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Rainbow God Bless  作者: 色彩天宙
Chapter2:アルニラム篇
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第14話『彩りカフェ』

シリーズ第14話目です。バトルばかりだったので、たまには息抜きという回です。ごゆっくりお楽しみくださいませ〜♪♪

ガンメタル島へ向かう為に訪れたアズーロ合衆国シーニー州にてジャンヌ・パンサーによって思わぬ足止めを食った一行であったが、無事にブルー州に到着。郊外に建つ国際海洋管理機構へ赴いたところである。しかし…



「休業、だわ…ハァ、精霊よ…我らに慈悲を…」


「土曜だからね…こういうお役所は例外なく休みだったか〜…」


「仕方ないのう。明後日まで待つより他ないから、どこか泊まる場所を探さんとなぁ…」


「では、都市部に向かいましょう。ブルー州でしたら宿は私が手配致します。えっと…」



ルーシーは鞄から小型の電子端末機を取り出す。平たい形の端末の液晶画面に直に触れ、滑らかに操作していくルーシーの姿と見知らぬ不思議な機械にモニカ達は驚きを隠せない。



「ルーシー…それは何?」


「最新の携帯端末機、インテリフォンの試作版ですわ。タッチパネルで簡単に操作出来て、パソコンと同等の情報量が得られます。更に既存機種よりも多様なアプリケーションに対応して──」


「あんたねぇ…そんな便利なもの持ッてンなら最初から使ったらいいじゃないのさ!なんで勿体付けてんだい!」


「ごめんなさい。まだ試作段階で一般販売はおろか量産もされていませんの。中継局の準備も途中でブルー州内でしか使えなくて…」


「そっか…まあ、いいや。ここに立ち止まってもしょうがないから、とりあえず街に行こうぜ」


(ふえ?リタ…最新機器の試作機をルーシーが持ってることにどうしてなんの疑問も抱かないの…?う〜ん…)



コレットの小さな疑問をよそに一行はブルー州都市部へ到着した。繁華街の賑わいはシーニー州都市部を遥かに凌ぐ。休日ということもあり、行き交う人波は途絶える気配すらなかった。



「うわぁ〜!すごいね!人がい〜っぱいいるよ!」


「あ…コレットさん…はぐれないように気を付けて…くださいね」


「まぁ…我がノワールの地に負けない活気に溢れていますのね。素晴らしいわ…」


「ブルー州だけでこんなにたくさんの人が生きている…私達の使命の重みを実感しますね」


「モニカ…大丈夫だよ。モニカには私達みんながついてるからね♪」


「うん、姉貴の言う通り!あんま独りで思い詰めんなよ…?」


「カタリナ…トリッシュ…ありがとうございます。ルーシー、宿はどの辺りですか?」


「はい。この通りを4区画北に進んで、コンビニのある角を…」



モニカ達が通りを歩いていると、スーツ姿の男性が立っていた。通りの賑わいを尻目に携帯電話を片手に沈んだ表情を浮かべている。



「う〜ん…こいつは困った…」


「あの…難しい顔をしていらっしゃいますが、どうされましたか?」


「明日のブルー・ストリート・フェスでカフェを出店するんだけど、交通トラブルでほとんどのスタッフが来られなくなってしまって…このままだと出店を辞退することになりそうなんだ……」


「なんと!?それは一大事ッス!それなら自分らがお手伝いするッス〜!」


「えっ!?う〜ん…気持ちはありがたいけど…本当にいいのかい?」


「困ったときはお互い様ですよ。救いを求める者に報いるのが私達への天の教えです」


「私達16人、揃いも揃って個性派ばっかりだからお店も目立つだろうね。悪い賭けではないと思うよ!みんなもいいよね?」



エレンの呼び掛けにモニカ達はそれぞれ頷く。その表情には一片の迷いもない。男の顔もパッと明るくなった。



「ありがとう!では、簡単に説明するから、お店に来てくれ」



モニカ達は男に連れられ、すぐ近くに建つテナントビルに到着した。天井には照明機具が取り付けられ、床にはカラフルなクロスが敷かれたテーブルと揃い物の椅子が並べられている。



