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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第2章

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35 クリス、あなたやりすぎよ?


           *      


 「ねぇ、私の間違いじゃなければ、これって日本食よね?」

 「そうだけど、何か?」

 「何か? じゃないわよ! 私が言うのも何だけど、あなたも結構やりすぎよ?」

 「否定はできない」

 お盆の上には、ご飯、味噌汁、納豆、漬物、焼き魚、出し巻き卵、きんぴらごぼうが乗っている。

 普通の朝ごはんだと豪華すぎるくらいかもしれない。旅館の朝食程ではないにしろ、おかずは結構あるのよね。でも、朝動いた後だからこのくらいは余裕で入る。おかわりするもの。だけど、ソフィア的にはどうなんだろうね。


 「あ、もしかして私のために日本食にしてくれたってこと?」

 「いや、毎朝こんな感じだけど」

 「そこは嘘でも、そうだよって言ってほしかったわ」

 いかにもな拗ね方をするソフィア。

 「いや、でもほら日本に居たら洋食とか食べたくなるじゃない? 逆に外国にいたら日本食が恋しくなると思わない?」

 「確かに」

 しかし納得がいかなかったのか、矢継ぎ早に質問してくるソフィア。ご飯の後じゃダメなのかな?


 「百歩譲って白米はいいわよ。何で納豆があるのよ?」

 「ぶっちゃけ、大豆と藁さえあれば作れるもの。難しくないわよ」

 菌類に詳しいからか、突っ込む事なく「なるほど」と納得する。

 「じゃあ、味噌や醤油はどう説明するのよ」

 「もうご飯食べようよ…。まぁ、醤油は大豆と小麦と塩。味噌だって、大豆か麦と塩があればできるでしょう? 麹だってその過程で出来るじゃない?」

 「いやだからってそんな簡単には作れないでしょ?」

 「うちには食に関する探究心の強い使用人が多くいるので、お屋敷の仕事よりそっちメインでやってるのよ。なんならお屋敷の仕事やってないまであるわ。お陰様でこうして日本食が食べられるのだからありがたいわ。あと、それ以上突っ込んだら朝食が冷めるから下げるわよ?」

 朝食を下げられたら困ると、朝から元気いっぱいなソフィアさんは慌てて、「いただきます」を言ってから、味噌汁を一口啜った。

 「うわぁ、懐かしい…」

 そう言いながらパクパクと食べていく。


 一方で公爵は食卓の前で前かがみで固まっている。チラッとソフィアを見て見よう見まねで食べようとするが、お箸の使い方が難しかったらしく、ナイフとフォークのような使い方をしている。国際スタイルかな? ソフィアさんや教えてあげたら如何ですかな?


 「ねぇ、生卵は無いのかしら?」

 「あるけど、食べないと思ってそっち側には用意してないけど、いるの?」

 「私、納豆に生卵かける派なのよね」

 「えぇ……」

 「あら、奇遇ね、私もかける派よ」

 お姉様はかごの上にある生卵を溶いてかけていた。

 その様子に、公爵は青ざめ引きつっていた。卵を生で食べる風習無いものね。

 「公爵閣下、分かりますよ。私も最初はそうでした」

 お父様が同意を示し、追い打ちをかけるように、自分のご飯に生卵をかけていた。


 この後、恐る恐るといった体で卵かけご飯を食べた公爵は、ほぼ毎日卵かけご飯を食べるようになったそうです。でも、納豆は無理だったようだ。公爵領の食べ物に比べたら何も問題なく食べられると思うのですけどね。

 ちなみにお母様とお兄様は生卵は苦手だそうです。黄身だけならイケるらしいので、白身の溶き具合の問題なんでしょうけどね。


 「しかし、西洋風の少女が納豆ご飯食べてる姿は、なかなかどうして絵になるのかしらね? なかなか見れないわよ」

 「うちでは一年位前からこんな感じよ」

 「そうなんだ…。パンとかは食べないの?」

 「いや、食べるよ。週一、二回くらい?」


 ちなみに、朝の訓練の後、公爵家と食事を一緒にするので急いで着替えようとしたのだけど、着替える時間が無かったのと、公爵閣下が気にしないという事で、このままの格好になった。まぁ、上はフリルブラウスだから、そんなに違和感ないわよね。

 お母様は朝からいつものコスプレ姿だし。まぁドレスって言ってもいいような良くないようなそんな衣装。

 公爵閣下が慣れない食事に戸惑ってるから、お母様の姿は一切目に入ってないようで。それにしても、コスプレ姿で魚の骨を一歩一本丁寧にとっている姿は新鮮ね。普段結構大雑把なのに、骨を全部取りきるまで食べないのは強いこだわりを感じるわ。


 「そういえば、朝といえば鮭だと思うんだけど、これは鯖かしら?」

 「鯖の一夜干しね。というか、ここ鮭取れないのよ。南の方だから。だから、この前のどんぶり屋さんにも鮭を使ったものなかったでしょ?」

 「じゃあ、サーモンのお寿司も食べられないのね? いくらも…」

 「そうね」

 「わかったわ。私が何とかするわ……って、ちょっと流しそうになったけど、お寿司あるの? 自分で言っといてなんだけど」

 「あるわよ」

 「じゃあ、今日はお寿司屋さんに連れてって」

 「あら、お寿司屋さん? 私も言っていいかしら」

 「え? でもお姉様はこの後、お父様と公爵閣下と公爵領へのお店の出店の件でお話があるんじゃないですか?」

 「うぐ! そうだったわ。思い出させてくれてありがとね」

 どう見ても感謝しているようには思えませんわ。それにお姉様の食べる量はドラゴン級なのでご遠慮願いたいです。



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