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Rainbow God Bless  作者: 色彩天宙
Chapter3:カストル篇
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第26話『GOLD×RED〜熱き魂の絆〜』

シリーズ第26話目です。どうぞお気軽にご覧くださいませ!

自らの流儀で最強への道を歩むラパンとの新たな出会いを経た一行。セピア国から離れ、次なる目的地であり次なる怪事件の現場でもある騎士団領へと向かっていた。




「ステラさん、ラパンさんに会えてよかったですわね。武に生きる貴女、素敵よ♪」


「うむ、ありがとうな、ビアリー。いい勉強になったわい。また手合わせ願いたいのう!」


「うおぉ〜!ところ変われば格闘技も変わるッス!世界は広いッス〜!!」


(……皆、新たな出会いとその絆によって成長している。この左手の紋様の導きが……)



『次はこうはいかないぞ!テリー・フェルナンデス!!』


『泣くな、コレット。これを私だと思って持っていてくれ。』


『リタ、いい腕だね。僕も頑張らなきゃな…』


『またスモウ・レスリングと手合わせさせてくださいね!』



(…私の武は…なんのため?到達点がただの自己満足では皆の歩みに遅れをとってしまうかもしれない…)


「おい、モニカ?なんかボーッとしてるぜ。大丈夫か?」


「あ…すみません。大丈夫、です…」


「もしかしてお腹空いちゃった?じゃあ、そろそろ夕飯にしよっか♪」



カタリナが慣れた手付きで夕飯を拵えていく。一行の食事は当番制だが、中でもカタリナの腕は別格であり、すっかり皆の胃袋を掴んでいた。



「うおぉおぉ!ウマいッス!」


「美味しい…カタリナさんの料理は美味しいから、いつも楽しみなんですよ♪」


「ええ、そうですわね。帝国の宮廷シェフに推薦したいくらい…」


「えっ!?そ、そんな…ビアリーのお墨付きを貰えるなんて…嬉しいな♪」


「おっと、姉貴を宮廷シェフにするならアタシを帝国兵士にしてもらわなきゃな!」


「フフフッ……言うと思いました…」


「あんたらねぇ…リデルに言われちまったらもう救い様ないわ!」


『アハハハハハッ!』


(私は…なんのために剣を振るう?私は…このままでいいの?今までの、これからの旅路で何を得られるの?)



一行は夕食を囲み笑い合うが、モニカの表情には依然として迷いと苦悩が渦巻いている。自らの武に悩み、焦り、葛藤し、自問自答を繰り返していた。



「…ニカ!モニカってば!」


「…!クレア…すみません…」


「モニカ…貴女やっぱり変よ?悩みがあるなら相談した方がいいわ。心の毒になる前に。」


「あの…皆が新たな出会いから成長していて…私は何のために剣を、武を極めようとしているのかと…」


「…ったく!ウジウジしてるから何かと思えば…ネイシア、明日の朝食、軽いものにしといてよ!」


「あ、はい。ではバナナにしましょうね。でも、何をするつもりですか…?」


「それは明日のお楽しみ!モニカ、ゆっくり休んでおくんだよ!さあさあ、ご飯食べて!!」



翌朝、皆が朝食を済ませるとエレンは思い切りよくモニカに向かい合い、斧を向けた。



「さてと、モニカ、やるよ!」


「やるって…何をですか?」


「何をって…決まってるでしょ?私と戦うの!」


『えええっ!?』



一行は口を揃えて驚きの言葉を発した。モニカの迷いを断ち切るためとは言え、仲間であるエレンと刃を交えることに皆は戸惑いを隠せない。が、そんな仲間達とは対照的にエレンの表情には一切の迷いが無かった。



