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Rainbow God Bless  作者: 色彩天宙
Chapter6:闘技大会篇
140/330

第140話『蛮勇闘技~vol.30~』

シリーズ第140話目です。どうぞお気軽にご覧くださいませ!

蛮族四天王に挑むべくビンニー国の闘技の舞台で躍動する彩りの戦士一行。常夜の闇に閉ざされたアーテル国より来たるアメジストパープルの踊り子ニュクスを一行に引き入れていた。



「リタと同じ冥の力、きっとこの軍を更に華やかに彩ってくれると信じていますよ。ニュクス、よろしくお願いします!」


「ええ、どうぞよろしくね、モニカさん。夜の領域では会えなかった数多の彩り、私の心を高鳴らせるのを感じるわ…」


「ニュクスお姉様、お美しいですわ!これもきっと祝福の証の導きなのね!」


「そやなぁ、リーベ姉ちゃん。この旅でたくさんの仲間と出会えたけど、夜の領域なんて遠い所の人と一緒に旅するなんて思わんかったわ。絆って不思議なもんやなぁ~」



リタとニュクス――冥の彩りによって導かれ合った両軍大将は“仲間”として向かい合う。闘技の舞台で彩りの力をぶつけ合い、美しく紡ぎ合った2人は友としての新たな絆を紡ぎ合う一歩を踏み出そうとしていた。



「こうしてニュクスと出会えたのも冥の精霊プルートの巡り合わせだよな。プルートの加護っていう縁もあるし、これから仲間としてよろしくな!」


「ええ、よろしくね。ウフフッ、リタさんったら…私の胸をこんなにも熱くさせるなんて、素敵な人…」


「ああ~…ありゃニュクスもリタに惚れたね…」


「うむ、どうもエレンの言う通りみたいじゃのう。リタの一門の皆が恨めしそうな目で見ておるわい…」


「ああ、ニュクス殿とラナンが先ほどリタ殿に手を引かれていたが、あんなに緩みきった表情のラナンを初めて見た…リタ殿、なんと罪作りな方よ…」



リタに惹かれるアメジストパープルの戦士ニュクスを加え、次なる戦いへと向かう一行のもとに覚えのある見知った顔が現れる。ガンメタル島に住まう孤高の科学者でありゼータの肉親でもあるラムダ博士だった。



「おや、皆々様。やっと会えましたね」


「は、博士!?どうしてここに!?」


「ゼータの位置情報を辿って来たのですよ。この娘に皆さんの練習相手をさせようと思いましてね。さあ、ご挨拶をなさい」


「どもども~!いやはや、こいつぁ聞きしに勝る大軍勢ですな~…ドゥフフフ…」


「なっ…お前はズィヒール…!」



特徴的な笑い声が奇妙な雰囲気を醸し出すのはズィヒールという女性だった。紫のメッシュを入れた黄緑の頭髪、所々に黒いラインの入った黄色いツナギを着ている。また、顔の大部分を覆う眼鏡の分厚いレンズが光を反射しており、目元は窺い知れない。一行の大軍勢を前にキョロキョロと辺りを見回しながら誰かを探している様子だ。



「えっとですね~…ゼータ氏のメモリーバンクに厳重にプロテクト保存されている“コレット”っていう名前の方はどちら様ですかね?」


「ふえ?わたしですよ…?」


「へぇ、キミかぁ…んんん…!?ん、んっひょ~!ギガかわゆいのう~!萌ええぇぇ~!!」


「ふえッ!?ゼータ…この人、怖いよぉ…」


「クッ…!ズィヒール!!あまりコレットに近付くな!!」


「まあまあ、そんなカリカリしなさるなよゼータ氏。コレットちゃんもあとで面白いもの見せてあげるから機嫌直してちょうだいな。ねぇ、博士?」


「はい。私とズィヒールが開発したガンメタル島の最新型防衛ロボットを連れてきました。のちほど闘技大会の舞台でお披露目します」


「っつ~ことなんで、なにとぞよろしゅう頼んます!そんじゃまたあとで~!」



ラムダ博士とズィヒールは新型ロボットのお披露目を今か今かと待ちきれぬ様子のまま意気揚々と立ち去って行った。対する一行は異様な雰囲気を醸し出すズィヒールにただ唖然呆然――開いた口が塞がらないという様相で立ち尽くしていた。



「ゼータ…あんた、あのキモヲタと知り合いなのかい?」


「あ、ああ…私がテラコッタ領でこの軍に合流する少し前に博士が雇った研究員で、悪い奴ではないのだが、ちょっと変わり者でな…」


「だよなぁ…蛮族のアタシが言えた義理じゃないけど、あんまりコレットちゃんに近寄らせたくないの分かる気がする…」


「ってかさ~、次はウチらの出番ってことは…コレットがアイツと勝負するかもしれないってことじゃない?それってヤバいんじゃ…」


「ええっ!?ど、どうしよう…あの怖い人と戦うの…?」


「大丈夫だよ!たとえ相手が賊だろうと魔物だろうとロボットだろうと、コレットはあたし達が絶対守ってみせるからね!」


「エーデルの言う通りだ。お前に出番が来る前に私達4人で必ず終わらせる。安心してくれ」



その通り。次に戦いの舞台に踏み出すのはコレット班だ。その布陣は先鋒ルーヴ、次鋒ビアー、中堅エーデル、副将ゼータ、大将コレット――妖しき科学者に狙われる無垢なる緑の少女を守る強き意志のもとに集いし彩りの戦士達は“守るため”の戦いに勇んで挑まんとしていた。



