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Rainbow God Bless  作者: 色彩天宙
Chapter6:闘技大会篇
143/330

第143話『蛮勇闘技~vol.33~』

シリーズ第143話目です。どうぞお気軽にご覧くださいませ!

ビンニー国の闘技の舞台で躍動する彩りの戦士達一行。緑の少女を守る決意を固めて戦うコレット班の副将を務める血紅色の機械戦士ゼータに対し、敵軍大将の科学者ズィヒールが機械仕掛けのバトルスーツを装備して向かい合った。



「ゼータ氏の戦闘スペックをこれだけ間近で見られるとは…ま、最後は私が勝ちますがねぇ!」


「フン、お前の装備などタカが知れている。ラムダ博士から授かった私のバスターとビームソードに敵う代物でもあるまい。降参するなら今のうちだぞ?」


「たいした自信で結構、結構!でも、そうは問屋が卸さないのが世の常なんだな、これが!」


「何が言いたい?勝ち目がないと悟って今から負け惜しみか?」


「フフフ、やはり…この左手の疼きは気のせいではなかったのですなぁ…ドゥフフフフフッ!!」


「何ッ!?ズィヒール、お前…その印は…!!」



ズィヒールの左手に覚醒した妖しい紋様が陽炎のように揺らめきながら、明かりを灯したネオンサインのように鮮やかに姿を現した。蛍光イエローの彩りがズィヒールの内なる狂気に呼応して発現し、ゼータの視線を釘付けにした。



「私達と同じ…祝福の証、だと!?」


「ゼータ氏…私の体と心の奥底から沸き上がるこの力、ゼータ氏を相手に封切りしてやるから、ありがたく思いたまえよ…ギヒヒヒ…!」


「ズィヒール…来るなら来い!」



ゼータは改めて決意を固め、彩りの戦士として覚醒した妖しい科学者ズィヒールに勇猛果敢に立ち向かう。対峙するコレット班の面々は真剣な表情で戦いの舞台に見入っていた。



「うへぇ~…あのヲタク、祝福の証の戦士だったんだね…」


「どうも様子を見る限り、前から持っていたわけじゃなくて、今この場で発現したみたいだな。これも祝福の証が呼び合ってるってわけか…」


「大丈夫だよ!ゼータはあたしが負けちゃったオメガに勝ったんだし、きっとヲタクさんにも勝てるよ!ね、コレット?」


「うん!ゼータは強くて頼りになって、いつもわたしを守ってくれるもん!ゼータは負けないよ!」



コレット達は口々にゼータへの信頼を言葉にしていく。緑の少女を守る――ただ1つの使命に燃える零血闘士は静かに闘志を燃やし、彩りの力を解き放つ。



「マーシレスバレット!」


「おっほぅ!これはこれは良い火力ですな!これがラムダ博士の試作機の力…戦闘スペックは最新型以上…ドゥフフフ…!」


(祝福の証…何らかの力に目覚めたということだが…ズィヒールの能力はなんだ?油断ならん奴だな…)


「隙あり!」


「クッ…!危なかった…抜け目のない奴だな…」



ゼータはズィヒールの攻撃を間一髪で組み止める。血紅色の戦士は鋭い眼差しを突き刺すが、蛍光イエローの科学者はニヤニヤと妖しい笑みを浮かべていた。



「んふふぅ~、私のパワー、味わってるかねぇ…なあ、ゼータ氏?」


「な、何ッ!?か、体が痺れて、力が入らん…!!」


「いやはや、こんな力を得るとは…皆々様とのご縁っていうもんに感謝ですなぁ!」


「クソッ、これがズィヒールの彩りの力…なんてことだ…!」



妖しい電磁波の縄に縛られ、ゼータは為す術なくその場に崩れ落ちる。怪しく眼鏡を光らせながらゼータを甚振るズィヒールの姿はコレット班の仲間達を戦慄させた。



「クッ…マ、マーシレスバレット…!」


「おおっと、危ない!反撃は我が力のこけら落としですぞ!フォリー・エクレール!」


「ガフッ…!」


「ドゥフフフ!とどめの一撃は~…電ノコで一刀両だ~ん♪ギヒヒヒィィッ!!」


「うがああぁぁ…!!」


「…そこまで!勝者、ズィヒール選手!」



血紅色の機械戦士ゼータは電磁波の縄に縛られながら右腕を切り落とされてその場に倒れた。コレットはあまりの絶望と戦慄に言葉さえ出ない。青ざめた顔のまま、ふらふらとゼータに歩み寄っていった。



