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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第2章

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45 気になる事


 「ねぇ、確認したい事があったんじゃないの?」

 そうだった。例の件を問いたださないと…。というか、ソフィアの切り替えの早さは凄いね。恐ろしくドライだわ。


 「コロナさん?」

 「はい、クリス様どうしました?」

 「あのメイドさん達が書いてる本あるじゃない?」

 「ありますけど。どっちですか?」

 どっちとは? 絵と文章の二つかな? そんなに種類があるのだろうか?

 「とりあえず、ここで売っている本を見させてもらってもいい?」

 その言葉に何の疑問も持たず、売り場の書籍コーナーを案内された。

 主に娯楽関係の本、小説やら、漫画などのコーナーだ。他にも、誰かの日記や料理本、専門書等も扱っている。

 どうやら、ここには置いていないようだ。


 適当に一冊取り、パラパラと捲り、また次の本を検めること数冊―――――

 「あの、ここにあるので全部かしら?」

 「えぇ、こういった本はここにあるので全部ですね。あ、一部売り切れのもの等は入荷待ちになってますが、取り寄せますか?」

 「いや、そうじゃなくて…」

 確かに、ここにある本はうちのメイドや使用人が著者のものが結構あるけど、これじゃないんだよなぁ…。

 「もう回りくどいですね、一体なんなんです? はっきり言ってくれないとこちらとしても解らないのですが」

 「エッチな方の本よ!」 

 「あぁ、なるほど。得心がいきました。そうならそうと最初から言ってくださいよ。回りくどいですね」

 これ、私が悪いのかしら?


 「で、あれの管理ってどうなってるの?」

 そうだ。これを聞きに来たんだった。随分と遠回りさせられたな。

 「あれとは?」

 これ(わざ)と言ってるな? だって、その証拠に笑いを堪えきれずに顔がみやけているもの。

 「すいません。少しふざけすぎましたね」

 少し? かなりの間違いじゃないかしら?

 まだ、顔がにやけているけど、説明する姿勢になった。


 「そういった書籍は会員限定で販売しております」

 そうだよね。こんなところに置いてあったら、大人も子供も取り放題になっちゃうよね。

 しかし、会員限定か…。何で、それで子供達まで読んでいるんだろう…。

 「その会員ってどのくらいいるの?」

 「約二万ちょいくらいですね」

 聞き間違いだろうか? うちの領民の半分くらいの数字なんだけど。

 「ちょっと、多くない? もしかして再発行とかで重複してる?」

 「いいえ…。ただ、他の領の貴族の方々も会員になってますので、その分多いかと…」

 「へぇ、ちなみにそれはどのくらい?」

 「三十くらいですかね…」

 おい! ほぼ領民じゃないか。


 「もしかしてだけど、誰彼構わず発行しているの?」

 「いえいえ、そんな…。ちゃんと条件を満たした方のみに購入の権利を出していますよ」

 そこで、ソフィアが話に割って入る。

 「私もその条件が気になるわ!」

 「そんな難しいものではありません」

 いや、難しくしろよ。エッチな本だぞ?


 「まず、ポイントカードを作っていただきます」

 「ポイントカード?」

 「はい。こちらのラピスラズリ商会内でしたら、どこの店舗で購入してもポイントが付きます」

 そう言って、ポケットから紙製の折りたたみ式のポイントカードを出す。

「500カラットで1ポイントつきまして、100ポイント貯まると、ブロンズ会員になります」

 約五万か……。今の領民なら払えない金額じゃないね。

 「で、ブロンズのポイントカードを十枚貯めると、シルバーランクに上がります。そして、次のゴールドランクで《青の洞窟》への入店権利が得られます!」

 いや、何でそれで二万人も会員になるのおかしくない? それだけ、領内の経済潤ってるの? というか、その店名はいいの? 大丈夫?


 「ちなみに…なんだけど…、そのゴールド会員が二万人もいるのかしら?」

 ちょっと、怖かったので恐る恐るといった感じで尋ねる。

 「まさかぁ! そんな訳ないじゃないですかぁ」

 「だよねだよね!」

 そんなにいたら、もっと大騒ぎになってるよね。

 「大体百人くらいですかね…」

 「多くない?」

 貴族を除いても七十人くらい領民がいるんでしょう? え? そんなに稼いでるの凄くない? でも百人が百人買う訳じゃないよね?


 「今後もゴールド会員の獲得目指して頑張りますね」

 軽くガッツポーズするコロナさん。いや、頑張んなくていいから。

 「つまり、そのゴールド会員の人のみにその本を売っているのね?」

 「いいえ、もう一つ。会員権をお持ちの方の紹介がないとゴールド会員でも入れません」

 おぉ、なんか凄いぞ。紹介がないと入れないってのはいいね。誰かが無闇矢鱈に紹介してなければの話だけど…。


 「ただ、現状布教活動が滞っているので、その会員証をお持ちの方がいれば一緒に入室できますよ」

 「おばかーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 いきなりの大声に店内の全員がびっくりする。ごめんて。

 というか、折角難易度高くしてるのに、何でそこはコ○トコ方式なのよ。

 コロナさんの前に行き、問い詰めようと顔を見上げるが、届かない。つま先立ちになってふくらはぎがプルプルしだすので、普通に見上げる事にする。やらなきゃよかった。


 「あのね、そう言った本を見境なく広めたらどうなると思う?」

 「クリス様の素晴らしさに目覚める人が沢山出てきますね」

 即答したけど、ハズレよ。そんな訳ないじゃない。エロ本如きで…。

 「違うわ。あのね、そういった本に嫌悪感を抱く人がいたらどうする?  絶対に弾圧。よくて排除しようと動くでしょうね」

 「まさか、そんなことある訳…」

 「確かにそうね。無いとは言い切れないわね」

 すかさずソフィアが同意する。


 「数は少なくても、次第に大きくなって、その人達の意に介さなかったら、好きなこと出来なくなるわよ。興味の無い人もそっち側につくでしょうね」

 「そういう人たちは後々自分に降りかかってくるんだけどね」

 うんうん言いながらソフィアが首を振る。

 「別に描くなとは言わないし、売るなとも言わない。ただ、もう少し節度をもってやりなさい。私ここに来るまでに子供達に変なこと言われたのよ? 明らかに悪影響が出ているじゃない」

 「そ、そうですね」

 私の本気にたじろぐコロナさん。


 「とりあえず、年齢制限を設けましょう。あと、会員以外には売らない!」

 「そしたら布教が…」

 「折角秘密結社みたいなところで売ってるんだから、布教だって大っぴらにしないほうがいいんじゃないかしら?」

 「それも…そうですね…」

 すごく残念そうな顔をしている。だって、こんなので何かあったら私のせいにされるわよ絶対。


 「あと、子供達の目に届かないところに保管するよう周知徹底しなさい」

 「例えば、どうすればいいですかね?」

 持たないことが一番なんだけど、そこまで考えてなかったわ。

 「鍵のついた鞄にでも保管したらいいんじゃないかしら? 見れないようにするのが目的だし、隠されてたら見つけたくなるのが子供でしょう? あと、購入者には通達を出しといてね」

 「どんな感じで通達を出すのですか?」

 「んー、そうね。もし、王族や他の貴族に見つかったら逮捕とかでいいんじゃない?」

 とりあえずこんなところだろうか…。何かあればその都度対応して……。

 「ねぇ、図書館に寄贈されているのは全部回収しておいてね?」

 危ない危ない。公共の場に置いてあっていいものじゃないからね。しかし、いったい誰がやったのかしら。

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