第167話『色彩武勇~vol.5~』
シリーズ第167話目です。どうぞお気軽にご覧くださいませ!
蛮族の国の闘技大会で各々の色彩を煌めかせる彩りの義勇軍一行。月の神と毒の精霊の気高き意思を体現するビアリー班に敵将として相対した織紫の彩りの毒の戦士ベルベットが一行の輪に加わっていた。
「すごいわ…この軍の皆が運命によって惹かれ合ったのね…」
「イエーイ!これからウチらの仲間としてガンガン突き進むぞ!ベルベット、夜露死苦ゥ!」
「ええ、よろしくね。私も皆との絆を大切に守っていくわ。共に歩んでいきましょう!」
「精霊の導きがたくさんの出会いをもたらしてくださるわ…なんだか嬉しそうね、リデル?」
「…はい、フェリーナさん!私にもたくさん仲間が、友達が出来て…とっても嬉しいです!」
新たな仲間を嬉々として迎え入れた彩りの戦士達は新たな絆に想いを馳せる。左手の甲に印された祝福の証が導き合う出会いは色とりどりの絆を紡ぎ、1つの義勇軍と呼べるほどに大きくなっていた。
「こんなに歓迎していただけて感謝します。私もこの軍の一員として、力を尽くすわ!」
「うおお!闘魂燃えてるッスね!ベルベットさん、よろしくッス~!」
「ウフフッ、また素敵なお仲間と出会えましたね。さて、次はわたくし達の番ですわね。必ずや勝利を掴んでみせますわ!」
「ルーシー、頑張って!一緒に戦う4人はもちろんだけど、俺達も着いてるからな♪」
ベルベットを加えた一行は次なる戦いに挑む。続いて闘技の舞台に踏み出すのはルーシー班の面々だ。先鋒エレナ、次鋒テメリオ、中堅オール、副将ヒアシンス、大将ルーシー――強き勇気と深き叡知を以て一行に勝利をもたらす5人組は戦いの目前に凛とした闘志を燃やしていた。
「いよいよ出番ね!怪傑カンタループ、勝利のためにこの剣を振るうわ!」
「おう!私の毒の力もバンバンぶっ放してやるのだ!燃えてきたのだ!」
「このオール・クレメンスも全力で皆様をお守り致します。祖国アザレアの誇りに賭けて、負けられません!」
「私もテラコッタの騎士として、この軍の勝利のために全力を尽くすわ!腕が鳴るわね!」
「…こうしてみなさんが一緒にいてくださるだけで、わたくしの胸に勇気が湧いてきます。想いを1つに、力を1つに、勝利を掴みましょう!」
色とりどりの力と紡がれた絆を1つに重ね、ルーシー班の5人が闘技の舞台へと歩を進めていく。覆面の怪傑、アフロヘアーの毒の戦士、男装の麗人、水色の鎧の騎士、一行の軍師を務める令嬢――装いには全く統一性が無いものの、戦いに挑む想いは全く違えることなく、彩りの戦士として戦う意思を煌めかせていた。
「おお、ルーシーの一門のお出ましじゃぞい!さすがはワシらの軍師、堂々としとるのう!」
「相手の一団、精霊の力ではないけど、何か力を感じるわ…服装から考えると僧兵か何かかしら?」
「うむ…まあ、ルーシーは頭の切れる奴だから恐らく心配は要らんだろう。相手に合わせて策を講じるはずだ」
「ヴィオの言う通りよ。ルーシーの軍師の腕はきっと青国軍でも通用すると思う。きっと勝てるわよ!」
「あっ、どうやら敵軍と挨拶を交わすようですね…ルーシー、武運を祈ります!」
戦いの舞台に踏み出したルーシー班のもとに敵軍の5人組がゆっくりと歩み寄ってくる。丈の長い法衣を身に纏った僧兵らしき一団を率いる敵将は周りに取り巻く4人の男達と比べてもかなり小柄な少女だった。明らかにサイズの大きいダークグレーの法衣を身に纏い、淡青色の髪をボブカットに切り揃え、銀色のフレームの眼鏡をかけている。袖と裾がだぶだぶなその様相は法衣に着られている感が否めないが、表情は堂々としており、自信に満ちていた。
「ごきげんよう。わたくし、ルーシー・ゲイト。よろしくお願い致しますわ」
「ごきげんよう!わたしはイトケ。この力を以て謹んでお相手致します♪」
「あ、貴女はまさか…!?」
敵軍大将が左手の甲を見せつけるや否や、ルーシーの視線が一点に集中する。敵将イトケの左手に印された涼やかな新橋色の紋様が彼女との出会いが祝福の証によってもたらされた必然であることを物語っていた。
「わたくし達と同じ、彩りの戦士…!」
「その通~り♪ルーシー様もわたしと同じように紋様をお持ちでいらっしゃるのはなんとな~く予感していました。これもきっと天命が定めた巡り合わせ――」
「Gランク勝ち抜き戦を開始します。両軍先鋒、前へ!」
「ルーシー、始まるみたいよ。私が勝利への道を切り拓いてみせるから、見守っててね!」
「エレナさん、貴女の戦いへの真摯な想い、いつも頼りにしていますわ。どうかお気を付けて」
ルーシー班の先鋒はメロンオレンジの紋様を瑞々しく耀かせる覆面の大剣士エレナ。正義の怪傑カンタループとしてフルウム国の平和を守る勇気溢れる彩りの戦士だ。一行に加わってからも真摯に戦いに向き合っており、仲間達からの信頼も厚い。正義の怪傑は勇んで戦いの舞台へと踏み出し、敵軍先鋒に刃を向ける。