「ウソ……ゼータ……?」


「コレットちゃん…ゼータは――」


「ゼータ!ゼータァァッ!!」



コレットは我先にとゼータのもとに駆け寄る。闘技場の舞台に仰向けに倒れた血紅色の機械戦士は右腕の回路が剥き出しになり、妖しい電磁波の縄に全身を蝕まれている。虚ろな瞳からは光が消えており、亡骸のように生気が失われていた。



「ゼータ…しっかりして!ねえ、ゼータってば!起きてよゼータッ!!」


「コレッ、ト…すまない…いつも…お前を守ると、言いながら…このザマ、だ…」


「ゼータァァァッ!死んじゃイヤだぁぁ!!うわああぁぁん!!」


「ギヒヒ…泣き顔もそそりますな~…でも大丈夫!かわゆいコレットちゃんに免じて、ゼータ氏はちゃんと修理して差し上げますぞ!ねえ、博士?」


「ええ。ただし、コレットさんがこの場でズィヒールに勝てたら、という条件があります」


「えっ!?わ、わたしが勝たなきゃ…ゼータは…」


「さあ、どうします?やるか、やらないか、答えは1つですよ!」



コレットは後に退けぬ選択を突き付けられ、僅かに恐怖が芽生える。が、胸の内の迷いを断ち切り、1つの答えに行き着くまで長く時間はかからなかった。



「…やります!ゼータがわたしを守ってくれるように、わたしだってゼータを助けるんだもん!!」


「待ってました!このズィヒールがコレットちゃんのお相手して差し上げますぞ~…ドゥフフフ…!」


「…待て、コレット…これ、を…私の、ビーム…ソードを…持って、行け…私は…いつもお前を、守るから、な…」


「グスッ、グスッ…ゼータ、ありがと!」



コレットは目に溜まった涙をゴシゴシと拭い、ゼータのビームソードを手に敵軍大将ズィヒールに立ち向かう。瑞々しい緑の紋様を凛と煌めかせながら、大将としての毅然とした意思で挑みかかっていった。



「シードポップガン!」


「んっふぅ~!攻撃までかわゆいですな~!ますます萌え萌えしちゃいますぞ~!」


「ふえぇ…き、効かない…えぇいッ!!」


「ありゃりゃ~♪一生懸命ビームソードを振って、ゼータの物真似ですかな?かわゆいでちゅね~♪」


「ぶ~!子供扱いしないで!わたしだって…ゼータの分も立派に戦うんだもん!」



コレットは闘志を奮い立たせて立ち向かうも、全く相手にされていない。客席で見守る仲間達は心配そうな様子で見つめていた。



「コレット姉ちゃん…勝負になってへんやん…大丈夫なん?」


「アミィの言う通りさ。コレットって賊に狙われたりしてるし、あまり戦闘には向いてないんじゃないのかい?」


「ビクトリア、そんなことはないわよ。コレットにも精霊の祝福が…絆の力がある。どんな脅威にも立ち向かうことが出来るはずよ」


「私もフェリーナと同じ気持ちです。私達は共に歩む仲間を…コレットを、信じましょう!」



一方、コレット班の面々も戦々恐々として戦局を見つめている。闘技の舞台に充ち満ちる緊迫した空気を感じながら大将である緑の少女を見守っていた。



「コレットちゃん…クソッ、アタシら4人で終わらせるって言ってたのに…!」


「コレットをあのヲタクと戦わせたくなかったよね…大丈夫かなぁ…」


「大丈夫だよ!コレットはこの一団の大将だし、ゼータだって一緒だもん!ね、ゼータ?」



血紅色の戦士は無言のまま小さく頷く。右腕を切り落とされたゼータは自身のビームソードを携えて自分を救わんとして戦うコレットの姿を見つめ、静かに涙を流していた。が、すぐに恐怖と戦慄が襲い掛かった。