「ここが出店するカフェ『クールール』さ。なかなかいいセンスだろう?」


「すごい…可愛い、ですね。えっと…私達は何をすればいいんですか…?」


「ああ、そうだったね。厨房スタッフは街の飲食店から呼ぶから君達には接客と調理補助をお願いするよ。で、君達の制服はこれだ!好きな色を選んでくれ」



モニカ達は目を丸くする。暖色、寒色、無彩色…様々な色のエプロンドレスが突如として姿を現したのだ。幾つもの色彩が並ぶ中からそれぞれ選び、試着という運びとなった。



「おお〜!みんなお似合いじゃないか!これなら盛況間違い無しだ!コンテストグランプリも夢じゃない!」


「ありがとうございます♪わ〜い!みんな頑張ろうね!」


(コレット…あんたはどうしてそんなに元気なんだい…それにしてもさ…)


(ああ…テリー姉ちゃんな。なんか…イメージとちゃうから服が浮いとるわ…)


「むぐぐ…似合わないなら素直に言ってほしいッス!穴があったら…入りたいッス…」


「う〜ん…まあ、1日だけだし…頑張ろう。アタシだって恥ずかしいから…」


「よ〜し!では、明日よろしく!宿でゆっくり休んでくれ。解散!」



一行は予約していた宿に到着した。翌日に控えた大仕事について夕飯を食べながら語らう。



「いやはや…まさかあんな格好をさせられるとは思わなんだ。参ったのう…」


「う〜ん…まあ、あたし達も確認してなかったもんね。でも、1日だけだから開き直ろう!ファイト〜!」


「そう、ですね…これも世のため人のためです。クレアの言う通り、開き直るしかないでしょう。功夫を積むために迷いは不要です!」


「なあ、気のせいかもしれへんけど…モニカ姉ちゃん、妙に張り切ってへん?」


「うん、俺も思った。なんかいつもよりテンション高いよな…」


「なんでだろうね…?でも私も燃えてきた!みんなで一丸となって乗り切ろう!!」



翌朝、ブルー・ストリート・フェス当日を迎えた。繁華街が朝から賑わいを見せる中、カフェ『クールール』にも今か今かと開店を待つ人々が長蛇の列を作っていた。



『いらっしゃいませ!!』



モニカ達が全員で声を揃える。それぞれ色違いのエプロンドレスの彩りが眩しい。店内へ次々に客が雪崩れ込んでくる。瞬く間に満員となり、モニカ達は慌ただしく接客に追われた。



「かしこまりました。ごゆっくりどうぞ」


「ありがとう。あなた、そのゴールドの服似合ってるわねぇ〜…素敵よ♪」


「はあ…あ、ありがとうございます(に、似合ってる…一度こういう服を着てみたかったので…嬉しい…)」


「そこの銀色の店員さん!注文お願いしま〜す!」


「は、はい!少々お待ちください!(うわぁ…いきなり大きな峠だなぁ〜…)」


「お〜い、そこの青い服の可愛い姉ちゃ〜ん!俺とおしゃべりしようよ〜♪」


「えっ!?あ、あの…」


「申し訳ございませ〜ん。只今大変込み合っておりますのでご遠慮願いま〜す♪(チッ、こンの野郎〜…姉貴に手ェ出しやがって…客じゃなかったら絶ッ対ブッ飛ばす!)」


「お待たせ致しました。こちらがアールグレイセットで…あら、鼻血…大丈夫?」


「紫のお姉ちゃん…その色気はウチの息子にゃ刺激が強すぎるよ〜。ま、おじさんは元気出るけどね!ワッハッハ!」


(やれやれ…おっさんがビアリーに鼻の下伸ばしとるわ…そういう店じゃないじゃろうが…)



モニカ達の奮闘で午前中にも関わらず、カフェ『クールール』は賑わいを見せる。予想以上の盛況に厨房スタッフも慌ただしく動き回っていた。



「ダージリンが売り切れた!誰か茶葉を運営本部からもらって来てくれ!」


「むむ!なら自分が行ってくるッス〜!」


「ああ、待ちな!ほら、地図持っていって!あんたは1人じゃ危なっかしいよ!」


「おっ、ありがとうッス!では全速力で茶葉を取りに行くッス〜!」


「は〜い、行ってらっしゃい!ちゃんと信号見るんだよ!」



テリーが凄まじい勢いで店から駆けていく。一見少年のような容貌でありながら茶色のエプロンドレスを着て街道を全力疾走するテリーの姿は道行く人々の好奇の眼を集めていた。



