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Rainbow God Bless  作者: 色彩天宙
Chapter6:闘技大会篇
169/330

第169話『色彩武勇~vol.7~』

シリーズ第169話目です。どうぞお気軽にご覧くださいませ!

蛮族四天王の統べるビンニー国の闘技大会に挑む彩りの義勇軍一行。強き勇気と深き叡知を以て一行を勝利へと導くルーシー班の中堅を務める美しき用心棒(バウンサー)オールは得物の西洋双棍を構え、法力の拳法を巧みに操る敵軍中堅の老人ハクヤクに相対していた。



「ごきげんよう。このオール・クレメンスがお相手致します!」


「おやおや、随分と身綺麗な御方だ…だが、なかなかの手練れとお見受けしましたぞ」


「有り難き御言葉、痛み入ります。御老人、心苦しいのですが我が軍の勝利のため、一切手加減は致しません。御容赦願います!」


「ハハハッ!手加減なんてとんでもない!遠慮なさらず本気で来なされ!」



互いに熱い闘志の入り交じった挨拶を交わし、両軍中堅同士の一戦が始まる。老齢を思わせぬ軽やかな疾駆を見せつけるハクヤクに対し、オールはシャンパンゴールドの紋様を左手の甲に煌めかせて迎え撃つ。



「来る…御老人とは思えない速さだ…!」


「このハクヤク、まだまだ若い者には負けませぬぞ…はああッ!」


「見事です。が、私も祖国アザレアのため…負けられないのです!」


「ぬうっ!?な、なんと隙の無い動き…!」


『おおおおおお…!』



ハクヤクの法力を纏った拳と蹴りのコンビネーションをオールは両の手の棍で華麗に受け流し、生まれ育ったアザレア王国の息吹を感じられる洗練された戦いを見せつける。美しく煌めくシャンパンゴールドの彩りの闘気を練り上げ、思い切り良く振り切った。



「ノッティンガムエッジ!」


「うおっ!これは、なかなか手強い…」


「隙あり!マンチェスタースマッシュ!」


「むぅっ…うぐうっ…!」



オールがアザレア仕込みの美しい連撃を見せるが、対するハクヤクもただでは転ばない。間合いを取るや否や法力を両掌に纏わせ、蒼白い衝撃波を飛ばした。



「ぬうぅおおっ!」


「クッ…これがハクヤク様の修練の賜物…!」


「うおおっ!むうぅん!」


「つ、強い…だが、負けはしない…ノッティンガムエッジッ!!」



熟練の拳法を駆使する老人を相手にオールは彩りの戦士としての熱き闘志と祖国アザレアへの深き愛を胸に抱きながら奮戦する。互いの闘気が真っ向からぶつかり合う熱戦にビンニー国の人々はもちろん、客席で見守る彩りの義勇軍の仲間達も引き込まれていた。



「オール、見事ね!あの腕は私達アザレア近衛軍でもきっと通用するわ!」


「ええ。オールは“大切な人を守りながら戦う”っていつも言ってるわよね。それをああやって有言実行出来るんだから、贔屓目抜きに立派だと思うわ」


「そうですね、シェリー。オールは守るべき者への優しさと仇為す者に立ち向かう強さ、両方を持ち合わせた真の貴公子だと思いますよ。アザレアの貴公子の鑑です!」


「ジーリョの言う通りだね。強さと優しさって相反するものと思いがちだけど、実は裏表一体なんだよね…僕もオールを見習わないと…」


「オール、負けんな!お前の熱いビートでじいさんをブッ飛ばせええぇぇッ!!」



共に祖国を守るアザレアの貴公子達の熱い声援が同志オールの背を押していく。彩りの闘気を全身に纏いながら“大切な仲間を守る”という決然たる意思を携えて敵軍中堅の老師ハクヤクに立ち向かっていた。



「ふむぅ…オールさん、だったか…洗練された良い技をお持ちですな…」


「…有り難き御言葉、謹んで頂戴致します。さて、御老人…御覚悟願います!」


「な、なんと!?棍に光の刃が…!」



オールの両手に握られた双棍の先端がシャンパンゴールドの彩りの刃を携えている。美しきアザレアの貴公子は華麗に舞いながら祖国の気高き意思を体現する彩りの力を解き放った。



