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Rainbow God Bless  作者: 色彩天宙
Chapter6:闘技大会篇
179/330

第179話『色彩武勇~vol.17~』

シリーズ第179話目です。どうぞお気軽にご覧くださいませ!

蛮族の国ビンニー国で各々の色彩を煌めかせ、己の武を示す彩りの義勇軍一行。自らの理想を現実として体現すべく前向きに突き進むリーベ班と相対したカスタードイエローの魔道士ズッケロとマッカレルブルーの矛使いザルツィヒを一行の輪に引き入れていた。



「フッ、これでズッケロとザルツィヒも我ら漆黒騎士団の一員となったな!昨日の敵は今日の友ということか…血が騒ぐな!」


「そうね、ピカンテ!お2人とも一緒に愛と夢と希望の物語を紡げると思うとワクワクしますわ!ズッケロ御姉様、ザルツィヒ御姉様、よろしくお願いします♪」


「うっひょ~!こりゃすごい!これなら友達100人以上出来るじゃん!よろよろ~♪」


「ん、楽しそうで良いッスね~。どうぞよろしくッス」


「ズッケロ、ザルツィヒ、よろしく。祝福の証の彩りのもとに、一緒に絆を紡いでいきましょう!」



モニカの呼び掛けに新たな彩りの戦士2人は笑顔で頷く。闘技の舞台で彩りの力を交えたリーベとピカンテはもちろん、彩りの義勇軍の皆がズッケロとザルツィヒを嬉々として迎え入れる。総勢115人となった彩りの義勇軍は更に美しい煌めきを放っていた。



「Yeah!祝福の彩りが導き合う出会いってRockじゃん!アタシはトリッシュ、よろしくッ!!」


「私はカタリナです。私とトリッシュもズッケロとザルツィヒと同じ双子なんだよ♪」


「ん、この軍は双子さんもけっこういらっしゃるんスね。親近感沸くッス~」


「イエーイ!祝福の彩りとかマジカラフルじゃん!超楽しみ過ぎてめっちゃウキウキする~!!」


「フフッ、また賑やかになったことだな…さて、私達も少し気合いを入れて仕事するか」


「おっ、次はヴィオ達かい!まあ、あんた達なら大丈夫だろうね。期待してるよ!」



彩りの義勇軍がズッケロとザルツィヒを加え、続いてはヴィオ班が戦いの舞台に踏み入る。先鋒ミノリ、次鋒ザラーム、中堅アンブラ、副将ツィガレ、大将ヴィオ――闇に潜みながら仇為す者の影を断ち切る5人組は戦いの火蓋が切られる時を今か今かと待ちわびていた。



「今こそ我らの彩りを魅せる(とき)也。フルウムの地で培った我が武、あまねくお見せ致す!」


「ミノリさん、いっしょにがんばろ~!ワタシの彩りパワー、みせてやる~!!」


「敵、ミンナ叩キ潰ス…グウゥオオオッ!!」


「準備万端…いつでも任務開始出来るわ」


「よし、では行こう。軽くカタを付けるとするか」



ヴィオ班の5人は静かに闘志を燃やしながら闘技の舞台を踏み締める。戦いを前にしても気負うことなく落ち着いていたが、敵軍を視野に捉えるや否やヴィオの胸に燃える闘志の火に油が注がれる。大将として敵軍を率いるのはヴィオの好敵手でありレモンイエローの彩りの戦士である名うての傭兵リモーネだった。



「何ッ!?リ、リモーネ!?」


「あら、ヴィオが相手だったの!?偶然にしては出来すぎね…」


「ああ、全くだ。それに…お前のチームも全員…祝福の証を持っているな?」


「ご明察♪さすがはあたしのライバルね!新生リモーネ傭兵団、参上よ!」



リモーネ班の面々は5人全員が祝福の証を持つ彩りの戦士だった。パステルピンクの先鋒エスト、ファウンテンブルーの次鋒カチュア、アイスグリーンの中堅パオラ、サラマンダーレッドの副将ミネルバ、レモンイエローの大将リモーネ――左手の甲に印された彩りによって導かれた色彩の戦士達が次々に躍り出た。



