名推理
探偵は今日も狐を探すため、名推理をする。
「これは完全なる密室だ。」探偵は言った。
「ええ、そうでしょう。鍵は防犯カメラの目の前で、そこには何も映っていませんでしたから。」支配人が言う。
「鍵は一つで?」
「そうです。」
四角い無機質な部屋。酸欠というわけではない。被害を受けた物は横たわり血を流している。
「これはひどい。」探偵が言った。部屋を回る。金庫しかない。床は木材で壁はコンクリート。容疑者どころか被害を受けた物もどこから入ったのかは釈然としない。
探偵はその中に一つだけある床下点検口のような物を開けた。
「どうですか?」支配人が言った。その言葉には恐怖が溢れている。
「うむ。何もないね。どこかに繋がる道もない。」
じゃあ一体どうやって———
茶色い髪の毛のようなものがあった。これが犯人か?と探偵は思い、鑑識に回した。しかし、時間がかかるだろう。その前に犯人を見つけて逃亡を阻止するのが俺の仕事だ、と探偵は誇らしそうに腕を組んだ。
隙間を見つけた。人が入れるほどの隙間ではない。そこからは真夏の熱気がきた。外からコンクリートで穴を掘ったとも考えられない。
「———分かった。分かったぞ!これはなんて酷いんだ。」探偵は床に数式を書き殴る。バイオリンの音楽が流れそうだ。
1時間が経つと被害を受けた物を手袋をした手で持ち上げ隙間に当てはめた。
「ここから入ってきたんだ———このネズミは。」
支配人がおおっと声を上げた。
探偵は床に落ちた毛を拾い上げた。長い茶色の毛だ。
「山奥の獣——この獣臭、間違いない。」
「狐は——失礼、探偵用語が出てしまった。犯人(狐)は———本物の狐だ。」




