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Rainbow God Bless  作者: 色彩天宙
Chapter1:プロローグ
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第11話『白き聖壇』

シリーズ第11話目です!ごゆっくりお楽しみください♪

魔族七英雄ベガによって仕向けられた魔物を退け、ノワール帝国での大要を果たした一行はルーシーと皇女ビアリーを仲間に加え、次なる目的地ブラン教皇国へ飛行機で向かっていた。



「しかし…ルーシー様、皇女様…大丈夫ですか?突然冒険に行くなど…」


「ウフッ…愚問ですわね。私はこんなに素敵なお仲間とご一緒出来るなんて幸せですわよ…ねえ、ルーシーさん?」


「ええ。モニカさん方のことをお話ししたら、お父様もお母様も喜んで送り出してくださりました。それに私、同じ年頃のお友達が欲しかったので…嬉しいですわ。」


「うん、それなら細かいこたぁ気にしないってことで!しっかしまぁ、敷居の高いお二人さんだこと…」


「あの…みなさん、私達これから仲間として共に旅をするのですから、対等に接してくださいません?」


「そうね…私も皆とあまり変わらない年ですから、ビアリーと名前で呼んで頂いて結構ですわよ。」


「お、皇女様を名前で!?そんなこと出来るわけありませんよ!」


「そうだよ。気持ちはありがたいけど…それでもね、それ相応の礼節っていうものがあって─」



クレアとエレンの間に突然何者かが割り込む。青髪の兵士だ。その冷たく鋭い眼光をたたえた瞳で一行を睨み付けている。



「貴様ら、皇女様ご自身が構わないと仰っているのだぞ!皇女様のご厚意を無下にする気か!!」


「あなたは、見回りのときの…」


「モニカ…皇女様を…頼むぞ。」


「はい。…では、ビアリー、ルーシー、よろしく。」


「ええ。よろしくお願いしますね、みなさん。」


「ウフッ…これでこの一団の一員になれた気がしますわね。心も、体も…」


「か、体も…!?うおぉ〜ッ!自分、感激ッス!!ビアリー様に熱き絆と友情のハグ─」


「バカ!アンタってヤツは…!」


「まだ兵士さんがおるじゃろうが!しばかれるから、我慢せんかい!」



一行を乗せた飛行機はブラン教皇国へ到着した。ブラン教という宗教のもとに形成された珍しい形体の国家であり、独自の文化を持つ。一行はブラン教皇国の地を踏み締め、新たな一歩を刻み込んだ。



「では…行って参ります。」


「はっ!皇女様、どうかお気を付けて!全体、皇女様に敬礼ッ!!」


『ノワール帝国に、栄光あれ!!』


「お送りいただきありがとうございました。みんな、行きましょう!」



一行が歩き始めようとしたそのとき、青髪の兵士がモニカをそっと呼び止める。その瞳にはそれまでの鋭さは見られず、幾分穏やかにさえ見える。



「モニカ…お前の力は皇女様の闇の力と対になる存在だ。相反する力は互いに助力になれば枷にもなる。それだけは忘れるな。」


「はい…承知しました。ところで…あなた、お名前は?」


「アヌビス。傭兵としての名だがな。お前達とは恐らくまた会うことになるだろう。きっとこの印が呼び合う時が再び来る…そのときまで、達者でな。」



飛行機はプロペラで風を切りながら飛び去って行った。一行はブラン教皇国の空港から市街地へ向かうこととする。ビアリーはどこか妖しげな笑みを浮かべながらテリーに近付いた。



