表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Rainbow God Bless  作者: 色彩天宙
Chapter6:闘技大会篇
168/330

第168話『色彩武勇~vol.6~』

シリーズ第168話目です。どうぞお気軽にご覧くださいませ!

蛮族四天王が統べるビンニー国――真ん中に聳え立つ闘技場のアリーナは赤き熱気に包まれている。強き勇気と深き叡知で一行を勝利へと導くルーシー班は新橋色の紋様を持つ彩りの戦士イトケが率いる僧兵らしき一団と相対しており、ルーシー班先鋒エレナとイトケ班次鋒モウトクが剣を交え、熱く荒々しく激しい鍔迫り合いを見せていた。



「ぬうぅ!うおおッ!」


「てやああぁ!はああぁぁッ!!」


「グッ…見事な腕よ…だが、我らは負けぬぅ!」


「私だって…守るべき人のために、負けられない…カンタループ・ブレードッ!!」



両雄の刃は赤き熱気を闘技場に吹き込み、観衆を虜にしていく。ルーシー班先鋒エレナはメロンオレンジの闘気を全身に纏い、堂々と己の武を見せつけていた。



「これほどとは恐れ入った…ならばこれならどうだ!?」


「クッ…こ、これは…!」


「うおおっ!てやああぁ!」


「でやあッ!ええぇいッ!!」



モウトクは法力を斬撃の衝撃波としてエレナに向けて飛ばす。エレナは思いがけぬ奇襲に一瞬怯むものの、得物の大剣で受け流しながらモウトクに向かって我武者羅に猛進していった。



「フフッ、修行の末に編み出した我が技はどうだ?」


「見事なものね…でも私は…負けるわけにはいかないの!」


「ふむ、その闘志と心意気、感服致す限りよ。ならば我が武を余すことなくお見せしようぞ!」



エレナは得物の大剣を振り下ろし、衝撃波を真っ二つにして切り落とす。モウトクの法力を前にエレナは臆せずに彩りの刃を見せつけるが、法力の衝撃波は次々に容赦無く襲い掛かり、エレナに傷を負わせていく。



正義の怪傑である彩りの戦士エレナは彩りの力を以て奮戦するものの、モウトクに手数で押されていき、じわじわと守勢に立たされていく。傷だらけになった正義の怪傑に敵軍次鋒モウトクの刃が牙を剥いた。



「覚悟!ぬうぅおおッ!」


「うあああッ…!」


「そこまで!勝者、モウトク選手!」


『おおおおおおぉぉぉッ!!』



剣士同士の一戦が決着し、両者の健闘を讃える拍手と歓声が闘技場を包む。エレナは惜しくも敗れてしまったが、彼女の武勇はビンニー国の人々にも好感を持って受け入れられており、ルーシー班の仲間達が駆け寄る中、暖かい拍手がエレナに送られていた。



「ごめんなさい、負けたわ…悔しいけど、下がるわね…」


「エレナさん、敗れはしましたが、お見事でした。ゆっくり休んでください…」


「イトケ様の一団、相当な修練を積んでいらっしゃいますね…やはり世界は私達の知る以上に広いのでしょう…」


「よっしゃ、私の出番なのだ!バンバン毒の力をブチ込んでやるのだ!」


「ええ、その意気よ!テメリオ、お願いね!」



ルーシー班次鋒テメリオが勇んで飛び出していき、副将ヒアシンスの呼び掛けに親指を突き立てて応じる。ビアリーの臣下として一行に加わってからは狙撃兵として戦闘で腕を振るっていたが、軍師として一行を導くルーシーに密かに憧憬の念を抱いており、ルーシーと絆を紡いでいた。毒の彩りのモーブが妖しく煌めく左手に得物である毒氣のリボルバーを携え、敵軍次鋒モウトクに対峙せんと闘志を燃やしていた。



