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Rainbow God Bless  作者: 色彩天宙
Chapter6:闘技大会篇
150/330

第150話『彩りの争闘~vol.5~』

シリーズ第150話目です。どうぞお気軽にご覧くださいませ!

強きを尊ぶ蛮族の国ビンニー国の闘技大会に挑む彩りの義勇軍一行。リデル班と相対した敵軍大将でありライムグリーンの彩りの戦士である少女タンガが一行のもとに現れた、が…



「もう!さっきは私の選択を応援するって言ってたじゃないですか!」


「そ、そうだけどさぁ…タンガたんがいなくなったらって思うと、やっぱり…」


「お兄様、いい加減にしてください!私は決めたのです!この方々に着いていくんですッ!!」



タンガは相変わらずという様相でグズグズと縋り付く兄達を突っぱね、一行に加わるという道を選んだ。呆気にとられポカンとする一行を尻目にタンガは己の意思を毅然と貫き、彩りの義勇軍としての1歩を踏み出そうとしていた。



「あ、兄達にはお構い無く。どうか皆様のお仲間に加えてください!」


「は、はい…タンガ、どうぞよろしく…」


「ハッ、やれやれ…男どもの顔、まるで葬式みたいじゃないのさ…」


「まあ、タンガが決めたんだし良いんじゃない?タンガ、よろしくね~!」


「さて、活きの良い新弟子が加わったところでワシらの一門の出番じゃのう!張り切っていくぞい!!」


「おお、ステラ姉ちゃん、気合い十分やな!頑張ってや~!」



タンガを加えた一行は次なる戦いへと飛び込んでいく。続いて挑むのはステラ班――先鋒リベラ、次鋒ドゥイヤオ、中堅サンディア、副将ガーベラ、大将ステラ――己の武を誇り、我武者羅に突き進む5人は戦いの火蓋が切られるのを今か今かと待ちわびていた。



「よっしゃ、このリベラ様の力で全員黒焦げにしてやるよ!」


「おっと、抜け駆けは無しだぎゃ!わっちの毒の力もたっぷり味わわせてやるがや!」


「この日、この時を待ち焦がれていたわ!自警団として、彩りの戦士として培った力がどこまで通用するか…体がウズウズして堪らないわ!」


「ワハハ!みんなやる気十分だな!でも、アタシだって負けないからな!」


「よっしゃ、土俵入りじゃ!みんな、気合い入れていくぞい!」



ステラ班の5人は闘志を爛々と昂らせながら、闘技の舞台へと踏み入ると同時に敵軍5人組が意気揚々と姿を現す。ステラ班に相対する一団は一行とは異なる衣装を着ており、5人全員女性らしいが、それぞれが戦い慣れた手練れの雰囲気を漂わせている。目の前の戦いに挑む真摯な想いがぶつかり合い、闘技場にはキリリと引き締まった空気が流れ始めていた。



「我はユキムラ。我ら東方より修行に参った次第、よろしくお願い申し上げる!」


「ほう、東方の戦士と戦えるとは嬉しいのう!よろしく頼むぞい!」


「ええ、よろしく。それにしても、何故でしょうか…貴女方と向き合っているだけで…力が沸き出てくるのですよ!」


「な、なんと!?その御紋は、まさか…!!」



ステラは眼を見開く。驚いたことに東方からの挑戦者である5人全員が祝福の証を持つ彩りの戦士だった。柳色の先鋒テルモト、胆礬色の次鋒マサノリ、煤竹色の中堅キヨマサ、藤色の副将ミツナリ、茜色の大将ユキムラ――東方より来たる彩りの戦士は凛とした表情でステラ班に対峙していた。



(それがし)、テルモトと申す。何卒よろしくお頼み申し上げます」


「どもども、マサノリッスよ~!ま、気楽にやりましょ!どうぞよろしくッス~!」


「ヘヘッ、腕が鳴るぜ!このキヨマサ様が全員ブッ飛ばしてやるぞ!」


「フン、お前のような戦馬鹿だけに任せておけん。このミツナリも全力を尽くそう」


「我ら全員、全力を以てお相手致す。いざ、尋常に勝負!!」



東方より来たる5人の熱い闘志を受け止めたステラ班の仲間達が次々に躍り出る。彼女達は東方闘士達の宣戦布告を受けて黙っているような面々ではない。左手の甲に印された彩りと共に沸々と滾らせた闘志を剥き出しにして対峙した。



