか”が現実に起きてるんだよ。あんたが見てない前線ではな」


「私が…見て、ない…そんな…」


「とにかく、貴女が前線に立ってこの戦いの現状をその目で確かめるべきよ。高見の見物を決め込んでいては絶対に勝てないわ」


「はいはい、明日私も戦えば良いんでしょ!?この戦いのために私だってちゃんと訓練してきたんだからね!私と精鋭部隊の華麗な戦い、見てなさいよ!…じゃ、おやすみ〜!」


「ちょっと、リモーネさん!?行ってしまった…あんな調子で勝てるような相手じゃないって言ったのに…」


「ハァ…精鋭部隊だかなんだか知らないけど…この戦い、もう負けだな」



拠点に敗色が満ちて渦巻くほど傭兵団の士気は落ち込んでいる。客将リベラ率いる破落戸5人組は密かに意気を高めようとしていたが、奇襲を仕掛けに前線に飛び込んだマチルダは1人浮かない表情を見せていた。



「明日はいよいよ精鋭部隊の出番だ。まあ、気楽にいこう!」


「リベラ…さすがに調子に乗りすぎじゃねぇのかい?あたしゃちょっと気乗りしねぇよ…」


「マチルダ、弱気になっちゃダメだよ〜!ね、セレアル?」


「あいよ〜…。あれだな、いよいよ出番なんだな〜…うん」


「マチルダ、私らが束になりゃ勝てる。お前は不意討ちや騙し討ちの名手だ。形振り構わない戦いで隙を突いて、引っ掻き回せ!」


「あのなぁ…ジェンシア、そうは言ってもよぉ…」


「おいおい、自信持てって!そんな弱気じゃ勝てる戦いも勝てないぞ?」


「マチルダ、頼りにしてるよ。とにかく明日に備えてゆっくり休んでな!」


「…ったく、ちゃんとその目で見ろってみんな言ってんだろうに…あたしゃもうどうなっても知らねぇよ…」



3日目の戦いが始まろうとしている。が、初日2日目とは違い、分厚い鈍色の雲が空を覆い隠している。一筋縄ではいかない戦いを予知するものだろうか?今にも泣き出しそうな空を見上げながら一行は戦いへ踏み出そうとしていた。



「チッ、どうも不景気な天気じゃないのさ…こりゃ一雨降りそうだねぇ…」


「ええ、天候の変化にも十分注意してください。各スクラム同士で連絡を取り合い、著しく天候が悪化した場合は無理せず戦闘を中止して撤退しましょう」


「雨は体を冷やして体力を奪うからね…みんな、気を付けていこう!」


「わかりました、クレア。みんな、戦いましょう!私達の道を切り拓くために!」



微かな不安を抱いたまま、バーント平原へと駆け出す。前日同様に数名ずつのスクラムを組み、各スクラムごとに戦闘を進める。先陣を切って飛び込んだのはテリー、ステラ、キャロル、ヤート、ラパン──各々で異なる色合いの格闘術を会得した力自慢の5人のスクラムは猪突猛進の勢いで傭兵団に挑み、武器となる己自身の拳や脚に燃える闘魂を込めて叩き込んだ。



「オックスフォードブロー!」


「ベノムナックル!」


「ラヴィッツソバット!」


「おお、順調じゃわい!ラパン、腕を上げたのう!」


「ヘヘッ、ラパン流の可能性は無限大だからね♪まだまだガンガン突き進むッスよん!」


「うおおぉぉッ!ラパン、燃えてるッスね!自分の闘魂も燃えてるッス〜!!」


「ああ。テリーの拳も以前にまして強くなったね。僕も燃えてきたよ!」


「キャロル先輩、また一緒に戦えて嬉しいッス!ガンガン突き進むッス〜!」



一方、コレット、リデル、ゼータ、ミリアム、ルーヴのスクラム。可憐な碧の少女2人を守るべく彩りの力を振るうのは零血の機械少女、碧緑の守り人、森緑の蛮族──真っ直ぐに伸びゆく緑を護る戦いに果敢に挑んでいた。



「オラァ!いつまでも好きにやらせるかよぉ!」


「ヘヘヘ…緑の嬢ちゃん2人、俺達の奴隷にしてやるぜ…ヒヒヒ…!」


「そうはさせねぇぞ!ワイルドファング!」


「アルヴェージャ・スプラッシュ!」


「コレットとリデルには指一本触れさせん…掃射!」


「ぐわああぁぁッ!」


「コイツ、体が機械だと!?右手に銃を仕込んだ変な奴がいるって聞いてたけど、コイツだったのか…!」


「フッ、誰から聞いたかは知らんし興味もないが、貴様に向けたこの銃口をその目に焼き付けておけ。二度と我々に近付けないようにな!」


「ひいぃっ…か、勘弁してくれ…!」



傭兵はゼータの冷血なる視線に気圧され、方々へ逃げ去っていった。構えを解いて振り返るゼータがコレットとリデルに対して向ける視線は同一人物とは思えない優しさに満ち溢れていた。



