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Rainbow God Bless  作者: 色彩天宙
Chapter3:カストル篇
25/330

第25話『最強への道?』

シリーズ第25話目です。どうぞお気軽にご覧くださいませ!

冥の神殿にてリタがプルートの試練に打ち克ち、その加護を受け、更なる力を得た。一行が冥の神殿を後にし、セピア国都市部に戻ろうと歩いていたところに勢いのある叫び声が響く。




『行くぞオラー!最強の技、見せてやる!!』



叫び声の主である1人の少女が数匹の魔物と対峙していた。ピンクのジャージを着ており、その華奢な容貌にはおよそ似合わぬゴツゴツしたレガースを両足に装備している。



「そぉいや!ラパントルネエェイド!!」


「ギギャアァア!!」



独楽のように回転しながら烈火の如き蹴りを見舞った。魔物達は錐揉みになりながら宙を舞い、地に落ちて消えた。瞬く間の出来事にモニカ達は目を丸くする。



「あの…すごい技ですね。魔物を一瞬で…」


「いやいや、ありがたいお言葉!これぞラパン流の真髄なのですよ♪」


「ラパン流…?聞いたことのない格闘技ですわね。テリーさんともステラさんとも違うということですの?」


「その通り!まあ、そりゃあね〜♪私、ラパン・ラヴィッツが独自に編み出したから無理もないッス!今、ラパン流を広めるべく旅をしてるってわけなんですよ〜♪」


「ほっほぅ…面白そうじゃのう。ワシのスモウ・レスリングの技も見てみんか?」


「おお、それはいい!是非とも手合わせお願いします!!」



ラパンとステラが正面に向き合う。モニカが間に入り2人の動きを制すると、周囲の空気が張り詰め、一行の視線が集中した。



「はじめ!」


「どすこおぉい!」


「どっしえぇ〜ッ!!」



一行、唖然呆然。ステラの張り手一発でラパンの体が呆気なく遠くに吹き飛んだのだ。ラパンは緩みきった空気を尻目に直ぐに立ち上がると何事も無かったかのように再びステラに飛び掛かる。



「んぬおぉおぉ〜っ!まだまだ〜っ!!」


「ちゃんこ〜!食わんか〜い!!」


「ぎょええぇ〜っ!!」



ステラの力強い投げを受け地面に叩き付けられたラパンの体はバネのように勢いを付けて跳ね上がった。仰向けに倒れ込むもののまたもや立ち上がる。



「先手必勝!ラパントルネ──」


「ぬりゃあぁ!昇り飛龍じゃ〜〜い!!!」


「ああれええぇぇ〜ッ!!!」



ステラの怪力でラパンは天高く投げ上げられる。凄まじい速度を着けたまま大の字の姿勢で落下し、地面には人型がくっきりと型どられていた。あまりにも一方的な戦いに一行からは失笑が漏れる。



「ほえ〜…ステラ、強いね!すごいすごい!!」


「いや、う〜ん…よ、弱すぎないか…?いくらなんでも妙に呆気ないセッションだよなぁ…」


「なんや〜…ぶっちゃけ興ざめやわぁ。力の差が歴然やろ…」


「うん…でも何度倒れてもすぐに立ち上がるのは評価出来るんじゃない?私はこういう気骨のある奴は大好きだよ!燃えてくるね!!」


「そりゃああッ!」


「あぎゃああぁッ!」


「どりゃあぁッ!」


「ぴぎゃあぁッ!」


「ぬおおりゃあ!」


「うおわあぁッ!」



それからもラパンは何度も何度もステラに吹き飛ばされ、その度に立ち上がる。次第にステラの表情にも疲労、というよりは辟易しているような色合いが見てとれるようになっていた。