「ビンニー国の闘技場…蛮族の国で戦えるなんて、気合いが入るってもんだよ!燃えてきた~!」


「戦いってなんかウキウキするよね!ウチの毒の力でコレットを守ってみせるよ!」


「ビアー、頑張ろうね!あたしもテラコッタの騎士として、ヲタクさんに全力パワーを見せてやるんだから!」


「ああ、コレットをズィヒールに向かい合わせるのはどうも癪だ。なんとしても私達4人で終わらせるぞ!」


「みんな、ありがと…でもね、わたしも大将として頑張る!一緒に戦うんだもん!」



コレット班の5人が戦いの舞台に踏み入ると、既に敵軍が陣取っていた。待ち構える敵軍は機械仕掛けの戦士4人とズィヒール、更にセコンドとしてラムダ博士も見守っている。



「おやおや、まさかゼータとも戦うことになるとは…」


「まあ、新型と一緒にゼータ氏の戦闘スペックの確認も出来るなら一石二鳥ですな!ギガかわゆいコレットちゃんも近くで見られて眼福だし、言うことなし!グフグフグフ…!」


「ズィヒール、残念だがコレットに出番はない。指一本触れさせないぞ!」


「かぁ~っ、ゼータ氏はつれないねぇ…後で負けても泣くんじゃないぜぃ!」


「Gランク勝ち抜き戦を開始します!両軍先鋒、前へ!」


「よっしゃ!アタシ1人で軽~く蹴散らしてやるぜ!」


「ルーヴさん、後ろで応援してるから、頑張ってね!」


「ああ、任せときな。コレットちゃんが応援してくれるなら百人力だよ。蛮族たる者、こんな鉄の塊になんて負けないさ!」



コレット班の先鋒を務めるのはフォレストグリーンの蛮族ルーヴ。かつては緑豊かなスプルース国の山村を荒らし回る荒くれ者だったが、エレンに折檻されて一行に加わった。敵対する蛮族として一行に対峙した頃からコレットに想いを寄せており、今は仲間として真っ直ぐな想いを胸に燃やしている。コレットを守る決意を熱く燃やしながら闘技の舞台を踏み締めていた。



「さ~て、始めるか!腕が鳴るぜぇ!!」


「おひょ~、それほど気合い十分ならこちらも燃えますな!アルファ、頑張るのですぞ!」


『前方5メートル圏内、敵対者確認。戦闘体勢に移行します――』


「フン、随分お堅いツラしてやがる…蛮族ナメんじゃないぞ!」



ルーヴは得物の斧を構え、蛮族としての熱い心を滾らせる。フォレストグリーンの荒々しい一閃は機械戦士軍の先鋒アルファに牙を剥き、猛々しく獲物に迫る肉食獣のように襲いかかった。



「ブッ飛ばしてやる!ワイルドファング!!」


「ほう、蛮族さん、良い攻撃ですな。では、これはどうですかねぇ?」


『攻撃対象確認、主砲角度調整――掃射!』


「ぐぉわっ!?ハジキぶっ放して来やがるとは…ふざけるなよ!!」


『攻撃対象、1メートル圏内接近――迎撃します』


「グダグダつまんねぇこと言ってんじゃねぇ!そぉら、ボッコボコにしてやる!」



ルーヴは容赦なく火を吹いた無機質な機械戦士に荒々しい憤りを剥き出しにし、怒りのボルテージと共に彩りの力を昂らせていく。堂々とトップバッターを務める碧の蛮族の熱い戦いぶりに仲間達の心も自然と高鳴っていた。



「イヤッホ~ッ!ルーヴさん、イケイケだね!」


「うん、すごく熱いよね!あたし、蛮族ってただの乱暴者だと思っていたけど、ルーヴさんを見て考えが変わったよ!騎士とは違う誇りを持っているよね!」


「ああ。“誇り”とは名誉に思う感情のことを指すらしいが、己の行動に対する自信や決然たる意思…そういうことも含めて“誇り”と呼ぶのだろうな」


「ふわぁ、カッコいい…ルーヴさん、頑張って!やっつけちゃえ~!」



仲間達の熱い声援を背に受け、ルーヴは刃に己の闘志を乗せて薙ぎ払う。斧を携える左手に印されたフォレストグリーンの彩りが力強く耀いていた。



「蛮族の刃、受けてみな!ワイルドファング・ビーストブロオォォッ!!」


『動力炉損傷率73%、許容値超過――機能、停止――』


「そこまで!勝者、ルーヴ選手!」


『うおおおぉぉ~ッ!!』


「ぃよっしゃああぁぁ!!蛮族ナメんじゃねぇぞコラァ!!次、かかって来やがれ!!」



待ち焦がれていた蛮族の国の闘技場で躍動し、フォレストグリーンの彩りを煌めかせるルーヴは雄々しい咆哮を響かせる。思いを1つに戦いに挑むコレット班の4人は次々に襲いかかる機械戦士に打ち勝ち、大将であり旗印でもある緑の少女を守ることが出来るだろうか?




To Be Continued…

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