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Rainbow God Bless  作者: 色彩天宙
Chapter6:闘技大会篇
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第115話『蛮勇闘技〜Vol.5〜』

シリーズ第115話目です。どうぞお気軽にご覧くださいませ!

蛮族四天王に対峙すべくビンニー国の闘技大会に挑む一行。蛮勇を誇る荒くれ者の集うエレン班の次鋒キャプテン・ロビンが敵軍次鋒ミンチーと相対するが、得物のサーベルを弾き飛ばされ、丸腰での戦いを強いられていた。



「ロビン…どうするんだ!?武器がないと何も打つ手がないじゃないか!?」


「大丈夫だよ、ランタナ。ロビンはこれくらいでへこたれる娘じゃない。私はロビンを信じてる!」


(サーベルがない…この状況で出来ることは1つ…これに賭けるしかない!)


「さ〜て、万策尽き果てたみたいだな…嬢ちゃん、覚悟しな!」


「もらったああぁぁッ!」


「グッ!な、なんだと…!?」



ロビンは小柄な体躯を活かし、軽快なフットワークで迷わず懐へと飛び込む。無色透明のロビンの左拳が敵軍次鋒ミンチーの急所を捉える。不意討ちを受けたミンチーは少し動揺するが、すぐに平静を取り戻してニヤリと笑っていた。



「フフフッ…少しは考えたみたいだが…所詮はガキの浅知恵だな!」


「そ、そんな…奥に力が入っていかない…どうなっているんだ!?」


「まあ、最後まで諦めなかったご褒美だ…残念賞としては贅沢過ぎるくらいだが、俺の鋼の肉体を見せてやろう!ムワッハッハァァッ!!」



ミンチーが高笑いをしてみせると、次第にロビンの拳が押し戻されていく。ミンチーは鍛えられた厚い筋肉に力を込め、自らの肉体を鎧に変えた。間違いなく生身の体であるはずだが、鋼鉄のように堅牢な筋肉の甲冑を身に纏っていた。



「ウワッハッハ!そんなヘナチョコな拳で俺を倒そうなんて無駄無駄無駄!!赤子の方がまだ手応えあるぜ!!」


「んだとテメェ…図に乗りやがって…付け上がってんなよコラァ!!」


「うげっ!?な、何いぃッ!?」



ロビンの小さな拳がミンチーの筋肉の鎧に突き刺さる。ロビンの怒りに火が点き、無色透明の彩りが煌めく拳で容赦なく殴り付ける。赤黒い憤怒に駆られながら荒々しく拳を叩き込むロビンの様相は荒くれ者だった海賊時代を思わせると同時にロビンを正しき道へと導いた時に怒りの焔を燃やして激昂するエレンの姿を彷彿させた。



「でやあぁッ!オラアアァァッ!!」


「ガフッ!ちょっと甘く見てたか…俺も本気を出すとするか!!」


「クッ…!うらああッ!」


「オラオラアァッ!ムワッハハハァァッ!!」



ロビンの闘志を燃やす心の焔が飛び火し、ミンチーの闘志も赤々と燃え上がる。丸太のような腕を振るい、岩のような拳で殴り付ける。2人の闘志と闘志が真正面からぶつかり合い、赤々と燃える火花を散らした。



「テメェ、まだ倒れないのかよ…その小さい体のどこにそんな力が残ってやがるんだ!?」


「私には…彩りの力がある…共に歩む仲間がいてくれる!お前、なんかに…負けてられるか!!」


「チッ、いつまでも図に乗りやがって…消し飛びやがれえぇッ!!」


「うわああぁぁッ!!」



ロビンは我武者羅に食らい付いていたが、ミンチーの渾身の一撃をまともに受け、地面に全身を激しく打ち付ける。激しいぶつかり合いの末、雌雄が決した刹那に一瞬の静寂が影を落とし、瞬く間に過ぎ去っていった。



「…そこまで!勝者、ミンチー選手!!」


『うおおぉぉ〜ッ!!』


「負けちゃった、か…悔しいなぁ…」


「チッ…このガキ、手間かけさせやがって…」



ロビンは力及ばず敗れてしまった。一方、勝利したミンチーも疲労困憊という状態であり、余力は殆ど残っていない。闘志を燃やし尽くした海賊少女は仰向けに倒れながら敗れたとは思えないほどに清々しい表情を見せていた。