「さあ、テリーさん…ウフフッ…こちらへいらして…」


「オッス!ビアリー様…!?…〇×∑%△〜ッ!!」



ビアリーは不意にテリーの首筋に抱き着く。ビアリーの妖艶な色気の備わった美麗な体が触れ、テリーは瞬く間に気を失って倒れた。



「大変!テリーが鼻血吹き出して倒れちゃったわ!」


「なんてこった…ビアリー、パンクだなぁ…」


「んなこと言ってる場合かい!?空港の救護室借りに行くよ!!」


「あら、まぁ…ウフッ、楽しい人ね…♪」



皇女との旅路はいきなり嵐のような幕開け。テリーを治療し、気を取り直して市街地へ向けて歩き出す。



「テリー…大丈夫ですか?」


「大丈夫ッス!ビアリー様の愛で少しばかりハートが焦げてしまっただけッス〜!」


「やれやれやわ…テリー姉ちゃん、すっかりメロメロやないか…ルーシー姉ちゃんもなんか言ったってぇな!」


「えっ?あの…愛情表現のし方は人それぞれですから、私は素敵だと思いますわよ♪」


「ルーシー…アンタもアンタでタイプの違うボケだねぇ…」


「ハァ…俺らツッコミ勢、一気に劣勢だよな。勘弁してくれよ…」


「そうね…でもね、リタ。これも精霊の導きよ。私達は紋様を通して呼び合っている…重なる力の彩りはきっと私達の使命を果たす力になるわ。私、精霊様にすごく感謝しているの。こうして素敵な仲間達に会えたから。」


「そうだな…俺も最初は“祝福の使命”って言われても正直眉唾物だったんだけど、こうしてみんなに会えて…大切な仲間達と共に生きる、この世界を守りたいって思えるようになったよ。頑張ろうな、フェリーナ。」



一行はブラン教皇国の首都、ビアンコ市の市街地に到着する。多くの人々が行き交っているものの雑然とした雰囲気はなく、どことなく整然とした色合いだ。



「ここが市街地だね。さあ、疲れちまったから早く宿に入ろうか!風呂入って、ク〜ッとビールでも呑んで…」


「もう、ビクトリア!お酒はほどほどにしないとダメですよ?しかもこんな粛正された所で─」


「こんにちは、旅の方。皆様の旅路が祝福に満ち、この地にお越しいただけたこと…天に感謝致します。」



宿を探していたモニカ達の目の前にシスターの少女が立っていた。愛らしい笑顔を浮かべており、モニカ達にかけた声は甘みがあり優しく、耳に心地よい響きである。



「こんにちは。ご歓迎いただきありがとうございます。あの…この街の宿屋はどちらでしょうか?」


「宿屋さんでしたら…あちらのパン屋さんの建っている通りを左に…」


「ふえ?あっ…シスターさん、左手が…!」



少女の左手に輝く柔らかなピンク色の煌めきがコレットの視界に飛び込んできた。紛れもなく祝福の証である。



「…!みなさんは…いったい何者なのですか?」


「私達は左手に印されたこの紋様…祝福の証の使命を全うするための旅をしているのです。貴女にも…紋様が…」


「なんだ、シスターさんも仲間だったのか!声をかけてくれたのも紋様が呼び寄せていたからかな…う〜ん、最高にROCKでHOTな出会いだな!」


「旅は道連れ、っていうからね。どう?アンタも私達と一緒に――」


「いいえ。それは…出来ません。」



少女はうつむいた。満ち溢れる慈愛がにじみ出るかのような優しい微笑みは跡形もなく消えている。



「そんな…どうして、ですか?えっと…みんな、とても…素敵な人、ですよ…?」


「それはわかっています。でも…いくら魔物とは言え、命を奪う行為であることには変わりありません。私はそれが無益な殺傷なのではないかと思ってしまうのです…」


「無益なんかじゃない!俺達は…世界を守るために戦うんだ!シスターさんの気持ちもわかるけど…!」


「…ごめんなさい。皆様の旅路が天の祝福に満ちたものとなりますように。失礼致します…」


「なんだい!まったく、つれないねぇ…」


「ビクトリア、そう目くじら立ててもどうもならん。戦いを善しとせぬ者もおる…そういうもんじゃ。」



少女は去っていった。モニカ達は宿に着いたものの、後ろ髪を引かれるような思いであった。その夜、外が騒がしい。不穏な気配を察したモニカ達は外へ飛び出す。騒ぎのする方へ向かうと、そこは共同墓地だった。広々とした敷地にいくつもの墓が並んでいる。



