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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第2章

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46 じゃあ、帰りましょうか

 

 さてと、これでひとまずは大丈夫かしら。無闇矢鱈に売られた薄い本も、なりを潜めれば小うるさい人に隙を与えかねないからね。

 それに、双子ちゃんにも会えたし、カリーナがツンデレだってのも分かったし、この後はソフィア待望のお寿司屋さんに行きましょうかしら。


 と、出口へ向かおうとしたら、背中の生地を両手で引っ張られた。

 ちょっと、ソフィアさん? シワになりやすいから引っ張るのはやめてほしいな。

 あれ、今日は一段と引っ張る力が強いですね。そしていつもより長い。

 「あのーソフィアさんや、引っ張るのはそのくらいで…」

 「私も見たいんだけど、何帰ろうとしてんの?」

 真顔でそんなことを言われた。いやダメでしょう?


 「話聞いてた? 年齢制限設けるって言ったよね。ソフィアは私と同じで十一歳でしょ?」

 「私のが早生まれだから、十二歳よ。数ヶ月くらいお姉ちゃんね。お姉ちゃんって呼んでもいいわよ」

 「いや、呼ばないし」

 「何でよ!」

 何でって言われても。確かにお姉様みたいに理不尽なところあるけどさ。それで、お姉ちゃん呼びはしないわよ?


 「まぁ、いいや。それに、この世界だと、早いところは十四〜五歳くらいで子供産んでたりするから、そんなに早くないわよ」

 えぇ…。まじか。やっぱ昔の人は早いなぁ。

 「で、でもほら、紹介とか無いし、ね」

 「それでしたら、私が紹介人になりましょう」

 コロナさんが満面の笑みで割って入ってきた。そして、手には会員番号No.2の文字が…。

 「あ、会員番号No.1はサマンサ様ですよ。私は甘んじてNo.2です」

 知らんがな。


 「じゃ、じゃあ、会員権の方。ゴールドは無理なんじゃない?」

 コロナさんが売り場の店員さんに目配せして、伝票を見る。

 そして、大仰に深々とお辞儀をする。

 ほら、やっぱり足りなかったんじゃないの。

 「ソフィア様、この度の商品のご購入ありがとうございます。今回のお取引でランクがプラチナになります。ゴールドの一つ上になります」

 「えっ!」

 「あら」

 もしかして、おもちゃコーナーでバカみたいな値段設定した貴族向けの台とかまで買ったのかしら?


 「うわぁ……」

 どうやって諦めさせようかと、頭を抱える。

 「別に減るもんじゃないんだからいいじゃないのよ。それに既に下半身なら見てるんだから今更じゃない?」

 その言葉に、店内の全員の目が光った。

 下半身より、痴態を晒してる本がずらりと並んでるのが嫌なの。自分で見るならともかく、人に見られたくない気持ち分からないかなぁ? まぁ、最初に気の迷いで描いた私が悪いんだけどさ。


 そんなこんなで、私が了承しかねていると、メイド二人と、店員さん全員が私の前に立ちはだかった。何事?

 「クリス様、お願いします。どうかソフィア様にも見せてあげてもらえませんか?」

 「というより、是非とも私たちの描いた作品をクリス様に見ていただきたい」

 「私たちのクリス様への愛情を心を込めて描いた作品です。どうか、どうかお願いします」

 「クリス様に見ていただけないなら、何のために描いたのかわかりません!」

 「私たちの想いを受け取ってください!」

 愛情というより、狂信よね。ここまでくると。

 いい風な感じで言ってるけど、全部エロ本よね?

 まさか、店員さんまで描いてるとは思わなかった。ここまでされたら頷くしかないじゃないの。すっごく嫌だけど。

 「分かったわよ…。そこまで言うなら、断れないじゃない…」

 「みんな! ありがとう!」

 ソフィアが満面の笑みでみんなに感謝の意を述べる。もしかして、私ったら嵌められたのかしら?

 


 「それで、どこで隠し売っているのかしら?」

 「はい。こちらになります」

 コロナさんに案内され、書籍コーナーの奥まったところに案内された。

 歴代の王族や貴族に関すること。この国の宗教に関すること。なるほど。誰も手に取りそうにない本がずらりと並んでいるわね。この本の中に隠しているのかしら?

 そう思ったら、壁側の本棚。王族に関する棚の左上の本を一冊手前へずらし、一番下の右側の二冊目を下に押し込む。最後に中央の三冊目を奥へ押し込む。

 その瞬間、小さくゴゴゴゴと音を立てて左に少しずれた。ずれた場所には引き戸タイプの隠し扉があった。一体どういう仕組みになっているのかしら?

 「ねぇ、これ誰かが間違ってやったりしたらバレないの?」

 「大丈夫ですよ。王族礼賛の本なんて誰も触りもしませんし、この順番で押さないと開きませんから」

 不敬罪で訴えられんじゃないだろうか?


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