「その骨身に刻め!我が祖国アザレアの(つるぎ)の舞い!グリニッジ・ストライク・ソードダンス!!」


「ぬうぅっ…見事…!」


「そこまで!勝者、オール選手!」


『おおおおおおッ!!』



シャンパンゴールドの貴公子オールは洗練された彩りの力を以てハクヤクを撃ち破った。蛮族の国の人々にとってオールの戦術は垢抜けて気取っているようにも見えうるものだが、闘技の舞台での躍動は好感を持って受け入れられる。歓声に畏まった最敬礼を見せるオールのもとに大将ルーシーが駆け寄り、アザレアの貴公子に愛しげな眼差しを向けながら勝利を讃える。



「オールさん、素敵ですわ♪そのまま華麗な舞いを見せてくださいませ!」


「ルーシー様、恐れ入ります。このオール・クレメンス、身命を賭してルーシー様をお守り致します!」


「西洋の戦士達、手強いな…コウメイくん、頼むぞ…」


「任せろ、じいさん。俺が仇を討ってやるぜ!」


『おおおおお…!』



敵軍副将のコウメイという青年が得物の斧を構えながら荒々しく燃える闘志を携えて闘技の舞台を踏み締める。直情的かつ好戦的な様相はおよそ法師には似つかわしくないように思われるが、ビンニー国の荒くれ者達は俄に沸き立っていた。



「へぇ、あんたがハクヤクのじいさんを倒した西洋の戦士か…腕が鳴るぜ!」


「貴方は…ハクヤク様に信頼されるほど腕利きの勇士なのでしょう。このオール・クレメンスも全身全霊を以てお相手致しましょう!」


「そう来なくっちゃなぁ!このコウメイ、全力で相手してやるぜぇ!」


「臨むところですよ…参ります!」



敵軍副将コウメイは法力を纏った斧を猛々しく振るい、勇猛果敢にオールに挑んでいく。一方のオールもシャンパンゴールドの紋様を耀かせ、両手に構えた双棍をフルスイングで振り抜く。



「マンチェスタースマッシュ!」


「うおおっ!?確かにじいさんに勝っただけはあるな…強えぇ!」


「Spinning!バーミンガムトルネード!!」


「おっと、危ねえ!今だ…!」



コウメイは僅かに見せた隙を逃さずに荒々しく飛び掛かる。オールはコウメイの強襲を受け流すべく棍を構える、が――



「来ますね…ですが、させませんよ!」


「ヘヘッ、同じ轍を踏むと思ってんのか?そぉらよぉ!」


「し、しまった…!」



コウメイは豪腕で振るう斧を以て両の棍を弾き飛ばした。得物を吹き飛ばされて丸腰にされたオールは変わらず闘志を胸に携えているが、彩りの力を振るうことも出来ず、為す術がない。



「ハハハハッ!ハクヤクのじいさんはなんとかなったが、俺の攻撃は受けきれなかったってか…残念だったな!」


「クッ…なんてこと…!」


「さ~て、俺の番だな!じいさんの分もたっぷりとくらわせてやるぜ!オラァ!」


「クッ…うあッ…!」



丸腰のままコウメイの荒々しい猛攻をまともに受け、オールは瞬く間に守勢に立たされていた。敵軍副将コウメイの赤き戦意と蒼き法力を携えた斧の一撃は強力無比の一言に尽きる。



「コイツでとどめだ!くらえええぇぇぇぇッ!!」


「クッ…参り、ました…」


「そこまで!勝者、コウメイ選手!」


『うおおおおおおッ!!』



得物を飛ばされ、無防備にされたオールは打つ手がなく、健闘虚しく敗れてしまった。コウメイの武勇を讃える歓声の中、ルーシー班の仲間達は大急ぎでオールのもとに駆け寄り、シャンパンゴールドの貴公子の奮戦に静かに敬意を表した。



「オールさん…貴女の健闘、敬意を表しますわ…大丈夫ですか?」


「ルーシー、様…力及ばず…申し訳、ございません…」


「法力使いの一団、私達と同じようにそれぞれの戦術で力を活かしているのね…世界って本当に広いわ…」


「さてさて、私の出番ね…テラコッタの騎士として、全力を尽くすまで!」


「ヒアシンス、任せたのだ!アイツらをボッコボコにしてやるのだ!」



水色の鎧を身に纏ったルーシー班副将ヒアシンスが涼やかなアルパインブルーの紋様を煌めかせながら戦いの舞台に踏み入る。かつてはアザレア王国近衛軍の士官候補生だったが、実地研修でテラコッタ領を訪れた際に主君ローザの目に留まり、ラブコールを受けて騎士に推薦された経歴の持ち主である。何時いかなる時も冷静で物怖じしない性格であり、テラコッタ軍の兵からの人望も厚い。テラコッタの水騎士は静かに闘志を燃やしながら敵軍副将コウメイに対峙していた。