「エレン…いくらなんでも仲間同士で戦うだなんて…あたしは賛成出来ないよ。」


「うん、ちょっと刺激が強いかもしれないとは思ったけど…剣で生まれた問いなら剣で答えを見つけてみたら?って思ったんだ。なるべく早いうちに、ね。」


「エレン…そんなのやめようよ!危ないよ!ねぇ、エレンってば!」


「コレット姉ちゃん。無理やって。エレン姉ちゃんは言い出したら聞かへんやろ?それに優秀な救護班もおるんやし、な?」


「そうね。お互い気が済むまでやればいいわ。ということなので…モニカちゃんとウチのエレンをお願いします。おふたりさん♪」



アミィとエイリアはカタリナとネイシアに目をやる。2人は困ったような苦笑いを浮かべながら渋々うなずく。調子良く皆を巻き込んでいく2人の姿にエレンは我が意を得たりという表情でモニカに向かって構えをとった。



「フフッ…さ、かかって来なよ。目を覚まさせてあげるから!」


「エレン…やるからには真剣勝負ですよ!リオーネ流の名にかけて、負けません!」



モニカは剣を抜き、勇ましい眼差しをエレンに向ける。それまで瞳に渦巻いていた迷いは一切なく、淀むことなく澄み切っていた。意を決し、エレンに向かって飛び込んでいく。



「はあぁあぁッ!」


「よっと!そぉれッ!」



やや堅いが力強く真っ直ぐに剣を振るうモニカ。しなやかであり且つ軽快なフットワークを見せながら斧で討つエレン。そのスタイルは対照的ではあるものの、そこには祝福の証に突き動かされる使命感が共に煌めいている。



「キャッ!やっぱり、怖いです…」


「うおぉおぉッ!2人の闘魂が熱く熱く燃えてるッス〜!」


「うむ!ほれほれ、もっと気合い入れて!根性見せんしゃい!」



一同は未だに戸惑いを見せているものの、次第に2人の戦いに引き込まれていく。これまで共に歩んできた、そしてこれから歩んでいく道──言葉を交わさずともそこには硬く強く結ばれた確かな絆がある。



(エレン…旅に出た頃より確実に強くなってる!)


(やっぱり強いや…モニカと初めて会った日を思い出すな…)



ロアッソ共和国──神々の子の旅路はここから始まった。祝福の証の使命、紋様の彩りに課された務め、それを知ったのもロアッソの地であった。



『アンタがモニカ?ふーん、けっこう強そう…性根の据わったいい眼をしてるね。』


『あ…わ、私はモニカと申します。貴女は?』


『私はエレン。このロアッソ共和国で運送屋をやってるんだけど、自分でもよくわからないうちにこういう流れ。アンタの旅に同行させてもらうことになったから、よろしくね。』


『エレンさん、ですね。よろしくお願いします。』



神々に託された印に導かれ、2人は確かな絆で結ばれた。“親友”として──否、“心友”として──



『さあ、とどめの一撃!キングを仕留めるよ!』


『受けよ、紅く燃ゆる光の刃!サンライトセイバー!!』


『ぎゃあああぁぁぁっ!!』



それからも彼女達は多くの新たな出会いと戦いを経て成長していった。彩りの使命のもとに武を振るう少女達の果てしなき旅。全てはモニカとエレンの出会いから始まったのだ。



「せぇいやぁぁッ!」


「グウッ…これでどうだ!」



次第に闘争心が昂り、激しく刃を交え合う。左手の紋様は2人の心を表現するかのように力強く輝いていた。2人を最も長く見てきたアミィは感慨深そうな様子で見つめている。



「うんうん…互いに想い、助け合う…旅の成長の証やで…」


「アミィ…母さんみたいなこと言ってるぜ…」


「あんたこの中で一番年下じゃないのさ!何を年寄りじみたことを言ってンだい!」


「いや、んなこと言うたってなぁ…あの2人、いっつもああやって無茶ばっかりするんやもん…生傷が絶えへんのも大変や思うねん。体も心も…」


「そうね。体の傷は物理的な治療で治せるけど、心の傷はそうはいかないわ。どちらもしっかり治さないと膿んで毒になってしまう…祝福の証、精霊の導きが互いの心に止まり木をもたらしたのね。」