「さあ、始めましょう!怪傑カンタループ、参ります!」
「ふむ…児戯の類いか、或いは見世物か?」
「いいえ。子供の遊びや見世物でないことはこれから嫌でもわかるわ。貴方も戦士であるならば戦いで語りましょう!」
「ほう…その言、誠か虚飾か…このシゲンが拝見致す!」
児戯か見世物――敵軍先鋒シゲンの言葉を受け、エレナは胸中に僅かに憤りの混じった闘志を昂らせる。大剣を荒々しくも彩りの戦士としての誇りを以て振るい、己の武を見せつけていた。
「いざ、参る…とうッ!」
「白兵戦なら負けないわ…ええぇいッ!」
「うむ…見世物にしては出来るようだな。ならば…むうぅん!」
「フッ、その程度の術、ペルシカの半分にも及ばないわ!せいやああぁぁッ!!」
敵軍先鋒シゲンが得物の杖から法力の弾を放つが、エレナは全く動じない。瑞々しいメロンオレンジの紋様を爛々と煌めかせながら得物の大剣を振り回しながら猛烈な強襲を見舞っていった。
「クッ、見誤ったか…これほどとは…!」
「足が止まってるわよ!遅い遅いッ!!」
「うおっ…ぐうぅッ…!」
『おおおおおお~…!!』
パワーとスピードを兼ね備えたエレナの猛攻は観衆の心に火を点け、ヒートアップさせる。客席で見守る仲間達も熱気を帯びながら熱い声援を送っていた。
「エレナ…私の誰より大切な、誇れる人…!」
「セレナ、嬉しそうだね。やっぱりフルウム国で一緒に生まれ育った双子の姉だもんね~!」
「そうだな~、ドルチェ。まあ、血は水よりも濃しなんて言うからな!」
「うむ!エレナとセレナの連係は見事なものでごわす!エレナの剛剣とセレナの柔剣、美しき姉妹の絆をそれぞれが体現しているでごわす!」
「エレナさん…が、頑張ってください…その調子です!」
彩りの力を以て共にフルウム国を守るドルチェ自警団の仲間達や共に生を受けた双子の妹セレナの声援はエレナの闘志に燃える火に油を注ぎ、更に力強く赤々と燃え上がらせる。敵軍先鋒シゲンも彩りの猛攻に必死に食らい付いていくが、エレナの怒涛の連撃に守勢を強いられていた。
「うぅおおッ!」
「させないわ!カンタループ・ブレード!!」
「何いぃッ!?」
彩りの剣で敵軍先鋒シゲンの法力を弾き返し、一気に攻勢に立ったエレナはメロンオレンジの闘気を全身に纏う。愛する祖国フルウムを守る正義を体現する刃を臆することなく振るった。
「フルウムの正義の刃、受けてみよ!カンタループ・ブレードスマッシュ!!」
「うおおっ…見事…」
「そこまで!勝者、エレナ選手!」
「我が剣の真髄、その骨身に焼き付けたか!?怪傑カンタループの正義が在る限り、この世に悪が栄えることはないッ!!」
『うおおおおおぉぉぉ~ッ!!』
エレナの猛攻に観衆は沸き上がり、先鋒戦とは思えないほどの熱気に包まれている。割れんばかりの声援の中、エレナは勇ましい口上と共に得物の剣を高々と掲げて己の武を誇示し、彼女の勇姿に胸を熱くした大将ルーシーは小躍りしながらエレナのもとに駆け寄った。
「エレナさん、素晴らしいですわ!その調子で貴女の武を見せてくださいませ!」
「ありがとう、ルーシー!このままガンガンいくわよ!さあ、次は誰!?」
「うひょ~、強いんだね!モウトクさん、お願~い!」
「はいよ。まあ、菓子でも食いながら見てな」
敵軍次鋒モウトクは剣を構え、ゆっくりとエレナに向かい合っていく。対するエレナも胸中の闘志を赤々と燃やし続け、凛とした表情で大剣を構えた。
「よう、覆面の勇者さん。同じ剣士同士、いい勝負にしようぜ!」
「ええ、私も同じ想いよ。怪傑カンタループ、参ります!」
「…ああ、剣と刃で語ろうか!」
エレナとモウトクは互いに清々しい挨拶を交わし、得物の剣をぶつけ合っていた。双方共に己の刃に闘志を込め、臆することなく叩き込んでいく。
「とうっ、せいやぁ!」
「クッ、なんのこれしき…カンタループ・ブレード!」
「ぬうぅっ!さすがはシゲンに勝っただけのことはある…見事なものだな…ならば、これならどうだ!」
モウトクは練り上げた法力を片刃の剣に纏わせ、彩りの大剣士エレナに飛び込んでいく。一方のエレナも怯むことなく彩りの力を振るい、堂々と迎え撃っていた。
「すごいわ…モウトクさん、相当な修行をなさったのね!」
「有り難き御言葉、謹んで頂戴致す。貴女の剣も見事なものよ…カンタループ殿!」
「ええ、ありがとう。祖国フルウムで鍛えた力、もっともっとお見せするわ!」
「うむ、参るぞ…正義の怪傑カンタループ殿ッ!!」
エレナとモウトクは激しい鍔迫り合いで火花を散らし、闘技場のアリーナを赤き熱気で包む。己の武に悟りを求めて邁進する5人組を相手にルーシー班は勝利を掴めるのか?新橋色の紋様を持つイトケの能力は果たして何か?彩りの義勇軍の戦いはまだまだ続く!
To Be Continued…




