表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/18

第16話:女神の「美貌」は、最高の害虫駆除?


「はざま村」の畑は、今まさに収穫の最盛期を迎えていた。

しかし、今年はあまりにも作物の出来が良すぎたため(※邪神のぬか床やポチの肥料のせい)、ある問題が発生していた。

「うーん。アレンさん、困りました。今年はトマトが赤くて美味しすぎるせいか、山の方から『はらぺこな珍客』たちがたくさん降りてきちゃってるんです」

ソラが指差した先では、数メートルはある巨大な害獣『キング・ボア』の群れや、作物を狙う凶悪な魔鳥『サンダー・バッド』が、村の境界線ギリギリで虎視眈々と畑を狙っていた。

「(……いや、ソラさん。あれ、ただの害獣じゃなくて、災害級の魔物だろ……。ポチ(ケルベロス)が門番してるから入れないだけで、普通の村なら全滅してるぞ!!)」

「そこで思いついたんです! ユウナさん、ちょっと畑に立ってもらえませんか?」

「えっ、私? 畑仕事なんて、私の綺麗な爪が汚れちゃうじゃない」

女神ユウナが、最高級の宝石よりも輝く瞳を瞬かせて、嫌そうに首を振った。

「いえいえ、耕すんじゃなくて、ただ立っていてほしいんです。ユウナさん、本当に綺麗ですから! きっと『かかし』の代わりになって、鳥や獣も、あまりの美しさに立ち去ってくれると思うんです!」

「……はぁ? 私を『かかし』にするの?」

ユウナは呆れたが、ソラに「村のみんなが、ユウナさんの笑顔を楽しみにしてるんですよ」と、曇りのない目で見つめられると、悪い気はしなかった。

「……まぁ、それなら。世界一美しい私が、特別にモデルになってあげるわ」


数分後。畑の真ん中に、ユウナが降臨した。

彼女がただそこに立つだけで、周囲の空気は神々しい「神気」で満たされ、太陽の光が彼女をスポットライトのように照らし出す。

「(……おい、ゼノン。あれ、かかしっていうか……『女神降臨』そのものだよな?)」

勇者アレンが汗を拭いながら、隣の元魔王チッチさんに囁く。ゼノンは「チチチ」と短く鳴いた。

「……チチッ。(全くだ。あの神聖なオーラ、我ら魔族にとっては『強力な殺菌スプレー』を浴びているようなものだ。……ほら、山の魔物たちの反応を見てみろ)」

境界線の外では、劇的な光景が広がっていた。

畑を襲おうとしていたキング・ボアたちが、ユウナを一目見た瞬間、あまりの尊さにその場に膝をつき、涙を流しながら「ブフォォ(神よ……!)」と祈りを捧げ始めたのだ。

さらに、上空から急降下してきたサンダー・バッドたちは、ユウナの後光に目を焼かれ、「ピギャァァ!」と叫びながら、文字通り『浄化』されて白い羽を散らしながら昇天していった。

「わぁ、すごいです! ユウナさんが立っているだけで、みんな大人しくなりましたよ!」

ソラは、魔物たちが恐怖と尊さで動けなくなっているのを「ユウナさんの美しさに見惚れている」と解釈した。

「当然よ。私の美しさは、種族の壁すら超えるのよ!」

ユウナが調子に乗って、バサリと髪をかき上げる。その瞬間、彼女の背後に『真実の女神の輪』が浮かび上がった。


そこへ、ポケットからアカさん(古龍)が顔を出した。

「ポポポ、ポポッ!(……ソラ、これでは逆効果だ。ユウナの美しさに惹かれて、逆に遠くから巡礼者が集まってきているぞ)」

「あ、アカさん。いいアイディアですね! 『もっとポーズを決めれば、みんな喜ぶ』って言ってますね。ユウナさん、ちょっと右手を挙げて、キラキラした感じにできます?」

「……待て、ソラさん! 今のは絶対そんな意味じゃないだろ!!」

アレンが制止する間もなく、ユウナはソラの要望に応えて、女神としての全力の微笑みを浮かべた。

スキル【至高の神美】——発動。

その瞬間、畑を中心に半径数キロメートルの空間が、極彩色の光の花びらで埋め尽くされた。

あまりの美しさ(魔圧)に、池からピピさん(リヴァイアサン)が「ピピピッ!」と跳ねて気絶し、ポチは三つの頭を揃えて「クゥーン」と伏せ、完全に服従のポーズをとった。

『……我は……邪神……。眩しすぎて……ぬか床が……ホワイトニングされるぅぅ……』

地面に埋まっていた邪神の樽からも、悲鳴のような嗚咽が漏れる。


夕暮れ時。

結局、その日の「かかし」作戦は、大成功(?)に終わった。

害獣たちは一匹も畑を荒らさず、それどころか、正気に戻った魔物たちが「自分たちの罪を償いたい」と言わんばかりに、山から最高の肥料や木の実を、ソラの家の前に山積みにして帰っていったのだ。

「いやぁ、ユウナさんのおかげです! みんなユウナさんのファンになっちゃったみたいですね。ほら、こんなにたくさんお礼(貢ぎ物)が届いてますよ」

「ふん、まぁね。私の美しさは世界を救うってことよ。……あ、でも、明日は休ませて。立ってるだけで、なんだか信者が増えすぎて疲れちゃうわ」

ユウナは、自分の足元でひれ伏しているSランク冒険者の集団(※自販機の行列から流れてきた)を無視して、ソラが淹れた「10円お茶」を優雅に飲み干した。

「(……ソラさん。これ、害虫駆除じゃなくて、宗教の開祖になっちゃってるんだけど……)」

アレンは遠い目をして、今夜の夕食の支度(リヴァイアサンの余りの切り身)に取り掛かった。

「ま、なんとかなるもんですね。みんながユウナさんの美しさで仲良くなれるなら、それが一番ですから」

ソラがニコニコと笑う中、はざま村の畑は、女神の残り香によって、文字通り「エデンの園」のような神々しい輝きを放ち続けるのだった。


読んでいただきありがとうございます!


もし面白かったら【★★★★★】やブックマークで応援していただけると嬉しいです!


ソラくんの「ま、いっか」は、まだまだ続きます。


本作の世界観をイメージした楽曲『ま、いっかの魔法 〜はざま村の日常〜』をYouTubeで公開しています!


https://youtu.be/NC5ZRXHX7eQ


ご視聴ありがとうございました!

ついに降臨した女神ユウナさん……。

ですが、アレンが心の中で叫んだ「殺菌スプレーかよ!」というツッコミ。

その**「殺菌(物理)の現場」**を具現化した衝撃画像を、活動報告にて公開中です!

背景で昇天している鳥や、ガチ泣きしている猪の姿……。

「はざま村」の女神運用術を、ぜひその目で確かめてみてください。

(下の【活動報告】リンクから飛べます!)

https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/3030454/blogkey/3602166/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