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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第2章
83/429

50 バレそうになる


 「ソフィアが来たのなら、朝の稽古はこの辺にして、朝ごはんにしましょうか?」

 「えぇ勿論。これが楽しみで早く来てるところもあるのよね。今日は何かしらね?」

 「私はクリスの家の朝食は初めてなのですが、そんなに美味しいのですか? まぁソフィア嬢を見れば美味しいのは分かるんですがね」

 そうね。最近は公爵家総出でくる日もあるもの。正直ちょっと迷惑。

 「美味しいわよ。あまりの美味しさに朝から家族ぐるみで交流するくらいよ」

 勝ち誇った顔でレオナルドを挑発するソフィア。

 「なっ! では私も父と母も呼ばなくてはいけませんね」

 それは是非とも止めていただきたい。国王と、王妃が一伯爵家に朝ご飯食べに来るとか笑えない冗談だから。え、冗談よね?


 朝食はレオナルドがずっとカルチャーショックを受けていた。まぁそうだよね。

 箸を上手く使えずにいると、ソフィアが勝ち誇った顔で余裕を持って豆を掴んで口に運ぶし、見慣れない食べ物に戸惑っていると、口元に手をやって驚く仕草をしたりと、まさに悪役令嬢の如く嫌味たっぷりにレオナルドを煽る煽る。

 最終的に、ソフィアが緑茶を静かに啜ると、レオナルドは頭を下げて「負けました」と、何に対してなのか分からない敗北宣言をしたのだった。


 朝食が終わり、横に座る私にソフィアがお腹をさすりながら話しかけてきた。

 「あなたのお姉様ってほんとよく食べるわね」

 その言葉そのままラッピングしてお返ししますよ?

 いったいどこのご令嬢が一人で朝からご飯を3合も食べるのかしら? まぁ、お姉様は5合くらい食べていたようだけど。

 もしかして、レオナルドの敗北宣言はこれに関してだったのかもしれない。


 すっくと立ち上がり、顔を近づけたソフィアが今日はどうするのかと聞いてきた。

 レオナルドが来ているので、お菓子を作って託児所へ持っていくのは中止にして、別のメイドさんに持って行ってもらう事を話すと、残念そうな顔をする。そんな顔をするって事は子供好きなんだね。

 「だって、あそこに持って行って子供達が暴露したらまずいじゃない?」

 「正直、気づいていないのってレオナルドとウィリアムの二人くらいじゃないの? 街の人も子供達もみんな気付いてるのに、あんなに節穴で王族として将来大丈夫なのかしら? 私、逆に心配よ?」

 本当にね…。

 「まぁ、恋は盲目って言うし…」

 「あなたがそれを言うの?」


 腕組み考えるソフィアが何かを思い出したのか、ハッとした顔をする。

 「そういえば、今日は私が依頼した同人誌が完成したって連絡受けたのよね」

 何それ初耳なんだけど。というか、ソフィアはどれだけうちの店に通っているの?

 「でも、レオナルドがいると、受け取る時万が一見られたら危ないわよね」

 「そうね。そもそもそんなもの作らなければ、そんな危惧する必要も無いのだけどね」

 そんな話をしていると、食後のお茶を飲み終わったレオナルドが近づいてくる。もしかして、さっきの話を聞かれたのだろうか?


 「お二方、失礼。一つ思い出した事がありまして…」

 「何でしょうか?」

 神妙な面持ちで話し出すレオナルド。やっぱり食べ物が合わなかったのだろうか? しかし、残さず食べていたんだよなぁ。納豆以外。

 「実はですね、ここ最近、クリスを侮辱するような本が市井に出回っていると聞きまして、密かに調査していたんです」

 二人してギクッ! と反応するが、どうやら気づかれていないようだ。

 「城の者を何名か派遣したんですが、あと少しのところで手がかりに繋がりそうなものを(のが)してしまいました」

 あっぶねー、あぶねー。あのまま売り続けていたら絶対にバレていたんじゃないだろうか? あとは、街中の人たちがちゃんと協力して隠したのが功を奏したのだろう。


 「唯一、路地裏で見つけた手がかりも破損してしまいまして。表紙は濡れて乾いてを繰り返したのか、クリスの文字以外ボロボロで判別ができず、中も何かで貼り付けたのかくっついていて、剥がそうとすると。破けてしまったんです。何が書いてあったのかすら分からず。あれが、それだったのかは分からないままなのです」

 そこまで一気に言って、顔を顰める。

 「こんな事を私が聞くのは良くないと思っていますが、すいません。お二方は何か知ってたりしませんか?」

 非常に気まずい。張本人だし、販売元の責任者としてはしらばっくれるしかない。

 「ちょっと、分からないです」

 しかし、ソフィアはこういう時演技できないんだね。

 「そ、そそそそそんな事! わ、わた、私が分かる訳ないでしょっ! レディにそんな事聞くなんて失礼ねっ!」

 「そうですか、すいません。あっ、さっきの話は忘れてください。こちらで内々に調査して処理しますので、ご安心ください」

 安心できねー。バレたらどんな事になるか分からないのが怖い。一番怖いのはレオナルドに心配されて監禁されるエンドね。


 この件に関しては、何とかバレないようにうちのメイド達をフル動員して対処しないといけないわね。別に私がそれを守る必要もないとは思うんだけどね。

 使われてるのがほぼ私だけで済めばいいんだけど、王族とか他の貴族もネタにされてるのが一番やばいのよね。賠償金とかどのくらいになるのかしら?



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