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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第2章

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49 太った?



 約一ヶ月後―――――

 あれから毎日ソフィアとメイドさん達はうちに来ている。他にやることはないんだろうか?

 メイドさん達は、代わりばんこに来ては料理の勉強をしているようだ。たまに来る公爵夫妻が来る度に感謝の言葉を言っていく。

 鉄道の方も港までは線路が完成し、港まで運用を開始している。街まではもう少しあれば完成するだろう。


 港からであれば、ここまで馬車で三十分とかからないので、いつも朝早くからいるソフィアにレオナルドが不満を漏らすくらいだ。

 「ちょっ! 何でレオナルド殿下がこんな朝早くからいるのですか?」

 「ふっふっふ…。賢い私は考えました。どれだけ早く来てもクリスをソフィア嬢に奪われないためにはどうすればいいのかを」

 顎に手をやりながら瞑目して自信満々に口にする。

 「クリスの家に泊まればいいのです!」

 腰に手を当て開眼し、強気の口調で話すレオナルド。

 「私分かったわ。レオナルド殿下って結構抜けているのね?」

 「なんですって? どれだけ頑張っても毎回貴女にクリスを奪われる私の気持ちにもなってみてください。婚約者なのに、なかなか会えないんですよ?」

 遠距離恋愛みたいだね。大抵疎遠になるやつ。いいんですよレオナルド?


 「じゃあ、婚約者なんて諦めなさいな。クリスは私が貰います」

 「何を言っているんです? クリスは女性ですよ? 同性同士で結婚出来ないではないですか?」

 「ふっ…。固定概念に凝り固まった考えね。愛があればなんだって乗り越えられるわ」

 「詭弁ですね」

 「どうとでもいいなさいな。私も諦めないからね」

 「そもそも、私が婚約を破棄するとでも? それこそありえないですね」

 「へぇ…。いいわ。私がそうさせてみせるわ」

 「望むところです」

 二人ともギャーギャー言い争っているけれど、ソフィアは鉄道使っているからね。王都から馬車を飛ばしてもどうしても負けちゃうんだよね。

 そもそも不思議なのは、ソフィアも毎日飽きもせずよく来るよね。

 多分、食べ物が目当てなんだろうけど、ちょっと言っておかないといけないと思う。


 「ねぇ、あなた最近、太った?」

 「それよりも貴女、以前より太りましたか?」

 どうしても気になって言ってしまったが、レオナルドも同じことを考えていたらしい。どうしても我慢できずに口走った感じだが、二人ほぼ同時。

 そのことに、少しニヤリと笑うレオナルド。

 「どうですソフィア? 私とクリスは以心伝心。同じことを考えていたようです。つまりこれは私とクリスは結ばれるべきということで」

 「はぁ? 何言ってんの? そんな訳ないでしょう! ただの偶然よ…って、ちょっと待って、私そんなに太ってるの?」

 「「うん」」


 正直、以心伝心云々じゃなくて、誰もがそう言うと思うよ。だって、一ヶ月前の二倍近く太ましいもの。冬眠の準備でもするのかと思ったわよ。

 しかし、それを否定するアンバーレイク家のメイドさん。

 「いいえ、ソフィア様はやっと通常の体型に戻られただけです」

 「そうですとも。以前は骨と皮に毛が生えたようなものです」

 その言い方もどうなんだろう?

 ずっと後ろに控えていたメイドさんが居ても立ってもいられずに口を挟む。本来なら失礼にあたるけど、今更よね。


 「いや、それにしてもちょっと…」

 尚も言い淀むレオナルド。まぁ気持ちはわかる。ソフィアの服の縫い目が一部見えてたりほつれかかってるところとかあるからね。素人目には分からないだろうけど。

 あと、一番そう感じたのは、私の服を貸した時に結構サイズ合わなくなってるなと感じるから。スカートのホックを何回も失敗したり、服の一部にシワがよってるから。主に腹回りと二の腕と脇の辺りとかね。

 「くぅ…。これはあの薬を完成させないといけないようね…」

 ダイエット薬でも作るんか? あれ、即効性無いし、飲み続けても効くんか?


 「それはそうと、クリスの家に泊まる話だけど、答えが出るまで一ヶ月も掛かったの? そっちのが信じられないわ。私なら今日からでも住み込むわ」

 止めて。昨日泊まっただけでも結構ストレスだったんだから。寝るまでずっと部屋にいるのよ? 疲れるったらありゃしないわ。

 「いえ、あの…。勉強が大変で…」

 これあれだ。家出みたいなものだ。勉強から逃げるのと、私に会いたいで閃いたのね。朝ご飯の前に王城に早馬を出しましょうね。


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