「そうですわね、フェリーナさん。お二人共生き生きして…美しいわ。ウフフッ、モニカさん、憑き物が取れたような素敵なお顔…」



夢中になって戦う2人の表情にも徐々に疲労の色が見え始めてきた。しかし、その左手に刻まれし彩りは更に煌めき、輝いていた。



「ヒートアックス!」


「サンライトエッジ!」


「クッ!ハァ…ハァ…気合い入ってきたよ!」


「私もです…ハァ…ハァ…負けません!!」



エレンの紋様の赤が左手から全身にみなぎる。その彩りに込められた熱き力が一気に溢れ出した。



「喰らいな!真っ赤に燃える灼熱の爆炎!!ロアッソブラスト!!!」



赤々と燃える炎がモニカの体を包み、激しく揺らめきながら渦を巻いた。一同、唖然呆然。皆が口々にあげていた歓声は一瞬でざわめきに変わった。



「エレン…いくらなんでもやり過ぎじゃないか?ビートが激しすぎるって…」


「うむむ…こりゃいかんじゃろう…モニカ!大丈夫か!?」


「おいおい…昼飯がモニカのホイル焼きなんて勘弁してくれよ…ヤバイぜ…」


「モニカ姉ちゃん…モニカ姉ちゃ〜ん!!」


(みんな…モニカはこれくらいで負ける娘じゃないよ!絶対に!!)



一方のモニカ──炎の渦の中、これまでの旅路が脳裏をよぎる。左手の金色が一瞬で溢れ、刀身がダイヤモンドのような輝きを放った。



「うおおぉぉああぁぁッ!!」



炎の渦から凄まじい轟音を響かせながら、金色の煌めきを纏ったモニカが飛び掛かった。激しく地が揺らぎ、天が震え、太陽のような力強い光が辺りに突き刺さる。



「リオーネ流奥義!!金陽翔天斬!!!」


「うあぁあぁあぁッ!!」



金色の斬撃を受けたエレンは大の字に倒れた。モニカはエレンの方へゆっくりと歩み寄ると、寄り添うように側に倒れ込んだ。



「モニカ!エレン!」


「大丈夫ですか!?急いで手当てしないと!」


「大丈夫ッス!2人共ちゃんと呼吸してるッスよ!とにかく治療するッス〜!」



無事に治療を終えたものの、2人が目を覚ましたのはその日の夕暮れ時であった。あまりに激しい戦いの傷だったため、一行は安堵に胸を撫で下ろす。



「よかった、です…2人が無事で…」


「も〜う!2人が目を覚ますまでみんなビクビクしてたんだからね!」


「ホンマやて。世話の焼ける人達やわぁ…」


「うるさいねぇ!無事に治ったからいいでしょ!…ほらね?余計なこと考えずに済むでしょ?また迷ったら私でも誰でもいいから言うんだよ!そのための大所帯なんだからね!」


「そう、ですね…エレン…ありがとう。」



2人は硬い握手を交わした。迷いに曇っていたモニカの表情は晴れやかな笑顔に変わっていた。その表情を仲間達も安堵の表情を浮かべながら見つめていた。





明くる朝、一行は騎士団領に向けて再び歩き出す。乾燥した平地が続き、騎士団領に近付くにつれ草木の数が少しずつ減ってきている。



「いや〜昨日のお二人の戦い、素敵な写真がたくさん撮れましたよ!」


「おっ、すげぇ!アイリス、いつの間に撮ってたんだ?」


「わぁ〜!すごいすごい!見せて見せて〜!」


「ったく…見せ物じゃないっての…ルーシー、騎士団領はもうそろそろ?」


「はい。間もなく私達の進行方向に騎士団領の1つ、バーミリオン領の関所が見えます。真っ赤な大きな門が見えてくるはず──」


「うわああぁぁッ!!」



恐れおののいた叫びが平穏を切り裂く。一行が声のする方へ駆けると、そこには辺り一面血の海が広がっていた。



「大丈夫ですか!?誰がこんなことを!?」


「金髪に…赤い鎧の…」


「惰弱なり!去ねぃ!」



金髪に赤い鎧。その主は既にモニカ達の目の前に立っていた。その身には赤黒い彩りを放つ怪しげな波動が纏われている。謎の剣士の正体は?そしてその目的とは?迷いを断ち切ったモニカに襲い掛かる次なる試練とは…?




To Be Continued…

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