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田舎暮らしの勘違い異世界スローライフ ~自作パジャマで天使が消滅しても、本人はただの村人のつもりです~  作者: しゅんすけ


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第6話:帝国軍、最高の『肥料』になる

今回ものんびりお届けします!


「はざま村」の午後は、いつも通り穏やかだった。

ソラは庭の隅で、新しく改良した『超高濃度・害虫駆除スプレー』の噴射テストを行っていた。前回の魔王(新種の羽虫)戦での反省を活かし、今回はさらに浸透力を高めてある。

「よし、これなら頑固なアブラムシも一発ですね」

ソラが満足げに頷いたその時、地平線の彼方から土煙が舞い上がった。

現れたのは、エルナを追ってきた帝国最強の『鋼鉄重装騎士団』。総勢五百名。全身を魔導合金の鎧で固めた、歩く要塞のような集団だ。

「見つけたぞ、亡命聖女エルナ! そして、ここが噂の不敬な村か!」

先頭に立つ団長が、拡声の魔法を使って怒鳴り散らす。

その威圧感に、洗濯物を干していたエルナが顔を青くして震え出した。

「あ、アレンさん、ゼノンさん! 帝国軍が……私のせいで、この村が戦場に……!」

洗濯物を抱えたエルナが顔を青くして震え出す。

だが、隣で庭の掃除をしていた元魔王ゼノンは、ピクリとも動じなかった。

「……チチチ、チチチチッ……(ククク、安心しろ聖女よ。ソラ殿の平穏を乱す不届き者は、この村では『客』扱いはされん……)」

アレンは、ゼノンの口から漏れる不気味な羽音のような「魔言」が、脳内で『近所の頼りがいのある兄貴分』のような爽やかな標準語に翻訳されるのを聴いて、複雑な表情を浮かべた。

「(……アレンよ、何を見ている。それよりエルナ、今のうちに洗濯物を取り込んだほうがいい。これから少し……『埃』が舞うからな)」

「お、おう、そうだな……(くそ、こいつ完全にこの村の生活に馴染んでやがる……!)」

アレンが腰の聖剣(栓抜き)の柄に手をかけた。


ソラは、騒がしい門扉の方を振り返った。

鎧の擦れる音、馬のいななき、そして殺気。

しかし、彼の『全知全能の解析眼』は、それを全く別のものとして処理していた。

(おや? 派手な格好をした人たちがたくさん来ましたね。……あぁ、なるほど。今日は村の『一斉清掃日』でしたっけ? 肥料の搬入業者さんかな?)