「フォリー・エクレール!ギヒヒヒッ!!」


「いやああぁぁッ!!」


「コレットちゃんッ!!」



コレットはズィヒールの彩りの力を受け、その場に縛り付けられ、無防備な姿を曝してしまう。ゼータの脳裏に賊に狙われ、戦慄していたコレットの姿が鮮明に浮かび上がった。メモリーバンクは起動している――ズィヒールに対して怒りという感情も確かに燃えている――ただ、体だけがどうしても動かない。思い通りにならない状況に歯痒さを感じるばかりだった。



「ドゥフ、ドゥフフフ…コレットちゃん…かわゆいのう…!」


「イヤ…イヤだ…!」


「んぬふふうぅ~ッ!!我々には“Yes,Lolita.No,Touch!”という鉄の掟がある!でも…こんな極上の据え膳を目の前に置かれては…過ちを犯してしまうぅ…ドゥフフフフフフッ!!」


「な、何をするの…?やめて、来ないでよぉ…」


「禁忌を…破ってしまう、けど…体が、勝手にぃぃ!」


「ゼータ…助けてっ…!」



ガシッ!



コレットはビームソードの一太刀でズィヒールの攻撃を受け止める。ゼータが蝕まれた電磁波の縄を勇気と彩りの力を以て断ち切ってみせた。



「ぬぅん!?な、なんと…!?」


「わたしには…ゼータが着いてるもん!いつだって、こうしてゼータが守ってくれるんだもん!!」


「ふぬぅ…大方の予想に反してなかなか意地っ張りな娘だねぇ…ギヒヒヒィッ!」


「わたしは負けないもん!絶対絶対!ゼータを助けるんだもん!!」



コレットは必死に立ち上がり、遮二無二立ち向かっていく。が、劣勢はそう簡単には変わらなかった。



「ドゥフッ、フォリー・エクレェェル!」


「キャアアッ!!」


「ギヒヒヒ、首尾よく進んでいますな…さ~て、そろそろコレットちゃんを美味しくいただいて――」



ギギッ、ガガガガッ…



「ん…?ど、動作不良?オイルは間違いなく差したはず…んんん?」


「ふえ?な、何が起きたの?どうなってるの――」


「ぎにゃああ!な、なんじゃこりゃああぁぁ!?」



ズィヒールのバトルスーツが思い思いの方向へと伸び行く緑の蔦に侵食されていた。コレットの初手――緑の彩りの術、シードポップガン――放たれた種が密かにバトルスーツの回路の隙間に挟まっており、コレットの戦う意思に呼応して彼女の彩りの力を体現する緑を伸ばしていた。



「コレットちゃんの彩りの力…こんなタイミングで…!」


「イエーイ!形勢逆転~!ヲタクをシメて完全勝利ってことで夜露死苦ゥ!!」


「行け行け~!そのままやっつけちゃえ~!!」


(お前なら大丈夫だ…コレット、行け…!)



コレットはルーヴと、ビアーと、エーデルと――ゼータと想いを1つに、戦士としての強き決意を胸に飛び込んでいく。蛍光グリーンに輝く彩りの剣を力一杯に振り切った。



「輝け、常磐(とわ)の彩りの剣!エバーグリーン・キャリバー!!」


「ふっぎゃああぁぁッ!!」


「そこまで!勝者、コレット選手!この試合、コレット軍の勝利!!」


『うおおおぉぉぉ~ッ!!!』



コレットはビームソードを天に掲げ、高らかに勝利を謳う。堂々と大将を務めた緑の少女を中心に仲間達の輪が作られ、右腕を切り落とされたゼータも優しく微笑みながら勝利したコレットを祝福していた。



ゼータがラムダ博士とズィヒールに修理を受けている間、一行は宿で休憩していた。が、束の間の休息は突如として破られる。一行を探し求めて大慌てで駆けてきたのは闘技場の受付の男だった。



「見つけた!あ、あんたら…最近闘技場で活躍してる腕利きだろ?た、助けてくれ…!」


「な、何事ッスか!?どこかで荒くれ者が暴れているって感じッスか?」


「いや、もっと厄介だ。闘技場が…魔物に襲われたんだ!頼む、力を貸してくれ!!」


「魔物ですって!?…わかりました。みんな、闘技場へ急ぎましょう!」




To Be Continued…

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