表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第2章
84/433

51 筋肉モリモリマッチョマンのフリフリ


           *      


 「ねぇ、どうしてレオナルド殿下が一緒にいるのかしら?」

 「ハハッ…、おかしい事を言いますね貴女は。私はクリスの婚約者ですよ。寧ろどうして貴女が一緒にいるのかそっちの方が理解に苦しみます」

 結局街に来る事になったのだが、二人とも一緒に行くと言って聞かないので、仕方なく三人で街へ行く事になった。


 今日は、いつものドレスである。何故って? ソフィアに合うサイズの服が無いからよ。だから、私一人着替えても仕方ないので、このままの格好で来ている。

 うちからの護衛として、今日はミルキーさんが付いてきている。メアリーは最近、食べ過ぎなのかよくお腹を壊している。暴飲暴食も程々にしないと大変よ。ねぇソフィアさん?

 朝の会話で思ったんだけど、レオナルドが一人でも街を歩けるのは、以前と違って、街に護衛が紛れ込んでるからなんだろうね。うちのメイド達はそんな事させたら趣味優先で居なくなるというのに…。


 そういえば、いつも一緒のウィリアムはどうしたんだろう。この時間帯なら来ていてもおかしくないんだけどな。

 「レオ様、リアムはどうしたんです?」

 「あぁ、リアムですか? 本日は日曜日ですからね、恐らく父君と一緒にショーを見ているのではないでしょうか?」

 へぇ、あの将軍も子供と一緒に休日を過ごすようになったんだなぁ。

 「最近は、二人とも、こすぷれ? でしたっけ? あの格好をしてショーを見ているそうです」

 「え?」

 「折角の親子団欒なので、本日は私は参加していませんが、見に行きますか?」

 「遠慮します…」

 ウィリアムはともかく、パジェロ将軍のフリフリは見たくないなぁ。

 しかし、親子でコスプレ参加とは…。一体あのショーの何にそんな惹かれたんだろうね? あれ? でも、メアリーとアンジェさんは家にいるし、ミルキーさんもここにいる。今日は違うイベントなのかな? 


 横を見ると、将軍がどんな人物か分かってないソフィアに説明する。

 苦虫を噛み潰したような表情になるソフィア。想像して嫌悪感に苛まれるのはいいけれど、この街そういう格好した人結構いるのよ? 最初にこの街に来た時も見たことあると思うんだけどな。

 「私も、今日はいいですわ。またの機会にお誘いくださいませ、おほほほほ…」

 そんな事を言いながら、本日最初の目的地、ラピスラズリ本部こと本店に到着。

 途中で子供達にあったけれど、『フリー素材』と言われずにちゃんと『くりすしゃま』だったのでホッと胸を撫で下ろしたわ。言われたらレオナルドになんて説明するべきか考えてなかったもの。危ない危ない。

 そんなレオナルドはというと、何かあたらしいおもちゃが欲しいらしい。

 ソフィアは例の本を配送してもらうよう頼むんだろうね。


 ん? 店のショーウインドウの前に二人の人物が立っている。一人は、従者なのか直立不動で立っているが、もう一人、ご令嬢? のような人物は忙しなく中を覗いたりしている。

 そんなに気になるなら入ればいいと思うの。敷居の高い店じゃ無いんだからさ。

 という事で、声をかけようと近づくと、思ったより大柄だなという印象。

 いや、大柄というか、がっしり。いや、ガチムチと言ったほうがいいだろうか?

 筋骨隆々の肉体が服の上からでも分かる。分かるというか、服がパッツパツ。所々、生地が伸びて生地と生地の縫い目がほつれかかってたり、腕の肘の辺りはシワがすごい寄っているし、全体的に生地が伸びている。無理矢理に着込んだであろうドレスは今にも分解しそうなくらい悲鳴を上げているように見える。

 それよりも衝撃的なのは着ている人物だろう。サイドは刈り上げたソフトモヒカンの薄い紫色の髪をした男性だ。まぁ、この筋肉を見れば女性と見間違う事は無いだろうが…。


 尚もショーウインドウの前で腰を振りながら、片方の手で肘を持ち人差し指を頬に当てながらウンウン唸っている。

 「あらぁ…、あなたたちはぁ、ここのぉ関係者さん?」

 振り返らずに、特徴的な言い回しで話しかけてきた。

 レオナルドとソフィアは、それにギョッと驚いているけど、ピッカピカに磨かれたショーウインドウに私たちが写っているんだから、振り返らなくても分かるよね?

 すぐに回答がなかったのか、そのままの体勢でくるりと半回転して、人差し指を顎の下の方にスライドし、あひる口のような顔を作る。

 「そうですよ。何か気になるものがあれば、どうぞ中へ入ってご覧になってください」

 その言葉に、大仰に驚いたような表情を作り、左手は斜め後ろに、右手は開いて口元を隠すようにポーズをとる。一々ポーズが大きいな。

 その様子を従者らしき人が黙ってニコニコと見ている。男なのかなと思ったら、綺麗目の後ろで軽く髪を縛った金髪の女性だった。執事服だからてっきり男かと思ったわ。

 「あらぁ…、いいのかしらぁ」

 両手を下に胸元を強調するようなポーズでそう聞いてきたのだが、二の腕が太いのか、幸いにも胸元は見えなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