「わたくし、エストと申します。わあ、強そう…でも、頑張りますからね!」


「あたしはカチュア!めっちゃ気合い入りまくりなんで、全力でよろしく~!」


「私はパオラ。貴女達のことはリモーネから聞いていたわ。貴女達の力を見られる時を楽しみにしてます!」


「我が名はミネルバ!汝、強きを尊ぶ戦人(いくさびと)ならば、己が武を以ちて語るが良い!」


「ふふ~ん♪さあ、どうよ?手練れ揃いの新生リモーネ傭兵団に怖じ気付いたかしら!?」



一方、ヴィオ班の面々もリモーネ班に煽られたままで黙ってはいなかった。大将ヴィオから飛び火し、赤々と燃え上がる闘志を胸に抱きながらリモーネ班に戦意を剥き出しにした。



「我が忍の術、易々と見破れはせん!覚悟されよ!」


「ワタシだってまけないんだから!みんなきりきざんでやる~!」


「ガルルルルゥ…勝ツ!勝ツ!オ前ラ、叩キノメス!!」


「…テラコッタの騎士として、全力で貴女達を討つまで…負けはしないわ…」


「フン、どうだ?こちらも手練れ揃いだ。私達もそう簡単には負けん!」



ヴィオ班の5人とリモーネ班の5人が闘技場の真ん中で火花を散らし、一触即発の空気が包み込む。が、互いの胸中に敵氣心は無く、純粋な闘志だけが赤々と燃えている。暫し睨み合いが続いたもののリモーネが少し表情を緩め、ヴィオに向けて握り拳を突き出した。



「ヴィオ、賭けをしましょう。この試合、もしあんた達が勝ったら…私達5人全員、あんた達の仲間になってあげるわ!」


「ほう、それは面白いな…乗った!では、お前達が勝ったら私の自腹でお前達5人に今日の晩飯を奢ってやろう!」


「あら、楽しみね~!それじゃ、ビンニー国で一番高いお店をお願いするわ♪」


「フッ、それはどうかな?リモーネ、悪いが勝たせてもらうぞ!」


『おおおぉぉぉ…!』



ヴィオは不敵な笑みを浮かべながら握り拳を突き出し、リモーネの握り拳と触れ合わせる。互いに“賭け”に対する同意を示し、観衆は俄に沸き上がった。開始前から飽和状態と言えるほどの熱気が包む中、戦いの火蓋が切られる。



「Gランク勝ち抜き戦を開始します。両軍先鋒、前へ!」


「さて、仕事の時間か…ミノリ、頼んだぞ」


「御意。フルウムの忍ミノリ、いざ参る!」


「アイツは確か東方の“シノビ”っていう奴ね…エスト、頑張ってよ!」


「は、はい!張り切って頑張っちゃいますよ~!」



ヴィオ班の先鋒を務める栗色の紋様を持つ忍者ミノリが俊敏な動きを見せ、戦いの舞台に降り立つ。忍の修行をすべく東方から旅路を歩んでいた折にフルウム国のドルチェ自警団にスカウトされ、忍術の修練を積み重ねながらフルウム国の平和を陰日向になって守ってきた。彩りの義勇軍に加わって以降は主に密偵や伝令役を務め、一行を陰から支えている。栗色の彩りの忍は得物の忍者刀を逆手に構え、臨戦態勢を整えた。



