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Rainbow God Bless  作者: 色彩天宙
Chapter1:プロローグ
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第6話『吟遊詩人の詩(うた)』

この作品はpixivにて同時に公開しています。pixiv更新分:http://m.pixiv.net/novel/series.php?series_id=195369&PHPSESSID=35892ffe6765bfb210eb36ba53c29eea&guid=ON




シリーズ第6話目です。気ままに楽しく、エンジョイする気持ちの赴くままに執筆・投稿しております♪どうぞお気軽にお楽しみください!

シャルドネ侯国でコレット、リデルを仲間に加えた一行はテナールズ海の海岸線を歩いていた。穏やかに揺れる水面が心地良い。



「わぁ〜♪山もいいけど海もいいね〜!」


「はい…すごく綺麗、ですね…フフフッ♪」


「潮風が気持ちいいな…俺の心が海の青に染まっていくような、心地良い気分だよ。」




モニカ達が海を見ながら会話をしていると、1人の青年が歩み寄ってきた。ピンクを基調とした衣装に身を包み、ギターを持っている。虹色に輝く宝石の首飾りを着けており、その身なりはどこか不思議な雰囲気を醸し出している。



「すみません。皆様、旅の方ですか?」


「なんだぁ?アタシらこう見えても強いんだからな!」


「失礼、怪しい者ではございません。私はただの歌詠みです。」


「トリッシュ、落ち着いて。この人に敵意はありませんよ。…それで、何か御用ですか?」


「はい。皆様、このテナールズ海に伝わる愛と神秘の物語を聞いていきませんか?」


「へぇ、愛と神秘か…面白そう。俺は聞きたい!」


「ええやん!歌詠みの兄ちゃん、聞かせてぇな〜♪」


詩人はゆっくりとギターを弾き、テナールズ海の物語を語り始めた。



「かつて、テナールズ海はネレイドという名の精霊が治めておりました。彼は人間に対しても分け隔て無く接し、彼が治めるテナールズ海は彼の性格を現すかのようにいつも穏やかでした。

ある日、ネレイドはラリッサという1人の女性に恋をします。彼女と心を通わせるうちに彼の心にも愛しさ、喜びが満ち溢れました。しかし、それと同時に何故か哀しみ、孤独感も募りました。精霊である彼は人間である彼女と結ばれることはないという無情な現実を知っていたからです。

遂に堪えきれぬ哀しみにくれた彼は海の底で声をあげて泣きました。テナールズ海には連日嵐が吹き荒れ、人々にも海に住む魚達にもネレイドの哀しみを癒す術がありませんでした。

そのとき、岬から荒れ狂う海へとその身を投じる者がいました。ラリッサでした。彼女は愛するネレイドのため、テナールズ海にその魂を捧げ、海の精霊として自然界へ逝くことを選んだのでした。彼女が海に身を投げると、吹き荒れていた嵐は鎮まり、愛し合う2人の精霊が治めるようになったテナールズ海はいつもの穏やかな姿を取り戻しました。精霊ネレイドの孤独と哀しみは一片の愛によって癒されたのです。」




ギターを弾き終えた詩人が無言で一礼する。モニカ達はテナールズの大海原に秘められた物語に酔いしれていた。



「うおお〜っ!愛のパッションが為せる業ッス!!感動したッス〜〜ッ!!!」


(命を捧げて守る愛、か…姉貴…)


「すごい…素敵なお話ですね♪…トリッシュ?私の顔に何か付いてる?」


「ん…いや、何も。愛のために命捧げるってすげぇな…歌詠みさん、その岬ってこの近くにあったりする?行けるなら行ってみたいな!」


「はい。コバルト岬はこの海岸線を南東に行った突き当たりです。物語に出てきたラリッサの慰霊碑もありますよ。せっかくですから私がご案内しましょう。」




一行は詩人の案内でコバルト岬へと向かう。テナールズ海を望む海岸線の遊歩道には海にカメラを向ける者、スケッチブックに海の絵を描く者、気ままに散歩を楽しむ者…人々の異なる時間が交差している。



「トリッシュ!ほら、水面が太陽の光でキラキラしてるよ♪」


「おっ、本当だ!めっちゃ綺麗!!」


「あの…不粋な質問で恐縮なのですが、お二人は恋人ですか?」


「えっ!?」


「なっ…何言ってんだよッ!!」



トリッシュとカタリナは不意を突かれ動揺した。詩人の飄々とした口振りからは予想外の問いかけに驚きを隠せない様子でいる。



「いいえ、この2人は姉妹、しかも双子なんです。」


「おや、それはそれは失礼しました。とても仲良さげだったもので…それに、お二人共それはそれで満更でもなさそうな顔をしていらっしゃいますが…」


「なっ…ちょっ…ああ〜…もうっ!」


「ふわぁ〜、詩人さんいい勘してる!この2人と〜っても仲良しなんだよ!」


「うんうん、見てるこっちが恥ずかしくなるくらいにね!無意識にイチャついてるんだもん…」


「そうですか。無意識にはその人の心根が表れるものです。無意識で愛情を伝えられるのはとても素敵なことだと思いますよ。」


「だってさ!トリッシュ、腕組んで歩こ♪」


「だぁ〜っ!やめろってバカ姉貴!周りの人見てるから!見てるから〜!!」



とりとめも無い会話をしているうちにコバルト岬に到着した。テナールズ海を望む絶景に灯台がそびえ立ち、ラリッサの慰霊碑がひっそりと建っている。その断崖にはテナールズ海の穏やかな波が打ち寄せていた。



