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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第2章

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38 作ったお菓子を持って託児所へ行く


 粗熱の取れたお菓子をそれぞれ布を敷いたバスケットに入れていく。

 「ほとんどベルシックさんに作ってもらっちゃったわね」

 「いえいえ。たまにはいいんじゃないですか? 私はどっちかというと作る方が楽しいので」

 「そう? そう言ってもらえると助かるわ」

 「いえいえ。そうだ、また今度新しいお菓子教えてくださいね」

 この欲の少なさよ。メアリー、リスみたいに頬張ってないで見習ったらどうかしら?


 「ねぇクリス。このお菓子どうするの? 街で売るの?」

 「いや、今からうちの託児所に持って行こうと思って。いつもは私とベルシックさんで半々くらいで作って持っていくんだけどね」

 「へぇ。それ、私も行っていい?」

 「いいけど、大丈夫? 相当やんちゃよ」

 「子供なんだから、そんなもんじゃないの?」

 まぁ、そっか。中身おっさんだから、その辺の感覚忘れてたわ。


 「メアリーは、暫くここにいるのね?」

 「えぇ、今日はやることもないので、ここでのんびりしようかと」

 お前さぁ…、一応従者だよね? 主人の前でそんなこと言っていいの? いつも何やってるか知らないんだけど。まぁ、私が強く言える立場じゃないんだけどさ。

 追加で、お茶のおかわりをねだるメアリーに苦笑いでお茶を淹れるベルシックさん。メアリーに淹れさせていいのよ?


 「あなたたちはどうするの?」

 ソフィアがメイドさん二人に問いかける。

 「もし、差し支えなければ、他のお菓子を教えて欲しいのですが」

 「あ、私もそれ思ってました」

 「私は全然構わないわよ」

 「じゃあ、私たち二人で行ってくるわね。同じ屋敷内だし、大丈夫でしょ」

 ステラさんとシフォンさんがベルさんに追加でお菓子作りを請う。勿論、ベルシックさんは快諾する。作ったお菓子はメアリーの胃袋に直行ね。


           *      


 ソフィアと二人で託児所に向かう。

 二人ともメイド服だから、端から見たら新人のメイドに見えるのかな?


 「託児所があるなんて、随分と福利厚生がしっかりしてるのね」

 「うちの使用人って、使用人同士で結婚してて子供も結構いるのよね。で、片方が子供見ながらだと仕事が滞るからって相談受けてね、使用人住居と屋敷の間くらいに作ったのよ。代わりばんこでメイドさんが子供の面倒見てたりするのよ」

 「へぇー。男の人はやらないの?」

 「みんな顔が怖いから、子供がギャン泣きする。稀にイケメンな人が見たりするけど、屋敷に居ない方が多いし…。あとは、隣に孤児院もあるから、そこの子と一緒に遊んだりしてるわよ。お菓子の半分はそっちね」


 何故か男の使用人は顔が怖い。○が如くのキャラみたいな厳つい人が多い。みんないい人なんだけどね。

 「え? 普通そういうのって街中で教会が受け持ってるんじゃないの?」

 「んー。うちの領ってわりかし裕福な方だし、片親の場合補助金出してるから、ある程度生活には困ってないんだけど、病気や事故で両親がいなくなる場合があるじゃない? そうなることもあるから、そういう子はうちで預かることにしてるのよ。別に、教会を信用してないわけじゃないんだけど、場所によっては中抜きしてたり、残飯漁ったり犯罪に手染めたりしてるじゃない? だったらうちで全部面倒見ればいいかなって思って。そのままうちで働く子も何人かいるしね」

 「はぇ~」

 「でも、孤児院のが古いんだよね。なんか気づいたらあったし」

 「へぇ。ちなみにいつ頃からお菓子持ってたりしてるの?」

 「うーん。二年くらい前かなぁ。いろいろお菓子の試行錯誤していたら、食べきれないくらい出来ちゃって、どうしようってなってね。最初はメイドさんとかにも配ってたんだけど、ここの存在を知って、だったら優先的に持って行こうかなって思ったのが最初かな。すごい喜んでくれたのを覚えてるわ」

 「それは良かったわね。ところで、お菓子ってさっきの、ベル……、何さんだっけ?」

 「ベルシックさん?」

 「そうそう。その人が一人で作ってるの?」

 「お菓子全般作れる主任みたいな人。メインは洋菓子だけど、お菓子担当は他にも四人いるわね。和菓子に、アジア系のお菓子、チョコレートに、ケーキ担当ね」

 「そ、そんなにいるのね…。お菓子だけでそれってことは……」

 「そうね。料理全般で三、四十人くらいいるんじゃない? でも、数人除いて殆ど街でお店やってるわ。たまに帰ってきて振る舞う感じ。で、街の人がそれぞれ修行して独立してお店が増えてるって訳」

 籍自体はうちに残してるのか、週に一、二回は帰ってきて他の料理人と意見交換したりしてる。食べ物の研鑽に関してやたらストイックだし。塩何振りするか、胡椒をどの高さから振掛けるかとか真面目に議論しまくってるし。


 「随分と自由なのね」

 「うちにずっといても仕方ないじゃない。パーティ開かないし。それにそっちのが料理の文化が広がるでしょう? もう既に独自の料理文化が広がってるとこあるし」

 「広がってるのは料理だけ?」

 「んー、どうだろう…。おもちゃとかは独自のルールがあるけど、新しい製品とかはまだ少ないかな…」

 そんなことを言いながら歩いていたら、いつの間にか、託児所の扉の前に着いた。

 屋敷の中からも行けるように、通路の間には屋根があるので、雨が降っても大丈夫。


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