「グウヴァア゛ァ…」


「ひいっ、これは…!」


「なんてこと…街に出る前に止めましょう!」



亡骸が蘇り、ゾンビとなって徘徊していた。凄まじい腐肉の臭いが鼻を突く中、モニカ達は武器を振るう。



「オラァ!」


「せいやぁっ!」


「グギエ゛ア゛ァ…」


「来ないでよ〜!リーフエッジ!」


「怖い…助けて…ビーニードル!」


「グヴヴオォ…」



一行はゾンビを必死に駆逐するがビアリーとリタが苦戦している。気付けば2人の周りにゾンビが人だかりを作っていた。



「チクショウ…ビアリー、俺達の攻撃、効かないみたいだぜ…」


「ああ…なんてことですの…リタさん…果てても心は共に寄り添って…」


「諦めんじゃねぇよ!俺だって、ビアリーと…」


「グヴアァアッ!」


「いやああぁぁッ!」




「フォトン!」



2人を囲んだゾンビ達がピンクの帯にくるまれて消えた。シスターの少女が紋様をピンク色に輝かせながら立っていた。



「私も戦います。天に定められた使命ならば…私は迷わない!」


「シスターさん…助かったぜ。ありがとう…」



シスターの少女も加わり、ゾンビ達を撃破していく。最後の1匹にモニカが剣を振るい、不気味な呻き声は完全に絶たれた。



「みんな…無事でしたか?」


「ああ、まったく趣味悪いってもんさ。おかげで酔いが醒めちまった――」


「あ〜あ、だから亡骸を操るなんてめんどくさいと思ってたのに…」



どこからともなく声が響く。声のする方を見ると1人の青年が墓石の上に足を組んで座っていた。



「貴方がゾンビ達を操ってたのですか!」


「うん。ボクはカストル。魔幻隊隊長、魔族七英雄って呼ばれてるんだ!よろしくね〜♪」


「酷い…そんな遊びみたいな気持ちで人の死を冒涜するなんて…許せません!天の裁きを受けなさい!」


「おお、怖い怖い…短気は損気だよ?可愛い顔してるんだから、笑って笑って〜♪」


「ウッザ…兄ちゃん、どっか行ってくれへん?不快やわぁ…」


「めんごめんご〜♪じゃ、仕事終わったし帰るね!バイバ〜イ☆」



魔族七英雄カストルと名乗る青年は飄々としたまま姿を消した。シスターの少女は悲しげにうつむき、大粒の涙をこぼしている。



「ごめんなさい…安らかな眠り…壊してしまって…ごめんなさい…」


「謝ることはありません。皆様はきっと貴女に感謝しています。また眠らせてくれてありがとう、って。」


「モニカの言う通りッス!安らかな眠りを壊したのはあのペテン師ッス!断じてシスターさんのせいじゃないッス〜!」


「フフッ…ありがとうございます。あの…もしご迷惑でなければ、私も同行させてください。」


「大歓迎だよ!どんなに高い山でもみんなで登れば怖くないし、登りきったら気持ち良いもん!あたしはクレア・ブラウン。よろしくね!」


「はい。私はネイシア。ネイシア・バティスタです。祝福の使命の旅路に天の祝福がありますように。」


「よろしくね、ネイシアさん。ウフフッ…やっぱり可愛いわね…天使のような笑顔ですわよ。」


「あ…ありがとうございます♪では、宿で今一度お休みください。」



闇夜にうごめく傀儡を支配していたのは魔族七英雄の1人、カストルであった。そして、その野望は迷いを断ち切ったネイシアによって阻まれたのである。聖なる力を持つネイシアを仲間に加えた一行は宿に戻り、改めて戦いの疲れを癒すことにした。




To Be Continued.The Story Goes To Next Chapter…

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