「ふむ、銃使いか…相手が誰であろうと我が刃で斬るのみ!」


「そう簡単にはいかねぇのだ!私には私の戦い方があるのだ…お前がまばたきしてる間にボコボコにしてやるのだ!」


「フフッ、意気の高きことよ。ならば此方も全力で参るぞ!」



毒の拳銃士テメリオと悟りの剣士モウトク――全く違う得物を駆使する両軍の次鋒同士の一戦が幕を開け、観衆の視線が再び闘技場のアリーナに注がれる。辺りに湯気が立ち上らんばかりの赤き熱気が満ちる中、ルーシー班次鋒テメリオはモーブの紋様が体現する妖しい彩りの毒氣を銃身に込め、躊躇いなく引き金を引いた。



「うっし、ケンカの始まりなのだ!オラァ!」


「ふむ、やはり手練れの銃使いの腕か…ならば間合いを詰めれば!」


「ハハッ…間合いを詰めりゃ良い、ねぇ…ハハハッ!」


「隙在り!我が刃をその骨身に――」


「そうはさせるかぁ!オラオラァ!!」


「ぐおぉ!?うがっ…!」



間合いを掴まれたにも関わらず、毒の拳銃士テメリオは不敵に笑っていた。懐に飛び込んできたモウトクを不良格闘術で蹴倒し、乱暴に地に伏せさせる。続けて蹴りを数発叩き込んで舞台に転がし、無防備なモウトクに向けて毒の彩りの力を込めた銃弾を放った。



「くらえぃ!ダストバーストなのだ!!」


「グッ…がふっ…!」


「そぉら、オラオラァッ!ズタボロにしてやるのだああぁぁ!!」


『うおおおおッ!!』



テメリオは不良時代を思わせる粗野な戦術を見せつけ、敵軍次鋒モウトクを容赦無く追い詰めていく。邪教戦士の刺客として一行に刃を向けた頃と変わらぬ荒々しさと熱さを併せ持った戦いは観衆の荒くれ者達だけでなく、彩りの義勇軍達も盛り上げていた。



「Yeah!テメリオ、良いぞ良いぞ!なかなかHardでRockな攻めじゃん!」


「おおっ、トリッシュもノリノリで夜露死苦ゥ!っていうか、テメリオとルーシーって意外な組み合わせだよな…」


「ああ、ユニット分けの時もすぐにルーシーのユニットに入りたがってたし、いつの間に仲良くしてたんだろうね?」


「ペソシャさん、その件ですが、テメリオさんは以前からルーシーさんへの憧れを口にしていました。“軍師として私達を導くのはかなりの重責で自分には出来ない。自分の出来ることでルーシーを助けたい”とテメリオさんは仰っていました」


「へぇ、そうだったのか…憧れが紡ぐ絆、ってかい…っていうか…フェトル、そんなことよく聞き出せるな…」



軍師として彩りの義勇軍を率いる水青の令嬢への憧憬を抱くテメリオは荒ぶる毒氣を銃口に集束させ、彩りの力として解き放つ。テメリオの左手に印されたモーブの彩りの毒は次鋒モウトクを捉え、じわじわと蝕んでいった。



「グッ…め、眩暈が…焦点が、定まらん…なんだこれは!?」


「フン、今頃気付いても出遅れなのだ!私の毒の力、たっぷり時間をかけて味わうのだッ!」


「ぐうぅ…がはっ…!」



彩りの毒氣を以てペースを掴み、したたかな戦術で攻勢に立つ。共に戦うルーシー班の面々はテメリオの熱い戦いに心を揺さぶられ、嬉々として見守っていた。



「テメリオ様、お見事です!傍目には粗雑に見えますが、誇りを抱いて戦う勇猛な姿は美しいですね!」


「すごいわ…テメリオは拳銃も不良格闘術もよく訓練されているのね!」


「ええ。テメリオさんは離れていたら銃、近付けば不良格闘術をお持ちで、不良格闘術の腕は一二を争うとポワゾンさんが仰っていましたわ。前衛と後衛の両方を遜色無くこなせる方はこの軍でもそうはいらっしゃいません。テメリオさん、素敵ですわ♪」