「ぜぇ…ぜぇ…お前さん、偉い体力と根性じゃのう…それくらいの気概がありゃあ面白いわい!ぜぇ…ぜぇ…」


「ハァ、ハァ…貴女こそ、凄まじいパワー!尊敬に値します!ハァ、ハァ…お腹、空いた…」



2人は同時に仰向けに倒れ込む。2人が泥まみれになり、疲れ果てたところで食事当番のビクトリアが焼き肉を振る舞った。



「美味い!美味〜い!!こりゃ元気出ますね〜!モグモグ…」


「うむ!やっぱり稽古の後の飯は美味いのう!ガツガツ…」


「まだたくさんあるからね!みんなもたんと食いなよ!」



焼き肉の鉄板を囲みながら、一行は笑い合う。食事の時間が和やかに過ぎていき、ラパンも次第に一行に打ち解けていった。



「いや〜…ステラさん強いッスね!私もまだまだ精進しなきゃなぁ…」


「うん、ステラは強いよね!でもラパンだって何度倒れてもすぐに立ち上がっててカッコ良かったよ!」


「ええ、ネバーギブアップの精神ですわね。とても素敵でしたわ!」


「そうですね。ほら、ラパンさんの果敢なファイトもバッチリカメラに収めましたよ!」


「おお!これはありがたい!ラパン流最強へ一歩前進です!」


「あの…そう言えば…ラパンさんが格闘技を始めたきっかけって何だったんですか…?」


「ああ、それは…話せば長くなるんですけど…」




──半年前──



『いいじゃねぇかよ〜!嬢ちゃんよぉ!』


『嫌です!やめて!誰か助けて──』


『やめろ。クズオヤジ。』


『ああ!?なんだ小僧!俺とやろうっていうのか──』



ドシッ!ドスッ!



『グッ…てめぇ…がはッ…!なんとか…言え、よ…グウッ…』


(この人…すごく強い…キックだけなのに…)