「テラコッタの騎士ヒアシンス、ただいま参上!」


「マ、マジかよ!?騎士っていうことはあんた強ええんだな!?」


「さあ、どうかしらね?貴方自身のその目で確かめるといいわ!」


「よっしゃ!このコウメイが騎士様の力がどれほどか見てやろうじゃねぇか!いくぜええぇぇッ!」



コウメイは西洋の猛者を前に昂り、猪突猛進の勢いでヒアシンスに向かって飛び込む。対するアルパインブルーの彩りの水騎士は気圧されることなく奇妙なほど静かに佇んでいた。



「ブッ飛ばしてやる…うおおおりゃああッ!!」


「では、こちらも…フフン♪」


「おわわっ!?が、楽器が武器なのかよ!?な、鳴らしただけだったよな?どうなってるんだ…!?」


「あら、どうしたの?私の騎士としての力を見るんじゃないのかしら?」



水騎士ヒアシンスは得物のバイオリンを奏でながら不敵な笑みを浮かべ、敵軍副将コウメイを挑発してみせる。見た目は僧兵でありながら好戦的な荒くれ者という印象のコウメイならば逆上してもおかしくはないが、彩りの力を目の当たりにして激しく動揺していた。



「な、なんだコイツは!?俺達の法力とは違う、別の力なのか…!?」


「そういうことね。私の力を込めた旋律、まだまだ聴かせて差し上げるわ!」


「ううっ…ち、ちくしょおおお…!」


『おおおお…!!』



観衆がざわめく中、ヒアシンスの得物であるバイオリンの音色が闘技場に響く。客席で見守るテラコッタの騎士達も美しい旋律に魅せられ、心を躍らせていた。



「ヒアシンス、その調子よ!ガンガン殺っちゃえなのよ!」


「パンジーさん、上機嫌ですわね♪ヒアシンス様の音色、美しいですわ…」


「ヒアシンス様のバイオリンの音色、以前よりも綺麗になった気がするわ…きっとこれもルーシー様との絆の賜物なのね」


「そうですね、バジル様。以前はヒアシンス様の御趣味でしたが、今は得物です。祝福の証の彩りが成せる技なのですね――」


「うおおおッ!親愛なる同志ヒアシンスよ!美しき彩りの力、闘技の舞台で見せつけるのだああぁぁッ!!」



テラコッタの騎士達の熱い声援を背に、ヒアシンスは彩りの旋律を奏でる。土と砂の薄茶色が基調の闘技場のアリーナを美しい亜蒼(アルパインブルー)に染めながら激流の歌を響かせた。



「我が祖国の蒼き旋律、心して聴きなさい!テラコッタ・アクアシンフォニア!!」


「ウガアアアァァァッ…!」


「そこまで!勝者、ヒアシンス選手!」


『うおおおおお~ッ!!』



水騎士ヒアシンスの美しき旋律に魅せられ、観衆はスタンディングオベーションで讃える。美しく洗練された彩りの力を見せつけた副将ヒアシンスは大将ルーシーと共に勝利を喜び合うが、目の前に迫る敵軍大将との一戦に向けて胸中に闘志を燃やし続けていた。



「ヒアシンスさん、お見事ですわ!貴女の奏でる美しい音色、もっと聴かせていただきたいわ…アンコールに応えてくださいます?」


「ええ、もちろんよ。私の彩りの旋律、まだまだ聴かせて差し上げます!」


「クソッ、しくじった…イトケ、頼んだぜ…」


「はいは~い!いよいよわたしの出番ですよっと♪イトケ、いっきま~す!」


「いよいよ来るわね…イトケ!」



敵軍大将イトケは新橋色の彩りを瑞々しく耀かせながら飄々と戦いの舞台へと躍り出る。果たしてイトケの彩りの力は何か?ルーシー班はイトケを撃ち破り、勝利を掴めるのか?いよいよ新橋色の彩りの戦士との戦いの火蓋が切られる!




To Be Continued…

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