「テメリオ、軍師様もお喜びよ!そのまま倒しちゃいなさい!」



ルーシー班の仲間達も熱い声援を送り、テメリオの闘志を昂らせていく。彩りの毒氣が一気に銃口に集束し、敵軍次鋒モウトクに向けて荒々しく暴発した。



「テメェを毒の銃撃で焼き尽くすのだ!ダストバースト・ブレイズバレット!!」


「ぬうッ!うぐうぅッ…!」


「…そこまで!勝者、テメリオ選手!」


『うおおおおおお~ッ!』



炸裂する彩りの毒氣が敵軍次鋒モウトクを焼き払い、テメリオはクルクルと得物のリボルバーを掌中で回しながら得意気な表情で歓声に応える。闘技場のスタンドが沸き立つ中、大将ルーシーはテメリオのもとに駆け寄ると、モーブの彩りの毒の紋様が印された左手を優しく両手で包み込み、真っ直ぐな想いでテメリオの健闘を労った。



「テメリオさん!素敵ですわ…貴女の熱い想いが伝わってきました!」


「ルーシー…私はルーシーの助けになりたいのだ。大切なルーシーのためなら――」


「お熱いところを失礼。テメリオさん、と言ったか…この年寄りの相手をしてくださらんか?」


「おう、喧嘩上等なのだ!かかって来いよ、じいさん!」


「ハハハハッ、元気があって結構!ハクヤク、参りますぞ!」



テメリオのもとに現れた敵軍中堅はハクヤクという名の老人の男だった。武器らしき物は持っておらず、格闘術を駆使するらしい。白い髭を蓄えた顔には朗らかな笑みを浮かべており、好々爺という印象を受けるが、その胸中には確かに闘志を赤々と燃やしている。テメリオは彼の戦士としての熱い心を汲み取り、毒氣のリボルバーを素早く抜いて瞬く間に臨戦態勢を整えた。



「さあ、始めましょうか!モウトクくんを倒した腕前、楽しみにしてますぞ!」


「よっしゃ!望み通りブチ込んでやるのだ!くらえッ!!」


「ハハハハッ!簡単にはいきませぬ!そぉれッ!!」



敵軍中堅ハクヤクは老齢からは想像も着かない俊敏な動きを見せつけ、テメリオを翻弄する。対するテメリオは必死に食らい付き、荒ぶる毒の力を躊躇うことなく解き放つ。



「今だ!ダストバーストなのだッ!」


「うおっ!やりますな…それならば…こちらも本気でやれるというもの!!」


「ななっ!?こりゃヤバそうなのだ…!」


「覚悟しなされ!うおおっ!はああッ!!」



毒氣を纏った銃撃を受けるや否や、ハクヤクの表情から朗らかな笑みが消え去り、畳み掛けるような素早い連撃をテメリオに見舞う。テメリオも自慢の不良格闘術で迎え撃つが、ハクヤクの拳法の錬度は我流の不良格闘術の及ぶものではなく、瞬く間に守勢に立たされていった。



「これで決めますぞ!そぉぉれッ!!」


「グッ…クソッ…!」


「そこまで!勝者、ハクヤク選手!」



ハクヤクの軽やかな拳法に翻弄されるがまま、テメリオは敗れてしまった。ルーシー班の皆がテメリオのもとに駆け寄って奮戦を労うと同時に、目の前に立ちはだかる脅威に一層気を引き締めていた。



「クソッ…あのじいさん、強いのだ…油断したのだ…」


「テメリオさん、お疲れ様でした…みなさんの戦いを見ていて予想はしていましたが、厳しい戦いですわね…」


「ええ、我々テラコッタの騎士が苦戦する猛者達が集う闘技場ですもの。やはり一筋縄ではいかないわね…」


「さて、私の出番ですね…オール・クレメンス、参ります!」


「オールさん、ファイト!貴女の祖国アザレアへの想い、見せてください!」



ルーシー班中堅のオールが得物の西洋双棍を構え、左手のシャンパンゴールドの紋様を美しく耀かせながら敵軍中堅ハクヤクに対峙する。ルーシー班はイトケ率いる僧兵の一団に打ち勝てるのか?叡知と想いを1つに、美しき勝利を掴め!




To Be Continued…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