「エレン姐さん、みんな、ごめんなさい…負けちゃいました…」


「ロビン…よく頑張ったね。アンタの熱い心、しっかり見せてもらったよ!」


「素手になっちゃって不利になっても諦めない姿、カッコ良かったよね!」


「エイリアの言う通り。ロビンの戦士としての誇りを感じたわ!見事でした!」


「さて…次は私ですね。参ります!」



エレン班は中堅ジーリョに選手交代。敵軍次鋒ミンチーは既にロビンの猛攻に疲れ果てており、劣勢に立たされているのは誰の目にも明らかだった。だが、ジーリョは対峙する相手への礼を尽くすべく一切手を抜くことはなく、ソーダブルーの彩りの力を惜しまずに振るい、全力で相対した。



「覚悟!ポーツマスエッジ!」


「がはっ…!!」


「そこまで!勝者、ジーリョ選手!」



審判の声と入れ違いに拍手が沸き起こる。疲弊した相手にも手を抜かずに真摯に向き合ったジーリョの荒々しくも美しい闘技を讃える拍手と投げ出すことなく戦ったミンチーの奮戦を称える拍手──2つの拍手が暖かく会場を包み込んだ。



「…よし、勝てましたね。この勝利、ロビン様に捧げます!」


「ジーリョ、その調子だよ!ガンガン攻めて、勝ちにいこう!」


「コイツもなかなかの手練れだ…ウォーレン、気を付けろよ…」


「へいへい、まあ、任せとけって。オタクは傷だらけなんだから寝てろっての」



次鋒ミンチーと入れ替わり、気だるそうな雰囲気を持った敵軍中堅のウォーレンがジーリョに向かい合う。武器の斧を肩に担いだ気負いのない佇まいは飄々としているように見えるが、戦いから目を背けるような素振りはなく、戦士としての決意を確かに燃やしていた。



「ん〜、オタクも斧使いか…互いに手の内わかって面倒だな…ってか、オタクの名前は?」


「アザレア王国より参りました、ジーリョ・フォルランと申します。いざ、尋常に勝負!」


「はいよ。ま、適当にやろうや。よろしく、ジーリョ」



ジーリョとウォーレンは互いに得物の斧を振るう。ジーリョは闘志を熱く燃やして猛々しく斧を振り回すが、対するウォーレンは涼しい顔のまま軽々と振っており、ジーリョはやや拍子抜けした様相だった。



「よっ、ほいっと…」


「でやああ!はあッ!!」


「ん〜…もう少し気楽にやろうぜ。いや、真剣なのも悪かねぇんだけどさ…」


「…私が相手では不満ですか?戦士として私と本気で戦いたいとは思わないのですか!?貴方も戦士の端くれならば、真剣勝負で語りなさい!」


「ふぃ〜、熱いねぇ…火傷しちまいそうだ…ま、それならそれで良いや。向かって来いよ」


「ポーツマスエッジ──うわあぁッ!?」



爽青の貴公子ジーリョは戦士としての熱い心に委ねるがままに斧を振り下ろしながら飛び込む──が、ぼんやりと佇むウォーレンに軽々と足下を掬われ、肩透かしをくらったように前のめりに倒れ込む。妄信的に猛進していたジーリョは既にウォーレンの術中に嵌まっていた。



「おお〜、だいぶ勢い着いてたからな…随分と派手に転んだなぁ…」


「そんな…な、何が起こったというのだ!?」


「前に出るだけが戦いなら、だ〜れも苦労しねぇよ。ま、世の中にいろんな人間がいるのと同じように、戦い方にもいろんなもんがあって然るべきってわけだな〜」


「なんてこと…しかし、まだまだ!負けはしません!」


「おっと、また向かって来るってかい?よっとっと〜」



ジーリョの荒々しい攻撃をウォーレンは飄々と受け流し、軽々と往なす。ジーリョの胸中に燃える心は空回りするばかりであり、手応えすら無い不毛な状況に少しずつ焦りの色が滲み始めていた。



