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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第2章

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52 筋肉モリモリマッチョマンのフリフリ②


 横でソフィアがヒソヒソと耳打ちする。

 (あなたよく平気で会話できるわね)

 (? 何で? だってお客様でしょ? それに、ソフィアと横幅変わらないし…)

 言い終わらないうちにソフィアに思いっきり、足を踏まれる。

 「痛い痛い! ちょ、どけて、いつもより重いから凄く痛い!」

 「なんですって! 私あんなに太ってないわよ!!!」

 これ、私の足、のしいかくらいの薄さになってない? 大丈夫?

 自分の足が無事かどうかを確認しながら、ソフィアに間違いを訂正する。

 (あの人は太ってるんじゃなくて鍛えて筋肉モリモリなだけよ)

 (いや、それ含めても、どう見てもやばいやつでしょ? というか、なーんかどっかで見た事あるのよね。どこかしら…)

 ソフィアが深く考え込むと、その様子を見ていた彼女? は、レオナルドの方暫く瞬きをしながら見つめていた。


 (ク、ククククク、クリス。どうしましょう。なんか貞操の危機を感じるのですが!)

 今度はレオナルドが耳打ちしてくる。そんなに怯えなくても、イケメンがいるから見られているだけでしょ? 自意識過剰だなぁ…。

 そんな様子を見ている彼女? はレオナルドに近づく。

 「ひっ!」

 「あなたぁ、とても私の好みにぴったりね。彼女さんはいるのかしら?」

 「いー、いいいいいいますよ。いますとも。こ、こここここに、ここここ婚約者のク、クククリスがいましゅ」

 キョどりすぎでしょ。何をそんなに怯えているのか。

 「あらぁ、残念。そっかー。私も婚約者に立候補しちゃおうかな!」

 「に゛っ」

 そこで、否定しないという事は、本気かもしれない。どうぞどうぞ奪ってくださいな。

 って、レオナルド殿下…。私の腕をそんなに強く握らないでくださいよ。痺れるじゃないですか。


 そんな感じで呆れていると、後ろの方で「ひったくりよーーーーーーー!」という叫び声がした。

 やれやれ。まだまだ小さい犯罪が起こるね。きっとうちの領の人間じゃないんでしょうけどね。

 どれ、いっちょ捕まえてきますかね。そんなことを思っている間に、筋肉質な彼女が「あら、大変」と一言、言うが早いか、「どりゃぁああああああああああああああああっっっっっっっ!!!!!!」と叫びながら犯人目掛けて一直線に私たちの上空を一飛びしていった。

 上空を超える時、ふわりと広がるスカートの中身が見えた。筋肉質な脚と、筋肉に隠されて小さくて暗い下着が。


 そのまま、ドスンと、着地し、遠くへ走り去る犯人へ一瞬で追いつきタックルする。ダンプに跳ねられたように犯人は衝撃のあまり、数メートル先へノーバウンドで叩きつけられた。そして、その勢いのまま、プレスするように肘から犯人の真上にのしかかる。痛そう。

 しかし、ここで一番疑問なのは、彼女と一緒にいた従者の人が、ずっとニコニコと両手を後ろで組んだままだってこと。いいのかしら(あるじ)に犯人捕獲をさせちゃって…。


 彼女が、犯人をズルズルと引きづりながら、こっちへ歩いてきた。犯人と思しき男は気絶しているのかぐったりとしている。もしかしたらだけど、全身の骨が砕けているんじゃないだろうか?

 「ついぃ、追いかけてしまったわぁ。私ぃ、逃げられるとぉ、追いかけたくなるタイプなのぉ…」

 そう言いながら、舌なめずりしながらレオナルドを見つめる。

 ドン引きの二人。顔が引きつっている。

 そりゃそうよね。服が千切れてほぼ全裸だもの。少しは恥じらう様子をみせてもいいんじゃないかな?


 暫くすると、遠くの方から浮遊する丸い物体が近づいてくる。近くに来てやっと分かった。憲兵隊だ。随分とまぁ、丸くなって。中にヘリウムでも入ってるのかな? 軽く浮いているんだけど、どういうことなの?

 憲兵隊に犯人を引き渡し、事情を説明している彼女。勿論名前は知らない。だって名乗ってないんだもの。


 そんな様子を見ていると、案の定ソフィアから袖をツンツン引っ張られる。待ってましたよソフィアさん。さて、あの人は誰なんです?

 「思い出したわ。あれ、2のキャラよ」

 「2? 二作目ってこと?」

 「そう。二作目は、王国外の国の王子とかも出てくるのよ」

 「じゃあ、あれはどこかの国の王子様なの?」

 「違うわ。あんな格好していたから分からなかったけど、2の武闘派キャラ、エリオット・エンジェルシリカ。寡黙で思慮深く、常に冷静で文武両道。王国東部の辺境伯領の長男で、ルビー帝国に唯一接している場所よ。南北に長く、国境沿いの森は一度も攻められたことなく、ルビー帝国兵の血に準えて(なぞらえて)赤い森(リーチフォレスト)と言われているのよ。確か、シナリオだと、主人公と一緒にルビー帝国と一緒に戦う話だったはず…」

 「へぇ、よく覚えているねぇ…」

 彼女って言ってたけど、やっぱり男だったんだな。そりゃそうか。


 というか、聞く限り真逆の性格のように感じますが…。

 「そりゃあ、一通り攻略するでしょ。勿論クリスルートは十周以上やったわ」

 「あぁ、そうなんだ………」

 やば、こんな話レオナルドに聞かれたらまずいなと思っていたら、恐怖のあまり失神していたわ。

 しかし、2のキャラかぁ…。まだ、1のキャラすら全員出揃ってないのにいいのかな? シナリオとか破綻しているよね? え、今更ですって? まぁシナリオとか全然知らないし興味ないからいいんだけどね。



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