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第3話

   

 最初に持たされた装備は、あくまでも最低限。携帯食は少しだけで、一日行軍に足りる量ではなかった。

 それを自給自足で補うのも、サバイバル訓練の一環なのだろう。この『キャロリーナの森』には食用に適した木の実や野草が生えているし、狩るのが簡単な小動物も生息している。それらを()って食べるよう、最初に教官から言われていた。

 僕はすっかり忘れていたし、ジャクソンたちも同様だったらしい。でもデニックに言われて思い出したのだ。


「何にせよ地図を持っていた以上、道に迷ったのはブレントの責任だろう? 責任を取る意味で、食料探しは君の役目だよ」

 ジャクソンみたいな横暴な押し付けでなく、デニックは理詰めだから、僕も(こころよ)く引き受けられる。

「十分な食べ物、絶対に見つけてこいよ! さもないとお前の分の携帯食、俺たちで食べちまうからな!」

 相変わらずなジャクソンの言葉を背に受けて、僕は出発するのだった。


 最初は道なりに進んだけれど、木の実も小動物も見当たらない。林道に沿った辺りは人の通行もあるため、狩りつくされているのかもしれない。

 そう考えて、少し道から逸れる。深入りし過ぎるとさらに迷うだろうから、あくまでも「少し」のつもりだった。

 左手で魔導ランタンを掲げながら、木々の間を分け()って進む。

 背負っていたリュックはデニックたちのところに置いてきたので、現在の荷物はこの魔導ランタン、軍用ナイフ、それに回復ポーションを少々のみ。ポーションは腰の革袋の中だがナイフはベルトから抜いて、右手で構え続けていた。適当な小動物を見つけたらすぐに対処できるよう、準備していたのだ。

 食べられそうな野草を木々の根元に探したり、実がなっていないか枝をチェックしたり。いちいち魔導ランタンで照らしながら歩いていたのだが、やがて僕の進む道は行き止まりとなる。

 大きな岩肌に突き当たったのだ。


 この森の中には隆起した地形もあったようで、切り立った崖が左右に延々と続いていた。鬱蒼とした森の中、魔導ランタンを大きく動かしながら照らしても、どこまで続いているのか見えないほどだ。

 迂回するのは難しいだろうし、引き返すしかない。そう思ったけれど、若干の違和感も覚えた。

 たった今、魔導ランタンで照らした視界の中だ。違和感の正体を確かめるために、今度はゆっくり少しづつ照らしていくと……。

「これだ!」

 行手を遮る壁のような岩肌が続く中、一箇所だけ、真っ黒な穴が()いている。

 大きな洞窟の入り口だった。

   

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