「と、捉えることも出来ないなんて…いったいどうして!?」


「おいおい、もうペース乱れちまったのか〜?正直もうちょっと粘ってもらえたら嬉しいんだけどな…」


「クッ…!!」


「ほい、これで終〜わりっと。そぉら!」


「ううッ…なんて、ことだ…!」



エレン班の中堅ジーリョはウォーレンに一閃され、敗れた。柔拳で翻弄され為す術もなく踊らされ、俯せに倒れる姿は糸を切られたマリオネットのようだった。



「そこまで!勝者、ウォーレン選手!」


「ん〜、勝っちまったか〜。ジーリョも強いけど…もっと強い奴が出てくると思うと面倒だな…」


「あのウォーレンという男、一筋縄ではいかない相手のようだね…でも私がジーリョ殿の敵を必ず討ってみせる!!」


「うん…頼むよ、ランタナ!」



エレン班は選手交代。副将を務めるのは赤き荒くれ騎士ランタナだ。斧を携え、ファイアレッドの彩りを左手に燃やす騎士は勇んで戦いの舞台へ踏み出し、ウォーレンに刃を向けた。



「次は私が相手だ!テラコッタの騎士ランタナ、いざ参る!」


「ふいぃ〜…ま〜たまた斧使いかよ〜…随分と斧使いに縁があるもんだな…」


「私は相手が誰であろうとテラコッタの騎士として完全燃焼するまでよ!覚悟なさい!!」


「…まあ、悪くはないか…騎士様と戦う機会なんてそうは無いだろうな。存分に教えを請うとするかねぇ…!」



ウォーレンはランタナの熱気にほだされたような様相で迎え撃つ体勢をとる。傍目には平静を装っているように見えているが、彼の胸の内には確かに熱く燃えるものが在った。



「よっと、ほいっと!おらよっとぉ!!」


「クッ、見事…ならば貴方のその意思に私は全力で応えるまで…せいやぁッ!」


「うげっ…!こりゃ強烈だな…だが、生憎俺は不器用でな〜、この戦い方しか出来ないってもんさ!」



ウォーレンは闘志を熱く燃やしながらも自身の戦法を頑なに貫く。が、騎士であり荒くれ者である紅の斧戦士ランタナは柔拳に翻弄されることなく直向きな刃を荒々しく振るった。



「チッ、さすがは騎士さんってところか…なかなか乱れねぇな…」


「よっしゃ、燃えてきたね…私の彩りの力、見せてやる!覚悟!!」



ランタナはファイアレッドの紋様を熱く滾らせる。ランタナの騎士としての誇りと戦士としての情熱を体現する灼熱の業火が容赦なくウォーレンに襲い掛かった。



「我が祖国の正義の炎を受けよ!テラコッタ・ブレイズバースト!!」


「クッ…!コイツは…熱い、ねぇ…」



ウォーレンは心さえも焦がす爆炎に焼かれ、満足したような表情を浮かべながら倒れた。柔拳の戦士に打ち勝ったランタナは表情を引き締めたまま軽く汗を拭い、熱く刃を交えたウォーレンのもとへと静かに歩み寄った。



「そこまで!勝者、ランタナ選手!!」


『おおおぉぉぉ〜ッ!!』


「強い…ジーリョ殿に勝っただけのことはある…勝てたのは幸運だったね…」


「ヘッ、すっかり燃えカスだ…久しぶりに真っ白に燃え尽きたぜ…ありがとよ…」


「ウォーレン…貴方の戦士としての真摯な意思、敬意を表するわ。ありがとう!」


「ほう、ウォーレンに勝つとは…その鎧は飾りじゃねぇってわけか…このガルベス様も本気を出せるってもんだぜ!」


「ええ、互いに本気で語りましょう。いざ勝負!」



ランタナは斧を構え直し、敵軍副将のガルベスと向かい合う。互いに熱い心を燃やし、一触即発の空気を醸し出していく。果たしてこれから先にはどんな強者が一行を待ち受けているのだろうか?闘志を燃やし、闘技を振るう一行の戦いはまだまだ続く!




To Be Continued…

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