「うむぅ…世界は広いのう。まだまだ旅路は長いわい!」



先客がいた。1人の少女が岬の断崖から海を眺めている。ツインテールに結った髪のオレンジと衣装の青が対比的だ。モニカ達が慰霊碑に向かって行くと、その少女はいそいそとモニカ達に近付いてきた。



「よう!アンタ達、旅の一行かのう?」


(フフ…やはり。“神々の子”、“祝福の証”…)


「はい。海とラリッサの慰霊碑を見に来ました。貴女も旅をされてるのですか?」


「うむ。ワシは修行のための旅をしとる。ここには腕っぷしの良い船乗りが仰山いると聞いてな。是非とも手合わせをと思うて来てみたんじゃい。…おっ、そこのアンタ!」



少女は灯台から出てきた船乗りを呼び止め、手合わせを願い出た。船乗りは鍛え上げられた逆三角形の肉体で少女よりも遥かに背が高い大男だった。テリーが審判を申し出、少女と船乗りは向き合った。



「はじめッス!!」


「どっせぇ〜い!どすこい!どすこい!!どすこおおぉぉい!!!」


「ぬわあぁあぁっ!!」



少女の目にも止まらぬ力強い張り手の応酬と筋骨隆々な船乗りの大男がいとも簡単に吹き飛ばされる光景にモニカ達は唖然とするばかりだった。重々しい静寂がコバルト岬の空間を包み込んだと思うと、少女の豪放な笑い声がそれを破る。



「ハ〜ッハッハッハ〜ッ!こりゃ愉快!さあさあ、次はどいつが手合わせしてくれるかのう?誰でもいいからかかって来んしゃい!」



周りにいた船乗りの男達は少女の常人離れした怪力を見せ付けられ、皆尻込みしていた。ざわめきの中、ただ1人手を挙げる者がいた。テリーだった。



「ならば自分が相手になるッス!格闘なら負けないッス!!」


「ほっほぅ!お前さん、すごい自信だのう!いいぞいいぞ!そう来なくちゃつまらんわい!」



テリーが両の拳を構えると少女は片足を上げ、力強く地を踏み鳴らした。互いにその胸に闘志を燃え上がらせている。モニカが2人の間に立ち、制した後にその火蓋を切った。



「はじめ!」



2人は激しく打ち合う。その腕には自然と力がこもり、互いの一挙一動一投足が彼女達の内に燃ゆる闘争本能を掻き立てていた。



(ふむ…拳を交えることで芽生える絆、ですか…それもよいでしょう。その力を目覚めさせるのです…)


「そぉりゃあっ!」


「グッ…」



少女の豪快な張り手にテリーの鍛えられた体が吹き飛ぶ。テリーは歯を食い縛り、烈火の如く激しい勢いで少女に拳を振るった。


「うらぁあぁっ!」


「うおっ!…お前さん、なかなかやるのう…」



2人の鬼気迫る奮戦に周りで見守る者達はおろか、審判を務めるモニカさえも息を飲まざるを得なかった。互いに疲労の色が見え始めたその時、少女の左手が橙色の光を放つ。祝福の証の紋様だった。テリーの紋様も琥珀色に輝いている。



「すごいッス…熱い情熱が溢れてるッス!燃える闘魂がみなぎってきたッス〜!!!」


「この一番…いよいよ大詰めじゃい!どっせえぇえぇいっ!!!」



2人は紋様が輝く左手で渾身の一撃を見舞う。2人の力が重なり合い、互いの体は同極の磁石のように激しい勢いをつけて離された。



「うおぉおぉ〜ッ!!」


「ぐわあぁあ〜ッ!!」



両者は仰向けに倒れ込んだ。暫しの沈黙が支配し、モニカが真一文字に結んでいた口を開いた。



「そこまで!この勝負、引き分け!」




何処からともなく2人に惜しみ無い拍手が送られた。情熱溢れるその戦いはコバルト岬という空間に居た者全ての心を惹き付け、魅了したのであった。2人は硬い握手を交わし、互いの健闘を称え合っていた。




気付くと日が傾いていた。オレンジ色の夕焼けを背に、“戦友”となったテリーと少女は語らっていた。



「いやぁ、久しぶりにいい相手に巡り会うたわ!ごっつぁんです!!」


「こちらこそ、いい戦いだったッス!感謝感激ッス!!」


「そうですね。2人の熱意が伝わってきましたよ。それに、その左手…私達と同じですね。」



モニカ達は少女と同じ左手の紋様を見せた。それぞれに異なる10色の煌めきが少女の心を揺さぶった。



「ほほぅ…よっしゃ、決めた!それならワシもお前さん達の旅に同行したる!」


「ありがとうございます!私はモニカです。貴女は?」


「ワシはステラ。ワシの力、見せたるからのう!よろしく頼むぞい!!」




海の精霊ネレイドとラリッサの加護のもと、モニカ達一行はステラを仲間に加えた。戦いを通して築かれた新たな友情…その絆は美しく、オレンジ色に太陽のように輝いている。そして、一行をコバルト岬まで導いた詩人はいつの間にかいなくなっていた…



(フフッ…良かった…しかし、まだ私の仕事は始まったばかり…これからが頑張りどころですね。)



To Be Continued…

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