『黙れ。お前みたいな下衆にこうして口を聞くこと自体腹立たしい。喋らせるな。』


『こんのおぉ…!覚えてろ!!』


『フン……おい、大丈夫か?』


『はい!ありがとうございます!あの…せめてお名前を…』


『いや、偉そうに名乗るような人間じゃない。ただの通りすがりだ。じゃあな。』



──私は……あの人みたいになりたい。強くなってあの人にまた会いたい。そう願った──




「…というわけです。私には追い付きたい、越えたい人がいるんです。」


「そう…志は素晴らしいけど…会えるアテはあるの?」


「いや…今のところ無い、です…でも、このラパン流を極めればきっといつか会えるって信じてるんです。そのために修行を積まないと…」


「くぅ〜ッ!泣かせる話ッス!猛烈に感動したッス!」


「そうじゃ!稽古、稽古!稽古の末に目標に手が届く!熱き血潮の導くままに突き進むんじゃい!!」


「テリーさん、ステラさん…私、嬉しいですッ!!」


『うおおぉぉ〜ん!!』


「…なんか脳筋同士で通じあってる…コレット、ああいう大人になるんじゃないよ…」


「ふぇ?仲良しなのはいいことじゃないの?」


「…ハァ…」


「エレン…あんまり周り見過ぎるのも疲れるぜ。」



一行は農村の宿でラパンと共に一夜を過ごし、また新たな朝を迎えた。テリー、ステラ、ラパンの3人が外で一列に並び、大声を張り上げながら朝の鍛錬に励んでいる。



『はあっ!はあっ!せいやっ!!』


「ああ〜!うるっさい!気が散って朝ごはんが作れないでしょうが!!」


「ウフフッ…エレンさん、いいんじゃないです?ラパンさんにも彼女自身の目指す道、行き着く先があるのですから…」


「う〜ん…なんでかな。ビアリーに言われると強く言えない…」



鍛錬に熱中している3人をエレンが作った朝食でゆったりと一行の朝は過ぎ行く。が、穏やかな空気を突如として荒々しい唸りが引き裂いた。



「グルルルウッ!!」


「えっ!?今の、魔物の声じゃない!?」


「わわわっ!テリー!大丈夫!?」


「みんな、助けてくれッス!とんでもない数ッス!!」



慌てて飛び込んできたテリーの呼び掛けで一行が外に飛び出すと、魔物の群れが宿を取り囲む。その数は尋常ではない。更にその容貌はどこか既視感のあるものだった。



「ねぇ、この魔物達みんな昨日ラパンと戦ってた魔物にそっくりだよ!?」


「恐らくそいつらの仲間だろうな。まさか恨みを買ってしまうなんて…」


「ひぃ〜ッ!そ、そんなあぁ〜!!」


「…無用な戦いはしたくないけど…これも生きるため、仕方無いわね。」


「ええ、みんな、構えて!行きましょう!!」



避けられぬ望まぬ戦いに心を痛めつつ、少女達は武器を振るう。一行と魔物の間にはやり場のない哀しみが渦巻いていた。



「天陽剣!」


「ストリームエッジ!」


「フォトン!」


「アクアスパイラル!」


「ガギャアァッ!」


「フリーズブレード!」


「スターダストレインや〜!」


「バグズバンプス!」


「ダークスフィア!」


「グギャアァッ!」



憤りに任せて迫り来る魔物達に毅然と立ち向かっていくモニカ達。しかし、ラパンはただ逃げ回るばかりであった。しかもその逃げ足は妙に機敏で目にも止まらぬ速さで動いている。更に驚くべきは隙を見て魔物達に対し挑発らしき動きを繰り返していたのだ。



「ガルルルウッ!」


「ヒャッホーイ!どうしたどうした〜!」


「エレキテルショット!…おい、ラパン!真面目に戦えよ!!」


「ソニックブーム!」


「ミラージュスティング!…ハァ、ハァ…この群れの規模は…大スクープものです…」


「ぬううぅ…どっせえぇ〜い!!」


「ギャアァアァ!」



余りの数に業を煮やしたステラが1匹の魔物を掴んで群れの一帯に向かって投げ飛ばす。突然1匹の仲間がのし掛かってきた魔物達は不意の一発に驚き、四方八方へと散らばった。が、これが敵のみならず、味方の統制も乱してしまう。



「あれれ?狙ってたのに逃げちゃったよ〜!」


「敵の動きが変わった…これじゃ読めないぜ…」


「逃がさないよ!ツバメ返し!クッ、空振った…あっ、ラパン、危ない!」


「ええっ!?わあぁあぁッ!!」



魔物の爪が逃げ回っていたラパンの服を掠める。駆けていた勢いを付けたまま転んでしまったラパンをものの数秒で何匹もの魔物の群れが取り囲んだ。



「ガウウゥゥ…」


「グウゥルゥアァ!」


「ねぇねぇ…どうするの?ラパンが…」


「なんとかしたいけど、この数じゃ…クッ、なんてこったい…」


「ラパン…どうしたら…」


(私は…ラパン流を極めたい。生きてあの人に会いたい…生きたい、死にたくないッ!)


「見て!ラパンの左手…!」


「…あれは!!まさかラパンも…!?」



窮地に立たされたラパンの左手が石竹色の彩りを放つ。彼女の全身を溢れ出る波動が駆け抜け、魔を討つ力を解き放った。



『うおおおぉぉ〜!ラパン流!!超絶天下最強絶対無双驚愕最高絶品秘伝究極必殺奥義ッ!!!覇王兎神脚うううぅぅぅぅッ!!!!』


『ギャアアァァッ!』



石竹色の波動を纏ったラパンが回転しながら両の脚を振り抜くと、力強い波動が地を巡り、炸裂した。ラパンを中心に激しい爆発が巻き起こり、周りを取り囲む禍々しい魔物達は瞬く間に消し飛んだ。



「ハァ…ハァ…あ、あれ?みなさ〜ん?あっ、あんな所に…!!…大丈夫ですか!?」



なんと波動の炸裂によってモニカ達も吹き飛ばされていた。全員が無事に立ち上がったものの、ラパンに対し何か言いたげな表情を見せている。



「良かった!良かった!!みなさん無事で良かった…」


「ア、アンタねぇ…」



『そんな技があるなら最初から使えよ!!』



無事に魔物達を退けた一行はセピア国都市部へと戻り、最強への道を歩むラパンとの別れの時を迎えた。



「では、失礼します!」


「修行、頑張ってくださいね。良い旅を。」


「はい!またスモウ・レスリングと手合わせさせてくださいね!」


「おう!ワシもより一層稽古に励むわい!しっかり飯食うんじゃぞい!!」


「はいッ!よ〜し!最強ロード爆走だ〜い!!」



ラパンとステラは堅い握手を交わした。最強を目指すラパンの旅と魔族を討つ少女達の旅はまだまだ続く!




To Be Continued…

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