「ねえねえ、あの人見て…」


「うおっ!?男の子が…女の子の服を着てる…」


「本当だ…いわゆる“男の娘”ってやつ?斬新なことをする店もあるんだなあ…」


(くう〜っ…周りから視線が突き刺さるッス…胸が痛いッス…)



テリーは人々の訝しがる視線に耐えながら茶葉を受け取って戻ってきた。テリーの俊足のおかげで予想以上に早く茶葉が届き、厨房スタッフは安堵の表情を見せる。



「ぬおお〜っ!只今帰還ッス〜!」


「あ…ありがとうございます。アイスティーをどうぞ…」


「うおおおっ!リデルの賄いに感謝感激ッス〜!ふう…喉が潤うッス〜♪」


「テリー、お疲れ様!ドンドン頑張ろっ♪」


「オッス!コレット、制服似合ってるッスよ!スイートでキュートッス!」


「ふえ…似合ってる…?あ…ありがとう…」


「おい、コレット!またテリーに顔赤くしてる…ボーッとしてる場合じゃないぜ!これ、5番テーブルに頼む!」



その後も口コミでモニカ達の活躍とカフェ『クールール』の評判は広まっていき、客足は絶えない。その日のブルー州内のネットワーク注目キーワードは『クールール』、『カラフル』、『エプロンドレス』。これだけも十分に解るだろう。ランチタイムも、ピークの昼過ぎも、一行は懸命に働いた。



「ありがとうございました。貴方に天の恵みがありますように…」


「ん…?まあいいや。ピンクのお嬢ちゃん、ありがとう!」


「お待たせ致しました。トマトソースパスタセットです。ごゆっくりお召し上がりください」


「おお、こりゃ美味そうだ!薄緑の姉ちゃん、ありがとうよ!」


(似合ってるかな…?この服…可愛い…)


「モニカ姉ちゃん!ボーッと鏡見とる暇無いで!こっち手伝ってぇな〜!」


「はい!す、すみません…(この服…欲しいな…終わったら貰えないかな…)」


「リデルさん、こちらを7番テーブルにお願いしますわ」


「はい…ルーシーさん、ありがとうございます」


「ごっつぁ…じゃなくて、ありがとうございました!」


「うん!オレンジのお姉ちゃん、バイバ〜イ!」


「やれやれ…少し落ち着いてきたけど、息つく暇もないぜ」


「リタ、大丈夫?もう少し、頑張って燃えてくよ!」



時間は矢のように、嵐のように過ぎる。18時、ブルー・ストリート・フェス閉会式を迎えた。参加者の投票により評価の高かった店舗の表彰が行われる。そして…



「第26回ブルー・ストリート・フェス、グランプリは…カフェ『クールール』!!」



モニカ達は歓喜の輪を作る。喜びを爆発させ、分かち合う一行に惜しみ無い拍手が送られ、その祝福の音は波紋のように広がった。



「ありがとう!まさか本当にグランプリを獲れるなんて…」


「こちらこそ、貴重な体験をさせて頂きました。ありがとうございました」


「う〜ん、これを今日1日で終わらせるのは惜しいな…そうだ!君達、このままここでカフェをやろう!君達も有名人になれるぞ!!そうだ、それがいい!!」


「えっ!?いや、アタシら、もう行かなきゃ…」


「そう言わずにさぁ〜!なぁ、頼むよ〜!」


『謹んで、お断り致しま〜す!!』


「ああ〜!待ってくれ〜!俺の救世主達〜!!」



モニカ達はカフェ『クールール』での仕事を無事に果たした。彼女達の活躍はブルー・ストリート・フェスの参加者達の心に深く刻まれたことだろう。さあ、祝福の戦士達よ!油を売ってる暇は無いぞ!祝福の使命のもとに、世界の救世主となれ!!




To Be Continued…

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