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田舎暮らしの勘違い異世界スローライフ ~自作パジャマで天使が消滅しても、本人はただの村人のつもりです~  作者: しゅんすけ


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第1話:女神様、変わり果てた『狭間の地』に絶叫する

今回ものんびりお届けします!


その村は、たった一週間で“神域”になっていた。

転生してから一週間。

ソラ——本名、天野宙あまの そらは、自作したログハウスの縁側えんがわで、お茶を飲んでいた。

「ふぅ……。やっぱり、都会の喧騒を離れて正解だったな。水は美味しいし、空気もいい」

——なお本人は、この場所が

世界で最も危険な魔境『狭間の地』であることを知らない。

ソラの現在の肩書きは、自称『村人』だ。

女神ユウナさんに「好きな職業を」と言われた時、ソラは「何もしたくないので、ただの村人でいいです」と答えたのだ。

「まぁ、今はまだ住民は僕一人だけどね。……あ、ポチもいるから、一人と一匹か。静かでいい村だ」

前世のブラック企業で培った「納期(〆切)への集中力」と、女神から貰った『器用な手先(万象創造)』があれば、村の開拓は驚くほど捗った。

「まぁ、たまに家の周りで巨大なトカゲが火を吹いて暴れてるけど……。まぁ、田舎の野生動物は血気が盛んだしな。ま、いっか。なんとかなるか」

ソラが「トカゲ」と呼んでいるのは、一国を滅ぼすと伝えられる伝説の古龍エンシェント・ドラゴンである。

昨日、そのドラゴンが庭を荒らしに来た際、ソラは「洗濯物が焦げるだろ!」と、自作の『オリハルコンのくわ』で地面を軽く叩いた。

その瞬間、地鳴り(というか大地崩落)のような衝撃波が発生。ドラゴンは「ぎょえぇ」と情けない声を上げて白目を剥き、今は庭の隅で岩のふりをして震えている。

「あ、ポチ。お座り。……よし、いい子だ」

「ウォンッ!」

三つの首を持つ巨大なポチ(ケルベロス)が、ソラの足元で地面をえぐらんばかりに尻尾を振っている。

ソラがポチの頭を撫でていると、空からキラキラとした光の粒子が降り注いだ。

「ヤッホー! ソラくーん、生きてるー!? 心配すぎて天界のスイーツが喉を通らないから来ちゃった!」

賑やかな声と共に、美女神ユウナが降臨した。


「あ、ユウナさん。こんにちは。おかげさまで、いい村になってますよ」

「え……? あ、えっと……。ソラくん、無事なのね、よかった。……じゃなくて!! ちょっと待って、何よその光景ぇぇぇ!!」

ユウナは、降臨した瞬間に膝から崩れ落ちた。

彼女が「死の森」として選んだはずの『狭間の地』が、わずか一週間で、天界の庭園をも凌駕りょうがする「超・神域」に塗り替えられていたからだ。

「ソラくん、その家……まさか、世界樹を丸ごと一軒家にしちゃったの!? 霊界の至宝よ!? あと、そこにいる三つ首の……え、魔界の番犬ケルベロスじゃない! なんで『お手』してるのよぉぉぉ!!」

「あぁ、このポチ。近所で迷子になってたみたいなので保護したんです。三つ首なんて珍しい種類ですよね。まぁ、可愛いからいっか。なんとかなるか」

「可愛くないわよ! 地獄の軍勢を一人で全滅させる最終兵器よ! なんでそんなになついてるのよぉぉぉ!!」

ユウナは、神の威厳をかなぐり捨てて頭を抱えた。

ふと彼女の目が、庭の隅に置かれた「道具」に向けられた。

「……ねぇ、ソラくん。あの、太陽よりまぶしい光を放っている黄金の物体は何かしら?」

「あぁ、あれ。昨日拾ったキラキラした石と枝で作った鍬です。サクサク地面が掘れて便利なんですよ。……あ、そうだユウナさん。お茶飲みます? その辺の雑草を乾燥させて淹れたんですけど」

ソラは、自作の『超神級の鍬』で庭の雑草(実は万能霊薬)を刈り取り、それを乾燥させてせんじたお茶を差し出した。


「(……ズズッ)。……はぅあぁっ!? な、何これぇぇぇ!?」

一口飲んだ瞬間、ユウナの全身が黄金の光に包まれた。

細胞の一つ一つが歓喜の歌を歌い、神としての魔力が限界突破して、背後の翼が六枚に増えそうになる。

「ソラくん、これ……ただの雑草じゃないわよ! 飲むだけで神格が上がる究極の聖水エリクサーじゃない! どこの世界にこれをお茶菓子なしでガブ飲みする奴がいるのよぉぉぉ!!」

「あはは、ユウナさんは相変わらず賑やかだなぁ。まぁ、お口に合ったなら良かったです。なんとかなるもんですね。ま、いっか」

ソラは、ユウナが顔を真っ赤にして悶絶しているのを「お茶が熱かったのかな?」と都合よく解釈し、優しく微笑んだ。

「あ、そうだユウナさん。庭の池に大きなタコがいたので、今夜タコパしませんか? ポチも喜ぶと思うんです」

ソラが指さした池には、昨日釣り上げた「深海の邪神クトゥルフ」が、完全に毒気を抜かれて、ぷかぷかと美味しそうなピンク色になって浮いていた。

「……もう、ツッコミが追いつかないわ……。ソラくん、君……自分が何したか全然分かってないでしょ……。というか、君、もう『人間』の範疇はんちゅうを越えてるわよ。職業『村人』って何よ……」

「え? 僕はただの村人ですよ? 今は一人ですけど、これから少しずつ住みやすい村にしていこうかなって。趣味の家庭菜園を楽しんでるだけです」

ソラの屈託のない笑顔に、ユウナは確信した。

この男を放っておいたら、スローライフのついでに世界のことわりが全て書き換えられてしまう。

「……決めたわ! ワタシ、しばらくここに居座ることにするわ! ソラくん、ワタシが最初の『村人』になってあげるから、ワタシの分の部屋も用意しなさいよね!」

「えっ、ユウナさんが住民に? 賑やかになりそうですね。……まぁ、部屋は余ってるし、なんとかなるか」

こうして、最強の勘違い村人と、ツッコミ担当の居候女神様による、波乱(?)の村づくりスローライフが本格的に幕を開けるのだった。


徐々に住人が増えてきました(笑)

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