「よし、片付いたな…コレット、リデル、ケガはないか?」


「うん、大丈夫だよ!ゼータ、ありがと!」


「私も大丈夫です…すみません…」


「よっしゃ!蛮族の名に賭けて、負けられないねぇ!」


「ねえねえ…ゼータとミリアムさんとルーヴは一生懸命戦ってるのに、わたし達、戦いの邪魔になってないかな?」


「いいや、そんなことないよ。アタシらは2人に一緒にいてほしいんだ。傍にいて応援してほしいんだよ!」


「そうそう、コレットちゃんとリデルちゃんはサポートしてくれて助かってるけど、一緒にいてくれるだけでも私達に力をくれるのよ。ね、ゼータ?」


「ああ。私はコレットとリデルを守るために戦っている。私達に戦う意欲を与えてくれるんだ。感謝しているぞ」


「エヘヘ、よかった!リデルちゃん、わたし達もがんばろ〜!」


「…はい、頑張ります!」



曇り空の中、絆で繋がる一行は晴れやかな心持ちでいる。トリッシュ、スラッジ、グィフト、トック、ドゥイヤオのスクラムは軽快な足取りで戦場を歩んでいた。



「イェ〜イ!この調子でバリバリブッ飛ばしていこうじゃん!」


「おう!わっちらは負けねぇがや!絶好調だがや!」


「なあ、トリッシュ…お前さん、カタリナとはどういう仲なんけぇ?」


「はぁ!?あ、姉貴は姉貴だよ…アタシの一番大切な人で──」


「一番大切な人なの!?じゃあ…まさか、キスとかした…?」


「グィフト、そんなんじゃなくてさ〜…もしかしてエッチとかしちゃったのかもよ!?キャ〜〜ッ!トリッシュ超ヤバ〜い!!」


「おおぉぉ…それ、良い…すごく良いじゃん!うおおぉぉ〜…!!」


「ほっほ〜ぅ…それはそれはお盛んなことぞなもし…ウヒョヒョッ!」


「ちょっと待てって!3人で勝手に話進めて盛り上がるな!ドゥイヤオ、助けてくれ…!」


「やれやれ…戦いの最中とは思えん話題だがや…おみゃあら集中せぇ!」



リーベ、ピカンテ、カシブ、オール、リヒトのスクラムは持ち前のポジティブなエネルギーが充満している。目の前の壁を立ち止まらずに跳ね除け、我武者羅に前へ前へと突き進んでいた。



「うひょ〜!すご〜い!ピカンテ、強いんだね〜!」


「フッ…太陽の魔道士リヒト、感謝するぞ。お前の眩しいほどの光が私を照らしてくれている…」


「ピカンテ、素敵ですわ♪一緒に愛と希望の光を灯せますわね!」


「ああ、任せろ。我が身に住まう邪竜が獲物を求めている…!」


「ハハハ…賑やかな御方ですね。心に太陽を灯していらっしゃる…前向きな気持ちになれますね」


「全くその通りなのである♪私達ならきっと勝てるのである!」



一方、敵軍の精鋭部隊が遂に動き出した。一行の前に姿を現したのはパンサーブラックの暴拳士ジャンヌ、薄墨色の乱武士シンディ、キャンディオレンジの狂楽嬢コーネリア──かつて敵対者として一行に立ちはだかった面々が傭兵団の一員として再び刃を向けた。



「Hey!Hey!お尋ねmonoはみ〜んな打ち首Death!」


「キャハハハ!み〜んなやっつけちゃお〜!」


「クソッ、テリー・フェルナンデスは何処だ…?まあ良い、テメェらから先にブチのめす!」



クレア、アイリス、リンド、リボン、オトロヴァのスクラムとフェリーナ、シェリー、ビアー、ペソシャ、ポソニャのスクラムが合流し、敵軍の中核を担う一団を迎え撃つ体勢を整える。風雲急を告げる事態に皆が息を呑んだ。



「アタシらはそこらのザコどもとは違うぞ!ボコボコにしてやる!」


「その通〜り!調子に乗ってる悪い子ちゃんはお仕置きだピョン!」


「あわわ…手強いけど、なんとか頑張らなきゃ…」


「そうね、クレア。精霊よ、御導きを…!」



様々な感情が交差する傭兵団との戦いはいよいよ佳境へと突入する。一行は波濤のように次々と押し寄せる脅威に打ち勝てるのか?万を持してリモーネが戦場へ送り出す精鋭部隊との戦いが遂に始まる!




To Be Continued…

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