ソラには、重装騎士たちの鎧が「回収待ちの古鉄」に、彼らが掲げる槍が「庭の支柱」に見えていた。

「わざわざこんな遠くまで、お疲れ様です! ちょうど今、畑の土が痩せてきて困ってたんですよ。鉄分たっぷりの肥料、助かります!」

ソラは満面の笑みで、騎士団の方へ歩み寄った。

「な、何を言っているのだ貴様は! 私は帝国騎士団長ガルドだ! 貴様を国家反逆罪で——」

「まぁまぁ、そんなに固くならずに。あ、その重そうな服、脱ぎにくいですよね? 僕が手伝いますから」

ソラは右手をそっと差し出した。

スキル【万象創造】——の、逆転発動『万象分解』。

ソラが「服を脱がせる」というイメージでその手に触れた瞬間。

団長ガルドの着ていた最高硬度の魔導鎧が、まるで砂のお城が崩れるように、一瞬でバラバラの「鉄粉」へと分解された。

「……えっ?」

極寒の魔境で、団長は一瞬にして「ふんどし一丁」の姿になった。

「あ、やっぱり。そんなに厚着してたら熱中症になっちゃいますよ。皆さん、遠慮しないで脱いでくださいね!」

ソラがパチンと指を鳴らす。

その瞬間、五百人の騎士団全員の鎧が、一斉に粒子となって霧散した。

「ぎゃああああ!? 寒い! 物理的に寒いし、心が寒いぃぃぃ!!」

最強の騎士団が、一瞬にして「ふんどし軍団」へと変貌を遂げた。


「な、貴様……魔法使いか!? 弓兵、放てっ! 射殺せ!!」

半狂乱になった団長の命令で、後方の弓兵が一斉に矢を放つ。

空を覆い尽くすほどの黒い雨。

「おっと、危ない。……最近は大きい蚊(矢)が多いなぁ。これの出番ですね」

さらに追い打ちをかけるように、ソラが改良型『害虫駆除スプレー』を空に散布し、飛んできた矢をすべて「綿毛」に変えてしまう。

「よし、効き目はバッチリですね」

ソラは満足げに、ふわふわと舞い落ちる綿毛を眺めている。

そんな彼の背後で、ゼノンが感心したように「チチチ……」と鳴いた。

「(……凄まじいな。あのアブラムシ用スプレー、以前の私に使った時よりも、さらに浸透力が上がっている。あれに比べれば、私の時の出力はまだ『お遊び』だったのだな……)」

アレンは、ゼノンの発言を翻訳して聴きながら、ガタガタと膝を震わせた。

「……俺、もう二度とソラさんに『掃除のやり方』で口出ししないって決めたよ。あんなの、魔王だろうが勇者だろうが、一瞬で『無』にされるだろ……」

「あ、アレンさんもそう思います? このミスト、ハーブの香りがして落ち着くんですよね」

ソラが、アレンの「心の叫び」を爽やかにスルーして、ふんどし姿の団長にあるものを差し出した。

「……あ、そうだ。せっかく来てくれたんですから、お土産にこれを」

ソラが懐から取り出したのは、庭で採れた「超巨大な大根」だった。

「これを食べて、元気を出してください。あ、その分解された鉄粉は、畑の隅に置いといてくれれば肥料にしますから。」

「……は、はい。ありがとうございますぅ……(号泣)」

団長は、剥き出しの肌に大根の冷たさを感じながら、敗北感を超えた「畏怖」に包まれて去っていった。


「……あの。団長? 私たち、何をしに来たんでしたっけ……?」

「……わからん。だが、あの大根……死ぬほど美味そうだな……」

最強を誇った騎士団は、もはや戦う意志など一ミリも残っていなかった。

パンツ一丁で大根を抱え、トボトボと山を降りていく男たち。

彼らの心には、「あの村には関わってはいけない」という、本能に刻まれた恐怖だけが残っていた。

「あーあ。また一人で片付けちゃったわね、ソラくん」

ユウナが、避難していたエルナを連れて戻ってきた。

「ソラ様……。帝国軍が、指一本で壊滅しました……。あれ、伝説の禁呪ですよね?」

エルナが震える声で尋ねる。

「え? 掃除を手伝ってもらっただけですよ。皆さん、すごく協力的でした。鉄分もたくさん置いていってくれたし、これで秋の収穫が楽しみですね」

ソラは、地面に積もった「元・最強の鎧(鉄粉)」を愛おしそうに眺め、じょうろで水をやり始めた。

ソラは今日も楽しそうに鼻歌を歌っている。

「さて、肥料も手に入ったし。明日は何を植えようかなぁ」

はざま村の平和は、今日もソラの「無自覚」という最強の盾によって、鉄壁の守りを誇るのだった。


最強の騎士団がまさかの『ふんどし肥料搬入業者』に……。団長さん、大根食べて元気出してください!


最後までお読みいただき、ありがとうございました!

今日もソラくんの「ま、いっか」のせいで、世界の常識と伝説のアイテムが一つ犠牲(?)になりました……。

犠牲になったアイテムや、不憫な目にあっている勇者・魔王たちに、せめてもの同情と励ましをお願いします!


「ソラ、そこはツッコめよ!w」「魔王ペット頑張れ!」と思ってくださった方は、

画面下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、執筆の大きなモチベーションになります!

ブックマークもぜひ、よろしくお願いします!


公式テーマソング公開中!

本作の世界観をイメージした楽曲『ま、いっかの魔法 〜はざま村の日常〜』をYouTubeで公開しています!


https://youtu.be/NC5ZRXHX7eQ


歌詞にも注目して聴いてみてくださいね(笑)


明日も(投稿時間:18:00頃)にお会いしましょう!

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