第4話
近寄って見ると本当に大きい。トロールのような大型モンスターでも立ったまま入れるくらいだ。
洞窟の中を照らしても、明るくなるのは入り口付近の岩肌だけ。魔導ランタンの光は奥まで届かず、はっきり視認できずとも、かなりの深さなのが理解できた。
日の光が当たらぬ洞窟内に植物の自生は期待できない。でも小動物が住処にしている可能性はあるし、奥まで追い詰めれば逃げられる心配がない分、外よりも狩りやすいはず。
そう考えて、僕は洞窟に足を踏み入れた。
土の大地だった森とは異なり、地面は固い岩盤。一歩また一歩、奥へと進むにつれて、乾いた足音が響き渡る。
獲物となる小動物がいたとしても、これでは僕の接近を察知して、逃げたり隠れたり出来そうだ。しかし、せっかく入ったのだから奥まで確かめたいという好奇心もあり、そのまま進み続けると……。
やがて、妙な気配を感じた。物音や匂いとは違う、殺気に似た気配だ。
野生動物が発するにしては禍々しさが強い。モンスターかもしれない。
洞窟の入り口では「トロールのような大型モンスターでも」と例えたが、そこまで手強いモンスターはいないだろう。サバイバル訓練の舞台になる程度には厳しい環境だとしても、『キャロリーナの森』は普通の森。モンスター退治を生業とする冒険者たちが行き交うようなダンジョンとは違うのだ。
モンスターがいるとしても、せいぜい最下級のゴブリンやウィスプくらいのはず。それならば僕でも対処できる、いや、その程度も対処できないようでは先が思いやられる。なにしろ僕たちは後々、竜騎兵となって、他国の軍隊を相手に命懸けで戦うのだから。
そんな決意をすればナイフを握る手には力が入り、歩くペースも自然に上がり、さらに洞窟の奥へ。
すると、ようやく最深部が見えてきた。ただし魔導ランタンの灯りに照らし出されたのは、行き止まりの岩肌だけではなかった。
その手前でうずくまる巨体。不気味な黒竜の姿もあったのだ。