「あ、えっと…エストです。良い勝負にしましょうね!」


「応。フルウムの忍ミノリ、ここに推参…我が忍の術、しかと見よ!いざ!!」


「はわわっ…シノビの術、怖そうですけど、負けません!」



リモーネ班先鋒エストは少し気弱そうな印象を受けるものの、祝福の証を持つ彩りの戦士だった。淡いピンクの髪をボブカットに切り揃え、白い袖の切り替えが特徴的なマゼンタのワンピースを着ている。左手の甲にパステルピンクの紋様をキラキラと煌めかせながら得物の刺突剣を構えてミノリに対峙していた。



「ぬぅん!フンッ!」


「フッ!てやあっ!」


「ぬうぅっ…斬ッ!!」



ミノリの忍者刀の素早い連撃をエストは細身の刺突剣で華麗に受け流す。鋭い刃を振るう両者の激しい鍔迫り合いはさながら疾風と迅雷の正面衝突だ。観衆は手に汗を握り、アリーナの中央に熱い視線を注いだ。



「今だッ!ええぇいッ!!」


「クッ…洗練されし見事な太刀筋よ…ならば!」


「ええっ!?き、消えた…!?」


『おおおぉぉぉ…!』



ミノリが突如として姿を消し、エストは唖然とするばかりである。後方で見守っていた大将リモーネは堪らず身を乗り出し、狼狽えるエストに助け船を出した。



「エスト、落ち着いて!深呼吸して周りをよく見るのよ!」


「はいっ!し、深呼吸深呼吸…すううぅ…はああぁ…お、落ち着いて周りを――」


「隙あり!」


「ひゃああっ!?か、壁からナイフが!?」



スタンドとアリーナを隔てる壁から苦無手裏剣が投げ込まれる。ミノリの暗い茶色の装束は煉瓦が敷き詰められた闘技場の赤茶色に溶け込んでいた。エストは思いがけない奇襲を受けて当惑し、ミノリが攻勢に立って主導権を握っていた。



「ミノリ、さすがね!洗練されたシノビの術、見事だわ!」


「おお、サンディアも燃えてるな~!ま、東方の訓練はすご~く大変らしいから、鍛えられてるんだよな!」


「ええ、ミノリってとても克己的よね。シノビの道は一筋縄ではいかないみたいだけど、ミノリだったら極められると思うわ」


「そうですね、ヤンタオさん。ミノリさんはこの軍でもいろんな仕事をしていて、とても頼りになります!」


「ミノリ、頑張れえぇッ!行け行けええぇぇッ!!」



スタンドから身を乗り出してミノリを鼓舞するドルチェの声援は何時にも増して大声であり、アリーナはおろかスタンド中にも響き渡る。共にフルウム国を守る自警団の声援が静かに燃えるミノリの闘志に火を点け、更に熱く燃え上がらせる。



しかし、リモーネ班の先鋒エストもやられっぱなしで黙ってはいなかった。反撃に転ずるや否や軽やかな疾駆でミノリに迫り、左手に煌めくパステルピンクの彩りの力を解き放った。



「いきますよ~!マジカルスラッシュ!」


「クッ…ぬうぅ…!」


「それそれ~っ!マジカルスターヴ!!」


「ガフッ…!」



パステルピンクの剣閃をまともに受け、ミノリの黒褐色の装束にうっすらと血が滲む。リモーネ班先鋒の彩りの戦士エストの猛攻を目の当たりにしたヴィオ班の面々は戦慄していた。



「ミノリ…グルルルウゥ…!」


「…エスト、手強いわね。傭兵団の中でも相当な腕前なんだと思うわ…」


「おねえちゃん…大丈夫かな…?」


「…ああ。大丈夫だ、ザラーム…チッ、リモーネめ…相変わらず抜け目の無い奴だ…!」



新生リモーネ傭兵団の脅威を見せつけられ、ヴィオ班の面々は息を呑む。優勢から一転して危地に陥ったミノリに勝機はあるのか?果たしてヴィオ班はリモーネ班を撃ち破ることは出来るのだろうか?彩りの義勇軍の戦いはまだまだ続く!




To Be Continued…

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