「たいしたやる気だな!このリベラ様に焼かれる覚悟は出来てるって解釈したぜ!?」


「わっちの毒もテメェらを喰いたくてウズウズしてやるがや!ケケケケッ!!」


「私は祖国フルウム国の誇りを抱き、貴女達と戦う!断じて負けはしない!!」


「おっと、このガーベラ様を忘れてもらっては困るな!テラコッタの騎士として、全力でいかせてもらうぞ!!」


「その通りじゃ!ワシらも全員全力でいくぞい!ほれ、ユキムラ、握手じゃ!」


「…はい!」


『…おおおぉぉぉ~ッ!!』



ステラとユキムラが舞台の真ん中で握手を交わす。戦士同士の清々しい挨拶が交わされ、闘技場を大歓声が包む。奇妙な高揚感に沸き立つ中、戦いの火蓋が切られようとしていた。



「Gランク勝ち抜き戦を開始します。両軍先鋒、前へ!」


「よし、このリベラ様の出番だな。東方の戦士どもを燃え尽きさせてやる!」


「おう、その意気じゃ!リベラ、頼むぞい!」


「テルモト、任せましたよ。抜かり無く!」


「…はい。(それがし)、力を尽くします」



リベラとテルモト――両軍先鋒は言葉を交わすことなく武器を構え、己の武を以て語る。メイスを携えたカーディナルレッドの戦士リベラ、槍を構えた柳色の戦士テルモト、互いの彩りが正面衝突しようとしていた。



「うおおああぁぁッ!!」


「フッ、望むところ…燃やしてやる!ヒートストロークッ!」


「うあっ…!」


「うりゃあ!オラオラァ!」


「クッ…うううっ…!!」


『おおぉぉぉ~!!』



カーディナルレッドの彩りを持つ焔の戦士リベラが敵軍先鋒テルモトに襲い掛かる。かつては邪教戦士ジャッロの復讐のために蜂起した破落戸5人組のリーダーとして一行に刃を向け、リモーネ率いる巨大傭兵団にも客将として加担していたが、エレンに折檻されて一行に加わった。破落戸時代を思わせる荒々しい戦いぶりは観衆を沸かせた。



「リベラ姉やん、カッコいい!その調子、その調子!」


「あれだな~…さすがはオイラ達のリーダーなんだな、うん」


「そうだな…だが、相手もただじゃ転ばなさそうな奴ばかりだ。リベラが一番理解していると思うが、油断は出来ないぞ…」



一方、対するテルモトも黙ってはいない。深緑の髪を短く切り揃え、紺色の甲冑を着た柳色の東方戦士は落ち着いた表情で生真面目そうな印象を受けるが、その胸には確かに闘志を燃やしている。得物の槍を猛々しく振るい、異国の地で精練された闘技を見せつけていた。



「てやぁ!はああぁッ!!」


「チッ…ヒートストローク!」


「甘い!柳牙槍!」


「ガフッ…テメエエェェッ!!」



一進一退の攻防が続き、リベラとテルモトは彩りの力をぶつけ合う。仲間達が固唾を呑んで見守る中、2人の力と力が激しく衝突し、闘技の舞台を焔紅(カーディナルレッド)と柳色に美しく染めた。両軍先鋒の2人は互いの力と武を受け止めて傷を負い、疲弊しきっている。いつ勝敗が決してもおかしくない中、リベラとテルモトは左手の甲に印された彩りを煌めかせていた。



「燃え尽きろぉ!ヒートバースト・クラッシャー!!」


「いざ、参らん!柳牙千烈衝(りゅうがせんれつしょう)!!」



愚直なほど真っ直ぐに猛進した。真正面から両者の彩りがぶつかり合い、紅と碧の閃光が弾ける。闘技の舞台に舞い上がった砂埃が晴れ――テルモトが煤だらけになりながら天を仰いでいた。



「み、見事…参りました…」


「…そ、そこまで!勝者、リベラ選手!」


『おおおおぉぉぉ~!!』


「…やれやれ、こりゃ手強いな…一筋縄じゃいかない相手だね…」



勝利はしたものの、リベラは見るからに疲弊していた。先鋒同士の戦いが紙一重で雌雄を決するという状況は以降の戦況を容易に想像させる。観衆は否応なしに期待を高めるが、当人である両軍の面々はより一層緊迫感を増していった。



「リベラ…厳しい一番だったのう…しんどいかもしれぬが、頑張ってくれ!」


「わっちらも気合い入れんとなぁ…えらい戦いになりそうだがや…」


「ふむ、やはり向こうも手練れ揃いのようですね…マサノリ、頼みます!」


「はいよ~っと♪ヘヘッ、それじゃオレっちの出番ッスね!マサノリ、いっきま~す!!」


「チッ、ヘラヘラしてられるのも今のうちだ…黒焦げにしてやる!」



敵軍次鋒を務める胆礬色の東方闘士マサノリが屈託の無い笑顔を見せながら軽やかな足取りで闘技の舞台に踏み出していく。ステラ班先鋒リベラは苛立ちの混じった闘争心を再び燃やして迎え撃つ。果たしてステラ班は東方の彩りの戦士を討ち倒し、勝利を掴むことが出来るのだろうか?




To Be Continued…

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